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求人票のNG表現56例と言い換え表|4つの法律別チェックリストと2024年改正で追加された記載事項 - おまかせ採用

求人票のNG表現56例と言い換え表|4つの法律別チェックリストと2024年改正で追加された記載事項

「女性歓迎」「35歳までの方」「アットホームな職場」——求人票でよく見かけるこれらの表現には、法令違反になるもの・グレーなもの・単に応募を減らすものが混在しています。区別がつかないまま掲載を続けると、行政指導や企業名公表のリスクを抱えたまま採用活動を続けることになります。

本記事では、求人票のNG表現を男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法・職業安定法・労働基準法の4つの法律別に整理し、そのまま使える言い換え表と、2024年4月改正で追加された記載事項のチェックリストをまとめました。すべて厚生労働省の公開資料に基づいています。

この記事でわかること

  • 法律別のNG表現と言い換え性別・年齢・身元・労働条件の4カテゴリ56例を、NG→OKの対応表で整理
  • 年齢制限が例外的に書けるケース:原則禁止のなかで認められる6つの例外事由と、記載の仕方
  • 2024年4月改正で追加された求人票の記載事項:業務・就業場所の「変更の範囲」など3項目の書き漏れチェック
  • セルフチェック30項目と工数:掲載前の確認リストと、法令チェックにかかる時間・外注費用の目安

1. 求人票のNG表現は「4つの法律」に分かれる

求人票の表現規制は1つの法律にまとまっていません。どの法律に触れるかで、リスクの重さも直し方も変わります。まず全体像を押さえてください。

法律主に規制される内容求人票での典型的なNG違反時の主な帰結
男女雇用機会均等法性別を理由とする募集・採用の差別「女性歓迎」「営業マン募集」助言・指導・勧告、勧告に従わない場合は企業名公表
労働施策総合推進法募集・採用時の年齢制限「35歳まで」「若手歓迎」ハローワークでの求人不受理、助言・指導
職業安定法労働条件の明示、虚偽の条件提示「給与は当社規定による」「月収50万円可能(歩合含む)」明示義務違反の指導、虚偽広告は罰則の対象
労働基準法労働条件の明示(契約締結時)就業場所・業務の「変更の範囲」の未記載労働基準監督署の指導

このうち、求人票の文言そのものが直接引っかかりやすいのが上2つ(性別・年齢)です。下2つは「書いていない」「実態と違う」という不備の形で問題になります。

厚生労働省は、就職の機会均等を確保するため、応募者の基本的人権を尊重した公正な採用選考を実施するよう事業主に協力を求めています[6]。求人票はその入口にあたる文書です。

【ここだけ押さえる】

NG表現を避ける原則はひとつだけです。「人の属性で絞らず、業務の事実で書く」。 「体力に自信のある方」は主観的な属性ですが、「1個あたり8kgの部材を1日約50回運搬します」は業務の事実です。事実で書けば候補者が自分で判断でき、法令上の論点も生じにくくなります。

なお、2026年10月1日からは、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が事業主の義務となります[3]。求人票そのものの表現に加え、応募後の対応まで含めた見直しが必要な時期に入っています。

2. 【性別】男女雇用機会均等法のNG表現と言い換え16例

男女雇用機会均等法は、募集・採用において性別を理由とする差別的取扱いを禁止しています。厚生労働省は企業の募集・採用担当者向けに「男女均等な採用選考ルール」を公開しています[4]

職種名・募集条件のNG→OK

#NG表現何が問題か言い換え例
1営業マン募集男性を示す語営業職/営業スタッフ
2ウェイトレス募集女性を示す語ホールスタッフ
3看護婦募集女性を示す語看護師
4保母さん募集女性を示す語保育士
5カメラマン(男性)性別限定カメラマン/撮影スタッフ
6セールスレディ女性限定販売職
7女性歓迎一方の性を優遇性別を問わず歓迎/未経験歓迎
8男性活躍中一方の性を優遇20〜50代が活躍中

応募要件・選考条件のNG→OK

#NG表現何が問題か言い換え例
9身長160cm以上業務上の必要性がない場合、間接差別に当たりうる記載しない/業務内容を具体的に書く
10体重◯kg以上同上記載しない
11全国転勤に応じられる方(総合職)業務上の必要性がない場合、間接差別に当たりうる転勤の有無と範囲を事実で明記
12力仕事ができる男性性別限定重量物(1個約8kg)の運搬があります
13女性が活躍しやすい職場です(女性のみ募集)実質的な性別限定記載しない/ポジティブアクションの要件を確認
14主婦歓迎性別を想起させる主婦・主夫歓迎/扶養内勤務可
15家庭と両立したい女性へ性別限定家庭と両立したい方へ
16未婚の方/お子様のいない方業務と無関係な個人属性記載しない

【注意点】

「女性歓迎」は差別の意図がなくても問題になります。 実務では「女性が少ない職場なので来てほしい」という善意で書かれることが多いのですが、条文上は一方の性を優遇する表現です。女性の活躍推進を目的として女性のみを対象とする募集を行う場合は、ポジティブ・アクションとして認められる要件を満たすかどうかを事前に確認してください。判断に迷う場合は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談できます[3]

例外的に性別を限定できるケース

業務の性質上、いずれかの性でなければ従事させることが困難な職務については、例外が認められる場合があります。代表例は、守衛・警備員などのうち防犯上の要請があるもの、芸術・芸能の分野で表現上の必要があるもの、宗教上・風紀上の理由で必要があるものです。「これまで男性ばかりだったから」という慣習的な理由は例外に当たりません。

間接差別に注意すべき3つの要件

条文上は性別に触れていなくても、結果的に一方の性を排除する要件は「間接差別」として問題になり得ます。求人票で使われやすいのは次の3つです。

  1. 【身長・体重・体力】募集・採用にあたり、身長・体重・体力を要件とすること:業務遂行上の必要性が説明できない限り避けてください。「重量物の運搬あり」と業務の事実で書けば足ります。
  2. 【全国転勤】総合職の募集にあたり、転居を伴う転勤に応じられることを要件とすること:必要性がない場合は問題になり得ます。転勤の有無と範囲を事実で書くのが安全です。
  3. 【昇進要件としての転勤経験】昇進にあたり転勤経験を要件とすること:求人票の「キャリアパス」欄に書き込んでいるケースがあります。

【回避策】

3つに共通するのは、「その要件は本当に業務に必要か」を言葉で説明できるかという点です。説明できるなら、その説明文をそのまま求人票に書いてください。「重量物の運搬があるため、1個約8kgの部材を1日約50回扱います」という書き方なら、要件の必要性も業務内容も同時に伝わります。

3. 【年齢】原則禁止と6つの例外事由

労働施策総合推進法により、労働者の募集・採用にあたって年齢制限を設けることは原則として禁止されています。「若手」「シニア」といった曖昧な表現も、年齢を想起させるものは避けるのが安全です。

#NG表現言い換え例
1735歳までの方年齢不問(例外事由に該当する場合を除く)
1818〜40歳くらいまで経験年数や必要スキルで記載
19若手歓迎/若い方歓迎20代・30代が活躍中(在籍者の事実として)
2040代以上不可記載しない
21シニア不可記載しない
22定年間近の方はご遠慮ください記載しない

例外として年齢制限が認められる6つのケース

年齢制限が例外的に認められるのは、次のケースです。例外に当たる場合でも、求人票にはその理由を併記する必要があります。

例外事由内容求人票での書き方の例
1号定年年齢を上限として、期間の定めのない労働契約で募集する場合「65歳未満(定年65歳のため)」
2号法令により年齢制限が設けられている場合「18歳以上(労働基準法の深夜業の制限のため)」
3号イ長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約で募集する場合「35歳未満(長期勤続によるキャリア形成のため/職業経験不問・新卒同等の処遇)」
3号ロ技能・ノウハウの継承のため、特定の職種で労働者数が相当程度少ない年齢層に限定する場合「30〜39歳(技能継承のため/当該年齢層が他の年齢層の2分の1以下)」
3号ハ芸術・芸能の分野で表現の真実性等の要請がある場合「10代の役柄のため」
3号ニ60歳以上の高年齢者、または特定の年齢層の雇用促進施策の対象者に限定する場合「60歳以上(高年齢者の雇用促進のため)」

【回避策】

3号イ(長期勤続によるキャリア形成)を使う場合、職業経験を不問とし、新卒者と同等の処遇にすることが条件になります。「35歳未満で実務経験5年以上」という書き方は、この例外と矛盾するため使えません。年齢で絞りたくなったら、まず「その年齢でなければならない業務上の理由があるか」を自問してください。ほとんどの場合、必要なのは年齢ではなく経験やスキルです。

年齢を書かずに「狙った層」に届かせる4つの方法

年齢制限を外すと想定外の層から応募が来る、という懸念はよく聞きます。しかし年齢は「絞り込み条件」ではなく「訴求の設計」で代替できます

  1. 【経験年数で書く】:「実務経験1〜5年程度の方」。年齢そのものではなくスキルの段階を示せば、候補者側が自分で判断します。
  2. 【在籍者の事実を書く】:「現在のチームは20代3名・30代2名で構成されています」。募集条件ではなく職場の事実として書くのは問題ありません。
  3. 【キャリアパスで書く】:「入社3年目で主任、5年目でマネージャーを目指せます」。長期的な成長を描く求人は、自然と長期勤続を志向する層に届きます。
  4. 【働き方で書く】:「フルリモート週3日可」「時短勤務可」など。条件そのものが、特定のライフステージの層に強く刺さります。

【注意点】

2の「在籍者の事実」は書き方を誤ると年齢制限とみなされます。「20代活躍中」は事実の記述として許容される一方、「20代の方を歓迎します」は募集条件になってしまいます。 主語が「現在の社員」なのか「応募してほしい人」なのかで意味が変わる点に注意してください。

4. 【身元・思想】選考で聞いてはいけない14事項と求人票への波及

厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある事項として14項目を挙げています[5]。応募用紙・面接・作文などで把握することが問題とされる事項ですが、求人票の応募要件に書いてしまうケースも実務では見られます

分類該当する事項
(a)本人に責任のない事項本籍・出生地/住宅状況(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)/家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)/生活環境・家庭環境
(b)本来自由であるべき事項宗教/人生観・生活信条/思想/購読新聞・雑誌・愛読書/支持政党/尊敬する人物/労働組合や学生運動などの社会運動に関すること
(c)採用選考の方法身元調査などの実施/合理的・客観的に必要性が認められない健康診断の実施/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用

同省の資料によれば、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったもののうち、「家族に関すること」の質問が多くを占めています[5]。面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いとされています。

求人票側で気をつけるNG表現

#NG表現何が問題か言い換え例
23実家から通える方住宅状況・家庭環境の把握につながる勤務地:◯◯市(通勤時間の目安を記載)
24家族の理解がある方家庭環境の把握記載しない
25持ち家の方優遇住宅状況記載しない
26身元保証人を立てられる方身元調査につながりうる記載しない(必要な場合は入社手続きの説明で)
27健康診断書の提出必須合理的必要性が認められない場合は問題業務上必要な場合のみ、理由とともに記載
28心身ともに健康な方障害の有無による排除につながりうる業務内容を事実で記載
29明るく前向きな方主観的で選考基準にならない「初対面の方と会話する機会が1日◯件あります」
30当社の理念に共感できる方思想・信条に踏み込みうる「◯◯という方針で事業を運営しています」と事実を提示

【注意点】

29や30は法令違反と断定できるものではありませんが、選考基準として機能しないうえ、応募のハードルだけを上げます。求人票に書いた要件は面接で確認することになり、そこで踏み込みすぎると14事項に触れる質問につながります。求人票の要件を減らすことが、面接での事故を防ぐ最も簡単な方法です。

5. 【労働条件】2024年4月改正で追加された記載事項と書き漏れチェック

ここからは「書いてはいけない表現」ではなく「書かなければならない事項」です。求人票の記載事項は、2024年4月に拡大されました。

令和6年4月1日から、求人企業が労働者の募集を行う場合には、従来の明示事項に加えて次の3つの明示が必要になっています[1]

追加された明示事項内容
従事すべき業務の変更の範囲雇入れ直後の業務に加え、将来的に変わりうる業務の範囲
就業の場所の変更の範囲雇入れ直後の勤務地に加え、将来的に変わりうる勤務地の範囲
有期労働契約を更新する場合の基準通算契約期間または更新回数の上限を含む

あわせて、労働契約の締結時の明示ルールも改正され、すべての労働者に対して就業場所・業務の「変更の範囲」の明示が必要になりました[2]。有期契約については更新上限の明示、無期転換申込権が発生する更新時の申込機会と転換後の労働条件の明示も追加されています。

求人票の必須記載事項チェックリスト

#項目よくある書き漏れ・NG
31従事すべき業務の内容「営業全般」だけで範囲が不明
32業務の変更の範囲2024年改正の追加項目。記載漏れが最多
33就業の場所「本社ほか」で特定できない
34就業場所の変更の範囲2024年改正の追加項目
35労働契約の期間有期なのに「正社員登用あり」だけ記載
36有期契約の更新基準・通算上限・更新回数上限2024年改正の追加項目
37試用期間の有無と期間「試用期間あり」のみで期間が不明
38始業・終業時刻、休憩、休日「シフト制」のみ
39所定時間外労働の有無「あり」のみで時間の目安がない
40賃金(賃金形態・基本給)「当社規定による」
41固定残業代の内訳時間数と金額の内訳がない
42加入保険「各種社保完備」のみ
43募集者の氏名または名称媒体名のみで社名がない
44派遣労働者として雇用する旨派遣なのに記載がない
45受動喫煙防止措置記載漏れ

【回避策】

チェックリストのうち32・34・36の3項目は、2024年3月以前に作ったテンプレートには存在しません。求人票のひな形を更新していない企業は、この3行を追加するだけで対応が進みます。記載例は「業務の変更の範囲:会社の定める業務全般」「就業場所の変更の範囲:会社の定める事業所(転勤なし)」のように、実態に合わせて書いてください。

「変更の範囲」の書き方ビフォーアフター

追加3項目のうち、書き方に迷いやすいのが「変更の範囲」です。実際の記載例を並べます。

項目ビフォー(改正前のまま)アフター(改正対応)
業務の内容法人営業雇入れ直後:法人営業/変更の範囲:会社内の全業務(営業・営業事務・カスタマーサポート)
就業の場所本社(東京都◯◯区)雇入れ直後:本社(東京都◯◯区)/変更の範囲:本社および東京都内の各営業所(転居を伴う転勤なし)
契約期間(有期)契約期間1年契約期間1年/更新の有無:あり/更新の判断基準:勤務成績・業務量・会社の経営状況/通算契約期間の上限:5年

※記載例。実態に合わせて調整してください

ポイントは3つです。第一に、「雇入れ直後」と「変更の範囲」を分けて書くこと。第二に、変更の可能性がない場合も「変更なし」と明記すること。書かないと「範囲が広い」と解釈される余地が残ります。第三に、転勤の有無は変更の範囲のなかで具体的に触れること。求職者が最も気にする項目であり、明記すれば応募判断が早くなります。

求人票全体の構成の作り方は、魅力的な求人の作り方|応募が増える7つの構成要素と求人票テンプレートで解説しています。

6. 【誇大・虚偽】応募を集めたい気持ちが招く違反

応募が集まらないと、つい表現を盛りたくなります。しかし虚偽の条件を提示して募集を行うことは職業安定法で禁止されており、罰則の対象です(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)。

#NG表現何が問題か言い換え例
46月収50万円可能!歩合を含む上限額を基本給のように見せている基本給28万円+歩合(前年度実績:月平均9万円)
47残業ほぼなし実態と異なる場合は虚偽表示月平均残業18時間(前年度実績)
48完全週休2日制(実際はシフト制)用語の誤用。週2日の休みが確実な場合のみ使える週休2日制(月8〜9日/シフト制)
49年収500万円以上可到達条件が不明年収400万〜550万円(経験5年で500万円相当)
50未経験でも月給35万円適用条件が隠れている未経験入社時:月給25万円/経験者:月給30万〜35万円
51誰でもすぐ活躍できます根拠のない断定入社1〜3か月は◯◯を担当し、4か月目から◯◯へ
52正社員登用実績多数「多数」の基準が不明直近3年の登用実績:8名(対象者12名中)
53業界トップクラス根拠が示せない場合は誇大表示◯◯分野で国内シェア3位(2025年・自社調べ)
54アットホームな職場です実態と異なる場合に離職につながる平均年齢34歳/中途入社比率7割
55やる気次第で青天井根拠のない期待醸成インセンティブ上限なし(前年度最高:年間120万円)
56社会保険完備(実際は一部未加入)虚偽表示健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険

「盛る」より効く情報開示

誇大表現をやめると応募が減るのではないか、と心配されますが、実際は逆に働くことが多くあります。求職者は複数の求人を並べて比較しており、条件が具体的な求人ほど検討対象に残るためです。リクルートワークス研究所の中途採用実態調査によれば、2025年度下半期の中途採用実施割合は84.4%と過去最高を更新しています[7]。それだけ比較される求人が増えているということです。

なぜ応募が集まらないのかを構造から整理したい場合は、求人を出しても応募が来ない理由と対策もあわせてご覧ください。給与表示が応募数に与える影響については、新卒採用で応募が来ない原因は給与表示?で解説しています。

7. 掲載前セルフチェック30項目の使い方

56例を毎回見返すのは現実的ではありません。掲載前に確認するのは次の5ブロック・各6項目の計30項目に絞ってください。

  1. 【性別ブロック】:職種名に性別を示す語がないか/「歓迎」「活躍中」に性別が付いていないか/身長・体重・体力の条件がないか/転勤要件に業務上の必要性があるか/「主婦」単独表記になっていないか/婚姻・子の有無に触れていないか
  2. 【年齢ブロック】:年齢の上限・下限を書いていないか/「若手」「シニア」等の語がないか/例外事由に当たる場合、理由を併記しているか/3号イを使う場合に経験不問としているか/在籍者の年齢は「事実」として書いているか/定年の記載と矛盾がないか
  3. 【属性ブロック】:住宅・家族・本籍に触れていないか/身元保証人を要件にしていないか/健康診断書の提出に業務上の必要性があるか/「心身ともに健康」等の表現がないか/思想・信条に踏み込んでいないか/主観的な人物要件を要件欄に入れていないか
  4. 【必須記載ブロック】:業務の変更の範囲を書いたか/就業場所の変更の範囲を書いたか/有期の更新基準・上限を書いたか/固定残業代の時間数と金額を書いたか/受動喫煙防止措置を書いたか/募集者の名称を書いたか
  5. 【正確性ブロック】:給与の上限額を基本給のように見せていないか/残業時間は実績値か/「完全週休2日制」の用語が正しいか/「多数」「トップクラス」に根拠があるか/保険の加入実態と一致しているか/掲載内容が3か月以内に更新されているか

【ここだけ押さえる】

チェックは求人票を作った本人以外が行うのが原則です。書いた本人は「意図」で読んでしまうため、属性表現に気づけません。社内に第三者がいない場合は、5ブロックを1日空けてから自分で読み返すだけでも検出率が上がります。

見落としを減らす3つの運用ルール

チェックリストは作っただけでは機能しません。次の3つを決めておくと定着します。

  1. 【タイミングを固定する】掲載前と四半期末の年5回:思い出したときに確認する運用は必ず形骸化します。カレンダーに繰り返し予定として登録してください。1回あたり30〜60分です。
  2. 【責任者を1人決める】最終確認者はA(承認者)を1人だけ置く:複数人で見る運用は「誰かが見ているだろう」となり、かえって漏れます。実務担当と最終確認者を分けるのが基本形です。
  3. 【差分だけを見る】前回チェックからの変更箇所に印を付ける:全文を毎回読み直すと集中力が続きません。給与・勤務地・業務内容の3項目だけは毎回フル確認し、それ以外は変更箇所に絞ります。

法改正のタイミングだけは例外で、改正があった年は全文を1度見直してください。2024年4月改正のように記載事項そのものが増える場合、差分チェックでは追加項目に気づけないためです。

8. 法令チェックの工数とコスト|内製・外注の分岐点

最後に、この作業にどれだけの時間と費用がかかるかを整理します。

作業1職種あたりの所要時間頻度
テンプレートの2024年改正対応2〜4時間初回のみ
新規求人票の作成(法令チェック込み)2〜3時間職種ごと
既存求人票の点検・修正30〜60分四半期ごと
媒体ごとの転記・文字数調整20〜40分媒体ごと
法改正のキャッチアップ1〜2時間年2回

※当社推計/業界相場目安

5職種を3媒体に掲載している企業であれば、初回で約20時間、以降は四半期ごとに5〜8時間が目安です。Indeed Japanの調査によれば、採用担当者の72.4%が他業務と兼務しており、従業員300名以下の企業では業務全体のうち採用に割けている時間が平均35.5%にとどまります[8]。この工数を安定的に確保できるかが、内製と外注の分かれ目になります。

選択肢費用の目安社内工数向いているケース
完全内製0円初回20時間+四半期5〜8時間職種が1〜2つ/社内に確認できる人がいる
社労士にチェックのみ依頼1回1万〜3万円作成は自社表現の適法性だけ確認したい
求人原稿の作成代行月5万〜15万円情報提供のみ職種が多い/媒体をまたぐ
採用業務の部分委託(原稿+運用)月10万〜30万円月3〜6時間原稿以外の工数も重い

※当社推計/業界相場目安

判断軸は月額ではなく、「支払額1万円あたり、社内で何時間が空いたか」です。月10万円で15時間空くなら1万円あたり1.5時間。この数字で並べると、選択は感覚ではなく計算で決められます。

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よくある質問

Q1. 「女性歓迎」と書くのは違法ですか?

A. 男女雇用機会均等法は募集・採用における性別を理由とする差別的取扱いを禁止しており、一方の性を優遇する表現は問題になります。差別の意図がなく「女性が少ない職場だから来てほしい」という趣旨であっても同様です。女性の活躍推進を目的として女性のみを対象とする募集を行う場合は、ポジティブ・アクションとして認められる要件を満たすかどうかを事前に確認してください。判断に迷う場合は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談できます。

Q2. 求人票に年齢を書けるケースはありますか?

A. あります。定年年齢を上限とする場合、法令により年齢制限がある場合、長期勤続によるキャリア形成を図る場合、技能継承のため特定年齢層が相当程度少ない職種に限定する場合、芸術・芸能で表現上の必要がある場合、60歳以上や雇用促進施策の対象者に限定する場合の6つです。ただし例外に当たる場合でも、求人票には理由の併記が必要です。長期勤続によるキャリア形成を理由とする場合は、職業経験を不問とし新卒者と同等の処遇にすることが条件になります。

Q3. 2024年4月の改正で、求人票の記載事項は何が増えましたか?

A. 令和6年4月1日から、労働者の募集を行う際に「従事すべき業務の変更の範囲」「就業の場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」の3つを明示することが必要になりました。あわせて労働契約の締結時の明示ルールも改正されています。2024年3月以前に作った求人票テンプレートにはこの3項目が存在しないため、ひな形の更新が必要です。

Q4. 「アットホームな職場」はNG表現ですか?

A. 法令違反ではありませんが、実務上は避けたほうがよい表現です。理由は2つあります。第一に、求職者が判断に使える情報を含まないため、比較検討の対象から外れやすくなります。第二に、入社後の実態と乖離した場合、早期離職の一因になります。「平均年齢34歳」「中途入社比率7割」のように、検証可能な事実に置き換えてください。

Q5. 求人票の法令チェックは誰がやるべきですか?

A. 作成者以外の第三者が行うのが原則です。書いた本人は「意図」で読んでしまうため、属性に関する表現を見落とします。社内に確認できる人がいない場合は、掲載前に1日空けて読み返す、あるいは社労士に表現の確認だけを1回1万〜3万円程度で依頼する方法があります。職種数や媒体数が多く工数が確保できない場合は、求人原稿の作成代行(月5万〜15万円が目安)の活用も選択肢になります。※当社推計/業界相場目安

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参考資料

  1. 厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」2024年
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/r0604anteisokukaisei1.html(最終閲覧:2026年8月3日)
  2. 厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」2024年
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html(最終閲覧:2026年8月3日)
  3. 厚生労働省「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」2026年
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html(最終閲覧:2026年8月3日)
  4. 厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」2025年
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084289.html(最終閲覧:2026年8月3日)
  5. 厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時に配慮すべき事項」2025年
    https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html(最終閲覧:2026年8月3日)
  6. 厚生労働省「公正な採用選考について」2025年
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_57093.html(最終閲覧:2026年8月3日)
  7. リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)」2026年
    https://www.works-i.com/surveys/report/260612_midcareer.html(最終閲覧:2026年8月3日)
  8. 大学ジャーナルオンライン「採用面接に割ける時間は業務の2割未満 Indeedが採用担当者の業務実態を調査」(Indeed Japan調査、n=1,647)2022年
    https://univ-journal.jp/137063/(最終閲覧:2026年8月3日)

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