RPOと採用代行の違い|会社ごとの守備範囲の差

「採用代行を探して3社に問い合わせたら、提案書の中身も金額もバラバラだった」——中小企業の経営者・採用担当者からよく聞く声です。RPOと採用代行という2つの言葉の意味を調べても、この違和感は解けません。差が大きいのは言葉ではなく、その会社がどこまでやるかだからです。応募が来ない、面接する時間がない、スカウトを送っても返信がない。同じ悩みを伝えても、A社は求人票の作成だけ、B社は戦略設計から入社後フォローまでと、守備範囲がまるで違います。

この記事では、採用担当者が代行会社を比べるときに見るべき「守備範囲」「課金方式」「終わったあとに何が残るか」の3点を、企業側の視点で整理します。

この記事でわかること

  • RPOと採用代行の違いが、言葉の意味より「会社ごとの守備範囲の差」に出る理由
  • 採用代行会社を守備範囲4タイプに分けて見分ける方法と、比較のチェック観点
  • RPO・スカウト代行・採用自動化ツールの違いと、月額固定・成果報酬など課金方式の比較
  • 契約が終わったときに社内へ何が残るかで選ぶ判断軸と、見積りで聞く8つの質問

RPOと採用代行の違いは「言葉」より「会社ごとの守備範囲」に出る

まず用語を整理します。RPO(Recruitment Process Outsourcing)は採用プロセスの外部委託を指す英語表記で、日本語で「採用代行」と呼ばれているものと実質的にほぼ同じ意味です。「RPO=大企業向けの大規模委託、採用代行=中小企業向け」と説明されることもありますが、実際のサービス内容にその線引きはありません。RPOと採用代行の意味・目的の違い、そして人材紹介や人材派遣といったサービス種別ごとの比較は、RPOと採用代行の違い|人材紹介・派遣との比較表と費用の目安で表にまとめているので、そちらをご覧ください。

この記事が扱うのは、その先です。同じ「採用代行」を名乗る会社どうしで、やることが驚くほど違うという問題を扱います。

なぜ混乱が起きるのか。理由は3つあります。

1つ目は、呼び方が統一されていないことです。RPO、採用代行、採用アウトソーシング、採用支援、採用パートナー——これらはほぼ同じ市場を指す言葉として並行して使われており、名称からサービス内容を推し量ることはできません。

2つ目は、提案書の書き方が会社ごとに違うことです。ある会社は「スカウト運用一式」と1行で書き、別の会社は業務を20項目に分けて書きます。前者に何が含まれるのかは、聞かなければ分かりません。

3つ目は、参入している会社の出自がバラバラなことです。人材紹介会社が付帯サービスとして始めたところ、求人媒体の代理店が拡張したところ、フリーランスの採用担当者が法人化したところ、人事コンサルティング会社が実行支援に降りてきたところ。出自が違えば、得意な工程も違います。

つまり、比較の軸を自社で持たないまま3社に問い合わせると、比較にならない3枚の提案書が返ってくることになります。逆に言えば、軸さえ決めれば比較は難しくありません。

採用担当者が最初に立つ位置を確認するために、サービス種別の全体像だけ押さえておきます。

表①:採用支援サービスの位置づけ比較

おまかせ採用人材紹介求人広告採用コンサル
費用の出方月額固定で採用時の手数料なし成功報酬 年収の35%〜100%掲載課金(採れなくても発生)顧問料
どこまでやるか戦略設計〜実行〜定着候補者の紹介まで掲載まで助言・設計まで
何が残るか採用ノウハウとデータ残らない掲載データのみ提案書のみ
母集団の作り方有料+無料+独自ルート登録者の中から応募を待つ関与しない
入社後定着フォローまで行う返金規定のみ(3か月以内)なしなし

※一般的な例です(当社調べ)。実際の条件は各社・各契約によって異なります。

この表の「どこまでやるか」の行が、採用代行会社どうしの比較でもそのまま効いてきます。採用市場そのものが緩んでいないことも、守備範囲の差が結果に直結する理由です。厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2026年5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.17倍、新規求人倍率は2.11倍でした[1]。さらにリクルートワークス研究所の中途採用実態調査では、中途採用の未充足率は57.8%と報告されています[2]。求人を出すだけでは埋まらない前提で、どこを外部に任せるかを決める必要があります。

【この記事の結論を先に】 採用代行の比較で見るべきは社名や「RPO」という呼び方ではなく、①守備範囲(採用設計・実行・内定後のどこまで)②課金方式(月額固定か成果報酬か)③契約終了後に何が残るか、の3点です。

採用代行会社の守備範囲は大きく4タイプに分かれる

採用のプロセスは、大きく「採用設計」「採用実行」「内定・内定後」の3フェーズに分かれます。おまかせ採用ではこの3フェーズを18業務に分解して整理しています。

  • 採用設計(6業務):要件定義・ペルソナ設計/スカウト文作成/募集媒体選定/現状分析ヒアリング/求人票作成/1日職場体験
  • 採用実行(6業務):定例MTG/採用イベント代行/企業説明会代行/候補者対応/スカウトメール送信/面接スケジュール調整
  • 内定・内定後(6業務):キャリアコンサルタント面談/数値分析/改善施策の提案/ターゲット再設定/内定者フォロー支援/代行業務の変更

この3フェーズのどこを引き受けるかで、採用代行会社は次の4タイプに分かれます。

表②:採用代行会社の守備範囲マップ

タイプ採用設計採用実行内定・内定後向いている場面起きやすいこと
A:実務オペレーション型××要件も媒体も社内で決まっており、手だけが足りない応募の質が変わらず、母集団の設計が宙に浮く
B:媒体・スカウト特化型
(媒体内のみ)
×使う媒体が決まっていて運用工数だけ外に出したい媒体を変える判断が出てこない
C:戦略コンサル寄り型××社内に実行できる人員がいる提案書は出るが手が動かず、実行が止まる
D:伴走・内製化型採用担当が不在、または1人で回している委託範囲が広い分、期待値のすり合わせが必要

※一般的な例です(当社調べ)。実際の条件は各社・各契約によって異なります。

それぞれのタイプを補足します。

Aの実務オペレーション型は、決まった作業を大量にさばくことに向いています。応募者への一次返信、日程調整、選考データの入力といった業務は、社内の誰かが片手間でやると必ず後回しになり、返信の遅れが辞退につながります。ここだけを外に出す判断は合理的です。ただし「応募の質が低い」「そもそも応募が来ない」という課題には効きません。作業が速くなるだけで、母集団の作り方は変わらないからです。

Bの媒体・スカウト特化型は、特定の求人媒体の運用に強みを持つタイプです。媒体ごとの検索ロジックや反応の良い文面の型を知っているため、その媒体の中では成果が出やすくなります。一方で、判断が媒体の内側に閉じます。「この媒体では自社の求める層に出会えていないのではないか」という問い自体が出てきにくく、媒体を乗り換える意思決定は自社に残ります。

Cの戦略コンサル寄り型は、要件定義や採用戦略の設計を得意とします。人物像の言語化や競合との差別化ポイントの整理は、社内だけでやると主観が混ざりやすい領域なので、外部の目が入る価値は大きいところです。ただし実行は含まれません。提案書を受け取ったあと、それを実行できる人員が社内にいるかどうかが分かれ目になります。

Dの伴走・内製化型は、設計から実行、内定後のフォローまでを一本で見るタイプです。採用担当が不在、あるいは1人で回している中小企業に向いています。委託範囲が広いぶん、初期のすり合わせ(どこまでを任せ、どこから社内が判断するか)を丁寧にやる必要があります。

問い合わせの段階で「RPOです」「採用代行です」と言われても、この表のどこに位置するかは分かりません。比較のときは会社名ではなく、3フェーズの各項目に○×を付けてもらうのが確実です。

【確認のしかた】 「御社が担当する業務を、要件定義・媒体選定・求人票作成・スカウト送信・日程調整・候補者対応・内定者フォローの7つで○×を付けてください」と依頼する。曖昧な返答なら、その業務は自社に残ります。

中小企業の場合、採用担当が専任でいないことが多く、Aタイプ・Cタイプを選ぶと「残った側」の業務が現場に落ちてきます。会社規模別のサービス比較は中小企業向け採用代行おすすめ5選|300名以下の費用比較表にまとめています。

なお、どのタイプであっても、候補者の選考可否そのものを外部が決められるわけではありません。有料職業紹介にあたる行為には職業安定法上の許可が必要で[4]、代行会社の許可番号は厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます[5]

課金方式の違いが、会社ごとの差がいちばん出るところ

守備範囲と並んで会社ごとに割れるのが課金方式です。同じ業務範囲でも、料金の出方が違えば総額はまったく変わります。

表③:採用代行の課金方式4類型

課金方式費用の出方の目安向いている場面落とし穴
月額固定月10万〜80万円程度採用人数が読めない/複数職種を並行する稼働時間の上限を確認しないと追加費用が出る
従量課金スカウト1通・書類1件などの単価制業務量が読めていて短期で終わる量は増えるが質の改善が起きにくい
成果報酬採用1名につき年収の一定割合1名だけ、期限が明確人材紹介と費用構造が近づき、単価が上がりやすい
ハイブリッド月額+採用時手数料大量採用総額が読みにくく、予算化しづらい

※当社推計/業界相場目安

課金方式ごとの詳細な相場と内訳はスカウト代行の料金・費用相場|月額固定・従量課金・成果報酬を比較で扱っています。

月額固定は、採用人数が読めない中小企業と相性が良い方式です。1名でも3名でも月額は変わらないため、複数職種を並行して進めるほど1名あたりの単価が下がります。注意点は稼働時間で、「月額◯万円」の裏に稼働時間の上限が設定されているのが一般的です。上限を超えた場合にどうなるのかを、契約前に必ず確認します。

従量課金は、スカウト1通あたり、書類選考1件あたりといった単価で積み上げる方式です。業務量が読めている短期の案件には向いています。ただし単価が「量」に紐づいているため、量を増やす提案は出ても、送る相手を絞り直す提案は出にくくなります。反応が悪いときに何を変えるのかを、契約前に確認しておくと安全です。

成果報酬は、採用が決まったときにだけ費用が発生する方式です。予算のリスクが小さく見えますが、費用構造は人材紹介に近づきます。年収の一定割合という設計上、採用単価は高止まりしやすく、複数名を採るほど総額が伸びます。1名限定・期限が明確なケースに向いた方式です。

ハイブリッドは月額と採用時手数料の両方が発生する方式で、大量採用を前提とした大手向けの設計が多く見られます。中小企業が採用人数を読めないまま契約すると、年間予算が組みにくくなります。

おまかせ採用は月額固定で、ライト30万円/月(〜30時間)、スタンダード50万円/月(40〜50時間)、プレミアム80万円/月(60時間以上)の3プラン、採用時の手数料はありません。契約期間は内製化までを見据えて推奨6か月、稼働開始は初回打ち合わせから最短5営業日、最小ロットは1名から(新卒・中途問わず)です。※2026年8月時点の料金

費用の試算例を1つ出します。月額30万円×6か月=180万円。一方で人材紹介の手数料を1名150万円(年収500万円×30%)と置くと、2名採用できれば代行のほうが総額は下回る計算になります。あくまで例であり、年収水準や採用人数によって結果は変わります。

表⑥:採用人数別の総額シミュレーション(試算例)

採用
人数
月額固定の採用代行(月30万円×6か月)人材紹介(1名150万円で試算)
1名180万円150万円人材紹介が30万円安い
2名180万円300万円採用代行が120万円安い
3名180万円450万円採用代行が270万円安い
5名180万円750万円採用代行が570万円安い

※試算例です。人材紹介の手数料は年収500万円×30%=1名150万円として計算しています。実際の条件は各社・各契約によって異なります。

この試算から読み取れるのは、採用人数が増えるほど月額固定が有利になり、1名だけなら差はつきにくいという構造です。ただし人材紹介はプロセス自体が社内に残らないため、翌年も同じ費用が発生します。単年の金額だけでなく、翌年以降どうなるかまで含めて比べるのが実務的です。

【見積りで確認する4点】 ①月額に含まれる稼働時間の上限 ②上限を超えたときの追加費用 ③採用時の手数料の有無 ④途中で職種を追加・変更したときの扱い。この4点が書面にない見積りは、総額が後から動きます。

RPO・スカウト代行・採用自動化ツールの違い

「rpo スカウト代行 自動化 違い」で調べる採用担当者が増えています。近年はスカウト送信を自動化するツールも増え、代行と混同されやすくなっているためです。3者の違いは「人がどこまで判断するか」で切り分けると分かりやすくなります。

表④:RPO(採用代行)・スカウト代行・採用自動化ツールの違い

採用代行(RPO・伴走型)スカウト代行採用自動化ツール
ターゲットを決める代行会社と自社で設計自社が指定するのが基本自社が条件を入力
文面を作る作成・改善まで作成する場合が多いテンプレートを自社が用意
送信する行う行う自動送信
返信への対応候補者対応まで行う一次返信までの場合が多い自社対応
数字を見て変える定例で分析し施策を変える媒体内の指標が中心レポートは出るが判断は自社
費用の出方月額固定など通数課金・月額月額ライセンス

※一般的な例です(当社調べ)。実際の条件は各社・各契約によって異なります。

要点は、自動化ツールは「送る」を速くする道具であり、「誰に何を送るかを決め直す」ところは自社に残るということです。スカウトの返信が来ないとき、原因はたいてい送信量ではなくターゲット設計と文面にあります。おまかせ採用では1社あたり総計2,000通以上を送りながら、数日単位でABテストを回してターゲットと文面を組み替えています。文面改善によってスカウト開封率が3.6%→40.7%(約11倍)に変わった例があります。※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。

もう1つの違いは、数字を見て何を変えるかを誰が決めるかです。自動化ツールは開封率や返信率のレポートを出しますが、「開封率が低いから件名を変える」「返信率が低いのでターゲットの年齢レンジを広げる」という判断は自社が行います。代行会社のうち、定例で数字を見て施策を組み替えるところと、決められた通数を送るだけのところでは、3か月後の状態がまったく変わります。

自動化ツールを入れるかどうかで迷っているなら、判断の順番は次のようになります。まずターゲットと文面が固まっているかを確認し、固まっているなら自動化で量とスピードを取りにいく。固まっていないなら、先に設計を含む支援を入れる。順番を逆にすると、精度の低い文面を大量に配信することになり、媒体内での反応がさらに落ちます。

人材派遣との違いを気にされることもありますが、派遣は労働者を受け入れて自社が指揮命令する仕組みで、採用活動そのものを委託する採用代行とは目的が異なります。サービス種別としての比較は、冒頭で紹介したRPOと採用代行の違いの記事に譲ります。

「契約が終わったとき何が残るか」で違いが分かれる

守備範囲・課金方式に続く3つ目の判断軸が、契約終了後に社内へ何が残るかです。ここは提案書に書かれないことが多く、比較から抜け落ちがちな観点です。

残るものは、具体的には次の5つです。

  1. 採用ペルソナと要件定義:どんな人を、なぜその条件で採るのかの言語化
  2. スカウト文面と求人票の型:どの表現が反応したかの記録つき
  3. チャネル別の実績データ:媒体・訓練校・自治体・リファラルの応募数と単価
  4. 面接の評価基準:面接官が変わっても判断がぶれない基準
  5. KPIと改善の型:どの数字を見て、何を変えたか

1つずつ補足します。採用ペルソナと要件定義は、次に募集をかけるときの出発点になります。「35歳以下・経験3年以上」といった条件だけでなく、なぜその条件なのか、どこを妥協できるのかまで書かれていることが重要です。スカウト文面と求人票の型は、反応の記録つきで残ると価値が跳ね上がります。どの件名で開封率が上がり、どの一文で返信が増えたのかが分かれば、担当者が変わっても再現できます。

チャネル別の実績データは、翌年の予算の根拠になります。どの媒体にいくら使い、何人が入社したのか。無料チャネルからは何人来たのか。この記録がないまま「去年と同じ媒体で」と決めてしまうのが、媒体費だけが膨らむ典型的なパターンです。面接の評価基準は、面接官が複数いる会社ほど効きます。基準が言語化されていないと、面接官ごとに合否が割れ、候補者側にも一貫性のなさが伝わります。KPIと改善の型は、どの数字を見て何を変えたかの記録です。応募数だけを追うのか、有効応募数を追うのかで、打ち手はまったく変わります。

この5つが残らない契約は、終わった瞬間にまた同じ状態に戻ります。おまかせ採用が推奨6か月という期間を置いているのは、この5つを社内に移すためです。採用ノウハウとデータが会社の財産として残る伴走型を方針にしており、弊社の採用代行は契約継続率100%(2026年8月時点)です。「継続率」であり、採用の結果を保証するものではありません。

【残らない契約の見分け方】 「契約終了時に、どの資料をどの形式で引き渡しますか」と聞く。ペルソナ・文面・媒体別データ・面接基準・KPIシートの5点が挙がらない場合、社内には何も残りません。

無料チャネルの開拓も「残るもの」に含まれます。弊社では電話・訪問・公共事業への参加で提携職業訓練校を2校→42校に広げ、無料で25応募を得ています。支援先全体で見ると、入社の4割超は採用費0円のチャネル(無料媒体・自治体支援・リファラル)からです。※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。

中小企業が自社に合う守備範囲を見極める5つの質問

「どのタイプが正解か」は会社によって変わります。次の5つに答えると、必要な守備範囲が絞れます。

  1. 採用の要件は言語化されているか:求める人物像を第三者に説明できないなら、採用設計を含むタイプ(表②のC・D)が必要です
  2. 実行する手が社内にあるか:スカウト送信・日程調整・候補者対応を担当できる人がいないなら、採用実行を含むタイプ(A・B・D)が必要です
  3. 採用人数と職種の数はいくつか:1職種1名なら特化型でも回りますが、複数職種を並行するなら設計と実行が分かれていると破綻します。おまかせ採用では1社最大7職種(営業・経理労務・Webデザイナー・エンジニア・マーケター・DX/AI・カスタマーサポート)を同時並行で回した実績があります
  4. 入社後の定着に不安があるか:早期離職が続いているなら、内定者フォローや入社後面談を含む範囲まで見るべきです
  5. 法対応を自社で追えるか:2024年4月から労働条件明示のルールが変わり、就業場所・業務の「変更の範囲」の明示などが追加されました[3]。求人票や労働条件通知書の記載を代行会社がチェックできるかを確認します

この5つの答えを並べると、必要な守備範囲はほぼ機械的に決まります。1と2の両方に「ない」と答えた会社は、表②のDタイプ(設計と実行の両方を含む範囲)でなければ、結局どこかの工程が現場に落ちます。逆に1に「ある」、2に「ある」と答えられる会社なら、Bタイプの媒体特化型で足りるケースも多くあります。

判断が難しいのは、1に「ある」と思っているが実際には言語化されていないというケースです。求人票に書かれている条件と、面接で実際に見ている点がずれている会社は珍しくありません。社員インタビューを提案に含む会社を選ぶと、この検証を初期にやってもらえます。

5番目は見落とされがちですが、求人票と労働条件通知書の記載は採用実務に直結します。あわせて、候補者の個人情報を委託先に渡すことになるため、委託先の管理体制の確認も必要です[6]

また、自治体の採用支援を使えるかどうかも守備範囲の差が出るところです。東京都の場合、東京しごとセンターなどが中小企業向けの採用支援を行っており[7]、こうした無料チャネルを提案に含める会社と、有料媒体しか扱わない会社では母集団の作り方が変わります。

守備範囲を広く取った会社で何が変わったか(Before/After)

実際に採用設計から内定後までを含む範囲で支援した3社の変化です。

表⑤:Before/After事例3社

企業BeforeAfter主な打ち手
インフラ系SES会社(従業員8名・創業以来初の採用)職業訓練校3校/エージェント以外の応募0件/説明会は年1回訓練校19校/エージェント以外の応募13件(4か月)/説明会は4か月で7回・80名に直接アプローチ訓練校・公共事業をリサーチして説明会枠を獲得(採用費0円)。資料と話し方を助言し内製化しながら代行で回数を担保
飲食店WEB集客コンサルティング会社(従業員21名・人事チーム0から)採用単価 約120万円/有効応募15件/外注スカウトの応募0採用単価 約40万円/有効応募106件/エージェント以外から10名採用中途入社7名に社員インタビュー→ペルソナ設定。求人票と媒体別ABテスト。Re就活・マイナビ転職へスイッチ。カジュアル面談も代行
AI開発企業(従業員19名・創業3期目・採用が初めて)スカウトを送っても返信がない/面接に割く時間がない返信率14.0%・開封率49.1%/運用1か月で27名応募/カジュアル面談20件を代行国家資格キャリアコンサルタントが面接をレクチャー。面談を代行して熱が冷める前に会える体制へ

※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。

2社目のケースでは、Re就活のスカウトメールで開封率30.6%→60.7%、応募27件増という変化がありました。転職フェアでもブース設計と採用漫画で着席49名・後日面談14名(会場平均28.2名)という結果になっています。いずれも「送る量」ではなく「誰に何を送るか」を組み替えた結果で、守備範囲に採用設計が入っていなければ起きなかった変化です。

3社に共通しているのは、最初に触ったのが「送る量」でも「媒体のプラン」でもなく、ターゲットの定義だったという点です。1社目は「エージェント経由の応募しか来ない」という状態から出発しましたが、増やしたのは広告費ではなく、訓練校と公共事業という無料のルートでした。2社目は外注スカウトで応募0という状態から、社員インタビューでペルソナを引き直しています。3社目は媒体を増やす前に面接の進め方から手を入れました。

この順番は、守備範囲に「採用設計」が入っていないと踏めません。実務オペレーションだけを委託していた場合、送信通数は増えても、送る相手は変わらないからです。守備範囲の広さは、そのまま「打てる手の種類」の多さだと考えると分かりやすくなります。

提案・見積りで必ず聞く8つの質問

最後に、複数社を比較するときの質問リストをまとめます。答えを並べると、守備範囲・課金方式・残るものの差がそのまま表になります。

  1. 業務範囲:採用設計・採用実行・内定後の3フェーズで、どこまでを担当しますか
  2. 担当体制:担当者は何名で、どの業務を誰が行いますか
  3. 現場理解:社員インタビューや職場見学は行いますか
  4. 課金方式:月額固定ですか、成果報酬ですか。採用時の手数料はありますか
  5. 稼働時間:月額に含まれる稼働時間の上限と、超えた場合の扱いは
  6. 開始スピード:契約から稼働開始まで何営業日ですか
  7. 改善の進め方:どの指標を、どの頻度で見て、施策をどう変えますか
  8. 引き渡し:契約終了時に何をどの形式で引き渡しますか

おまかせ採用の場合は、3フェーズ18業務が守備範囲、月額固定30/50/80万円で採用時手数料なし、社員インタビューと1日職場体験で現場を理解し、定例MTGと数日単位のABテストで施策を変え、推奨6か月で内製化まで進める、という答えになります。※2026年8月時点の料金

導入の流れは、①お問い合わせ→②ご提案(初回打合せ・ヒアリング)→③詳細打ち合わせ(業務範囲・契約内容)→④契約締結→⑤キックオフMTG(社員インタビューやワーク)の5段階です。④の契約締結では、期間・料金・業務範囲の確定に加えて、担当者と連絡体制、資料・権限の共有、現場体験と初回日程まで決めます。ここまで詰めておくと、キックオフの翌週から実務が動きます。

【比較のまとめ方】 8つの質問の答えを、社名を伏せた3列の表にして並べる。金額の行だけを見て決めず、「業務範囲」「引き渡し」の行がどうなっているかを先に見る。金額差の理由は、たいていこの2行に書かれています。

なお、複数社を比較する際に口コミや導入実績数だけで判断すると、自社と規模も職種も違う会社の事例を見て決めることになりがちです。従業員数と職種が近い支援実績があるかを聞くほうが、判断材料としては確実です。

よくある質問

Q1. RPOと採用代行は、契約上どちらかを選ぶ必要がありますか?

いいえ。RPOと採用代行はほぼ同じ意味で使われている言葉で、契約書上の区分ではありません。比較するときは呼び方ではなく、業務範囲・課金方式・引き渡し物の3点を見てください。用語とサービス種別の整理は関連記事で扱っています。

Q2. 採用代行会社によって金額が2倍以上違うのはなぜですか?

守備範囲と課金方式が違うためです。求人票作成やスカウト送信だけを請け負う会社と、要件定義から内定後フォローまで含む会社では、月額の意味が異なります。金額だけを並べても比較にならないので、3フェーズの○×を揃えたうえで比べてください。

Q3. スカウト自動化ツールを入れれば採用代行は不要になりますか?

用途が違います。自動化ツールは送信を速くする道具で、ターゲット設計・文面改善・返信対応・改善の判断は自社に残ります。返信が来ない原因が送信量ではなく設計側にある場合、ツールだけでは解決しません。

Q4. 1名だけの採用でも採用代行に依頼できますか?

おまかせ採用は1名から、新卒・中途問わず対応しています。初回打ち合わせから最短5営業日で稼働を開始できます(2026年8月時点)。

Q5. 契約が終わったあと、自社で採用を回せるようになりますか?

そこを前提に設計しています。推奨6か月の契約期間中に、採用ペルソナ・スカウト文面・チャネル別データ・面接基準・KPIを社内に残す進め方をとっており、採用ノウハウとデータが会社に残る形を目指しています。

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参考資料

  1. 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html
  2. リクルートワークス研究所「中途採用実態調査」 https://www.works-i.com/research/works-report/item/241128_midcareer.pdf
  3. 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 https://muki.mhlw.go.jp/rule.html
  4. e-Gov法令検索「職業安定法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
  5. 厚生労働省「人材サービス総合サイト」 https://jinzai.mhlw.go.jp/
  6. 個人情報保護委員会 https://www.ppc.go.jp/
  7. 東京しごとセンター https://www.tokyoshigoto.jp/
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