「採用代行(RPO)に頼めば採用がラクになる」と聞いて検討を始めたものの、いざ調べると「ノウハウが残らない」「丸投げは危険」「割高になる」といったデメリットの情報が次々と出てきて、不安になっていませんか。結論から言えば、採用代行のデメリットは”存在しない”のではなく、”事前に対策できる”ものがほとんどです。問題は、デメリットを知らないまま契約し、回避策を打たないまま運用してしまうことにあります。この記事では、採用代行の代表的なデメリット7つを一つずつ取り上げ、それぞれに対する具体的な回避策・チェックポイント・費用の目安をセットで解説します。さらに、自社が採用代行に「向いているのか・向いていないのか」を判断するための表と、契約前に確認すべきチェックリストまで用意しました。読み終えるころには、デメリットを正しく恐れたうえで、自社にとって賢い使い方ができる状態になっているはずです。
なぜ今「採用代行のデメリット」を知っておくべきなのか
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)は、求人媒体の運用、スカウト送信、応募者対応、面接日程調整といった採用業務を外部に委託するサービスです。人手不足とひとり人事の増加を背景に市場は拡大を続けていますが、同時に「導入したのに成果が出なかった」という声も増えています。
その理由のひとつが、採用市場そのものの構造変化です。厚生労働省の一般職業紹介状況によると、有効求人倍率は令和7年度平均で1.20倍と、3年連続で低下しているものの依然として求人が求職を上回る売り手市場が続いています[1]。さらに正社員の有効求人倍率は1倍前後で推移しており、特に正社員採用の難易度は高止まりしています。リクルートワークス研究所の中途採用実態調査では、中途採用の未充足率が57.8%にのぼり、「採れない」企業が過半数という現実が示されています[3]。
こうした環境では、採用代行に「とりあえず任せれば何とかなる」という期待が膨らみがちです。しかし採用代行は魔法の杖ではありません。委託する側の準備や関わり方が不十分だと、コストだけがかさみ、デメリットが顕在化します。だからこそ、メリットの裏側にあるデメリットと回避策を先に押さえることが、失敗しない第一歩になります。
もうひとつの背景が、人事・採用担当のリソース不足です。特に中小企業では、総務や経理を兼任しながら一人で採用も回す「ひとり人事」が珍しくありません。母集団形成からスカウト送信、応募者対応、面接調整、内定者フォローまでを一人で抱えると、どうしても媒体運用や候補者対応の質が落ち、応募者の取りこぼしが起きます。採用代行は、この「足りない手」を補う手段として広がってきました。だからこそ「手を借りる」つもりが「丸ごと預ける」になってしまい、後述するデメリットを招きやすいという構造的な落とし穴があります。
見落とされがちなのが、「採用しない/採用を間違える」ことのコストです。採用がうまくいかず欠員が埋まらなければ、既存社員の負担増・残業増・離職という悪循環に陥ります。逆に、ミスマッチ採用で早期離職が起きれば、求人費・面接にかけた時間・教育コストがすべて無駄になり、再び採用をやり直す二重の損失が発生します。採用代行の費用を「高い」と感じる前に、こうした「採れないコスト」「採り間違えるコスト」と天秤にかけることが、冷静な判断につながります。
なお、採用代行とよく混同される人材紹介との違いについては、「成果報酬で人を”紹介”してもらうのか」「業務プロセスを”代行”してもらうのか」という根本的な性質の差があります。人材紹介は採用が決まって初めて費用が発生する一方、採用代行は採用の成否にかかわらず業務量や月額に応じて費用が発生します。この違いを理解しておくと、「お金を払ったのに採れなかった」というデメリットの捉え方も変わってきます。採用代行は”人を連れてくるサービス”ではなく、”採用活動そのものを前に進めるサービス”だと押さえておきましょう。
採用代行の7つのデメリットと回避策【早見表】
まずは全体像を一覧で押さえましょう。以下の表は、本記事で扱う7つのデメリットと、それぞれの回避策の要点をまとめたものです。
| デメリット | 主な原因 | 回避策の要点 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 費用がかかる・割高になりやすい | 業務範囲の見積りが曖昧 | 委託範囲を絞り料金体系を比較する |
| 2 | 社内にノウハウが蓄積されにくい | 任せきり・レビューなし | 伴走型を選び定例で判断基準を共有 |
| 3 | 認識のズレ・ミスマッチが起きやすい | 採用要件が言語化されていない | ペルソナと評価基準を文書化して共有 |
| 4 | 候補者対応の質・スピードが落ちる | 情報共有の遅延 | 連絡フローとレスポンス基準を契約に明記 |
| 5 | 情報漏えい・セキュリティリスク | 委託先管理が不十分 | NDA・アクセス権限・委託先実績を確認 |
| 6 | 「丸投げ」で当事者意識が低下する | 社内の役割が未定義 | コア業務は自社に残し役割分担を明確化 |
| 7 | 法対応の責任所在が曖昧になる | 契約書に責任範囲がない | 労働条件明示など法対応の所在を明文化 |
ポイントは、7つのデメリットのほぼすべてが「準備不足」と「関わり方の設計不足」から生まれているということです。逆に言えば、契約前の設計でほとんどが防げます。ここから一つずつ詳しく見ていきましょう。
デメリット①②③:費用・ノウハウ・ミスマッチと回避策
① 費用がかかる・割高になりやすい
採用代行の最大のデメリットとしてまず挙げられるのが費用です。多くの採用代行は人材紹介のような「採用1人ごとの成果報酬」ではなく、業務量や月額に応じた課金のため、利用料を払っても採用人数が保証されるわけではありません。
採用代行の料金は大きく「月額固定型」「従量課金型」「成果報酬型」の3つに分かれます[6]。委託する業務範囲ごとの月額相場は以下の通りです。
| 料金体系 | 委託範囲の目安 | 月額相場 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 月額固定型(ノンコア) | 日程調整・応募者対応など | 5万〜10万円 | 事務作業だけ外注したい |
| 月額固定型(コア) | スカウト・母集団形成など | 15万〜30万円 | 採用の実働を任せたい |
| 月額固定型(上流) | 戦略設計・コンサル含む | 30万円以上 | 採用設計から伴走してほしい |
| 従量課金型 | スカウト1通・面接設定1件など | 作業量に比例 | 繁忙期・スポット利用 |
※当社推計/業界相場目安。実際の費用は委託範囲・職種・難易度により変動します。
最も多い価格帯は月額10万〜20万円未満とされ、従業員30名以下の中小企業でも導入しやすい水準になってきています[6]。
費用が割高に感じられる典型例が、「とりあえず全部お願いします」と業務範囲を絞らずに上流プランで契約してしまうケースです。実際には日程調整とスカウト送信だけ任せれば十分だったのに、戦略設計まで含むプランを選び、月額30万円超を払い続ける——こうしたミスマッチが「採用代行は高い」という印象を生みます。
【回避策】 割高を防ぐ鍵は、「何を・どこまで・どのくらいの期間」委託するかを先に決めることです。自社で対応した場合の人件費(採用担当の工数×時給換算+媒体費+管理コスト)と並べて比較し、見えないコストまで含めて検討しましょう。たとえば採用担当が月40時間を応募者対応と日程調整に費やしているなら、その工数を時給換算した金額と、ノンコア業務の委託費(月5万〜10万円)を比べれば、外注したほうが安いケースは少なくありません。従量課金型なら繁忙期だけ、固定型なら通年、というように、採用の波に合わせて料金体系を選ぶと無駄が出ません。複数社から同じ条件で見積りを取り、業務範囲と単価をそろえて比較するのが鉄則です。費用の内訳や相場をさらに詳しく知りたい場合は、料金体系を解説した別記事も参考になります。
② 社内にノウハウが蓄積されにくい
2つ目のデメリットは、採用業務を外に出すことで自社内に採用の知見が残りにくくなる点です。委託した業務は自社が手を動かさなくなるため、「どの手法でどんな成果が出たのか」という改善のサイクルが社内に蓄積されません。担当者が実務経験を積む機会が減り、将来的に内製へ戻そうとしたときに「自走できない」事態に陥るリスクがあります。
特に危ういのが、採用担当者が定着していない企業で「外部任せ」が常態化するパターンです。長期的には、効果的な求人原稿の作り方、面接技術、候補者評価のノウハウが社内に育たず、企業の採用競争力そのものが落ちていきます。「採用代行を3年使った後に内製へ戻そうとしたら、社内に求人媒体の管理画面を触れる人すらいなかった」というのは、実際に起こりがちな話です。
【回避策】 ノウハウ流出を防ぐには、契約形態と関わり方の2点がカギになります。第一に、業務だけを代行する「作業代行型」ではなく、判断基準や改善策を一緒に議論する「伴走型」のプランを選ぶこと。第二に、月1回以上の定例ミーティングで「なぜこのスカウト文面にしたのか」「どの母集団から通過率が高いのか」といった判断の理由を共有してもらい、議事録として残すことです。応募者対応などのノンコア業務は外に出しても、最終的な採用要件の決定や評価といったコア業務は自社に残す——この役割分担を最初に線引きしておけば、ノウハウは逆に蓄積されていきます。実際、多様な業界での支援実績を持つ代行会社と協働することで、自社だけでは得られない再現性のある手法を学べるケースも少なくありません。
③ 認識のズレ・ミスマッチが起きやすい
最も多い失敗例が、採用代行との「認識の齟齬」です。求める人材像や採用の進め方について、委託先と自社の認識がズレると、求めていない人材ばかりが選考に上がってきたり、自社の魅力が候補者に正しく伝わらなかったりします。自社の業界や事情に詳しくない代行会社ほど、細かいニュアンスを汲み取りにくいのが実情です。
マイナビの中途採用状況調査2025では、応募者が入社を決めた要因として「給与・待遇」が23.2%、「仕事内容」が21.0%と上位を占めています[2]。つまり候補者は給与や仕事内容を冷静に見て判断しており、ここを代行会社が誤って訴求すると、ミスマッチが一気に増えます。
【回避策】 ミスマッチを防ぐ最善策は、採用要件とペルソナを”文書”で言語化して渡すことです。「コミュニケーション能力が高い人」のような曖昧な表現ではなく、「前職で〇〇の経験があり、△△の場面で主体的に動けた人」というレベルまで具体化します。あわせて、選考の合否理由を毎回フィードバックし、評価基準を徐々にすり合わせていく運用が効果的です。最初の1〜2ヶ月は「すり合わせ期間」と割り切り、上がってきた候補者に対して「なぜ合格/不合格なのか」を丁寧に言語化して返すことで、代行会社の精度は驚くほど上がります。契約前にレポートのサンプルを見せてもらい、どんな粒度で情報が共有されるかを確認しておくと、運用開始後のズレを最小化できます。自社の業界に詳しい、あるいは同業種の支援実績がある会社を選ぶことも、ニュアンスの齟齬を減らす近道です。
デメリット④⑤⑥⑦:候補者対応・情報漏えい・丸投げ・法対応と回避策
④ 候補者対応の質・スピードが落ちるリスク
採用代行を挟むと、自社と候補者の間に一段階入るため、情報共有が滞ると候補者対応のスピードや質が落ちます。候補者からの質問への回答が遅れたり、面接後のフォローが手薄になったりすると、選考辞退や内定辞退につながります。売り手市場では、対応が1日遅れるだけで他社に決まってしまうことも珍しくありません。
マイナビの調査でも、応募から内定までのスピードは辞退防止の重要な要素とされており、対応の遅れは機会損失に直結します。面接のドタキャンや選考途中の離脱が増えている企業ほど、候補者対応のスピードと丁寧さが採用成功率を左右します。
【回避策】 連絡フローと「レスポンス基準」を契約段階で決めておきましょう。たとえば「候補者への一次返信は当日中、遅くとも翌営業日まで」「内定者フォローは週1回」といった基準を数値で合意します。代行会社が対応する範囲と、自社が直接対応する範囲(最終面接や条件提示など熱量が必要な場面)を切り分けるのも有効です。連絡手段もメール・チャット・電話のどれを使うか、候補者から見て窓口が二重にならないかを事前に整理しておきましょう。面接の外注については、どこまでを任せ、どこから自社が出るかの設計が成否を分けます。一次面接は代行に任せても、最終面接は必ず自社の意思決定者が行う、といった線引きが定番です。
⑤ 情報漏えい・セキュリティリスク
採用業務では、候補者の履歴書・職務経歴書といった個人情報や、自社の採用計画・組織情報など機微な情報を外部と共有します。委託先の管理体制が甘いと、情報漏えいのリスクが生じます。
採用は応募者の氏名・連絡先・経歴・年収といった、漏れれば信用問題に直結する情報の塊です。委託先がフリーランスや小規模事業者の場合、セキュリティ体制が個人任せになっていないかも確認が必要です。
【回避策】 契約時に秘密保持契約(NDA)を必ず締結し、個人情報の取り扱い方針、データの保管・廃棄ルール、アクセス権限の範囲を文書で確認します。プライバシーマークやISMS(ISO27001)などの認証取得状況、過去の情報管理実績もチェックポイントです。共有ツールはアクセスログが残るものを使い、退任した担当者の権限が残り続けないよう運用ルールを定めておきましょう。応募者の個人情報を、委託先がさらに別の協力会社へ再委託していないか(再委託の可否と範囲)も契約で確認しておくと、リスクの抜け漏れを防げます。
⑥ 「丸投げ」で当事者意識が低下する
「全部おまかせ」にできるのは魅力ですが、丸投げは失敗の典型パターンです。委託後の状況を把握しないまま放置すると、認識のズレに気づけず、自社が求める要件を満たさない人材を採用してしまうリスクが高まります。社内に「採用は外部の仕事」という空気が広がると、現場の協力も得にくくなります。
丸投げが怖いのは、問題が表面化したときにはすでに手遅れになりやすい点です。半年間まったく中身を見ずに任せた結果、「求めていたのは即戦力の営業なのに、未経験者ばかりが選考に上がっていた」と気づいたときには、採用シーズンを丸ごと棒に振っている——そんな事態は珍しくありません。
【回避策】 ここでも「コア業務は自社、ノンコア業務は委託」という線引きが効きます。採用は本来、経営と現場を巻き込む活動です。採用要件の決定、最終判断、候補者への動機づけといった当事者性が問われる部分は自社が握り、定型業務やスカウト送信などの工数がかかる部分を代行に出す。委託できる業務範囲を正しく理解したうえで、丸投げではなく”協働”の姿勢で臨むことが、当事者意識を保つ最大のコツです。月1回でも進捗と選考状況をレビューする場を持てば、ズレは小さいうちに修正でき、丸投げのリスクはほぼ消せます。
⑦ 法対応の責任所在が曖昧になる
見落とされがちなのが、法令対応の責任の所在です。2024年4月から、労働条件明示のルールが改正され、就業場所・業務の「変更の範囲」、有期契約の更新上限、無期転換に関する事項などの明示が義務化されました[4]。採用代行に求人票の作成や条件提示の一部を任せている場合、この明示義務を「誰が・どの記載で」担保するのかが曖昧だと、法令違反のリスクを抱えることになります。また、有料職業紹介と採用代行は法的な位置づけが異なり、職業安定法に基づく許可が必要な業務とそうでない業務の区別も理解しておく必要があります[5]。
2024年4月の改正では、具体的には「就業場所・業務の変更の範囲」「有期労働契約の更新上限の有無と内容」「無期転換申込機会と無期転換後の労働条件」などの明示が新たに求められるようになりました[4]。求人段階から正しく記載していないと、入社後のトラブルや行政指導につながりかねません。代行会社に求人作成を任せている場合、この改正内容が反映されているかを誰も確認していない、という空白地帯が生まれがちです。
【回避策】 委託する業務のうち、法令対応が関わる部分(求人票の表記、労働条件の明示、応募者への条件提示など)について、最終的な確認・責任は自社が負うことを契約書に明記します。求人原稿のテンプレートに改正後の必須項目を組み込み、代行会社が作成したものを自社の労務担当が必ずチェックする運用にしておけば、法対応の抜け漏れを防げます。法令は改正されるものなので、テンプレートを定期的に見直す担当を社内に決めておくと、長期的にも安心です。
メリットと比較:それでも採用代行が選ばれる理由
ここまでデメリットを並べてきましたが、これらを正しく回避できれば、採用代行は強力な武器になります。デメリットと表裏一体のメリットを整理すると、判断がしやすくなります。
| 観点 | デメリット | 裏返しのメリット |
|---|---|---|
| コスト | 利用料が発生する | 採用担当の採用・育成コストが不要 |
| ノウハウ | 任せきりだと残らない | 伴走型なら外部知見を取り込める |
| スピード | 連携が悪いと遅延 | 専門チームで母集団形成が速い |
| リソース | 管理工数がかかる | ひとり人事の業務負担を大幅に削減 |
採用担当が一人しかいない、あるいは専任者が不在という企業にとって、採用代行は「足りないリソースを即座に補える」点が最大の価値です。採用担当を一人正社員で雇えば年間400万〜600万円の人件費に加え、採用・教育のコストと時間がかかります。それと比べれば、必要な業務だけを月額10万〜20万円台で外部のプロに任せられる採用代行は、特に立ち上げ期や繁忙期において合理的な選択肢になり得ます。重要なのは、デメリットを理由に検討をやめることではなく、回避策を講じたうえで自社に合う形で使うことです。デメリットの多くは「準備不足」と「関わり方の設計不足」から生まれる以上、本記事のチェックリストと導入ステップを押さえれば、リスクは十分にコントロールできます。※人件費は当社推計/業界相場目安
もうひとつ押さえておきたいのが、採用代行は「全部か、ゼロか」の二択ではないという点です。自社が得意な部分は残し、苦手な部分や手が回らない部分だけをピンポイントで補う——そんな柔軟な使い方ができるのが採用代行の強みです。たとえば「求人原稿の作成と面接は自社でやれるが、スカウト送信と日程調整に手が回らない」という企業なら、その2業務だけを月数万円で委託すれば、デメリットを最小限に抑えながら最も効くところだけを補強できます。デメリットを恐れて全面的に避けるのではなく、自社の弱点に合わせて部分的に取り入れる発想が、費用対効果を最大化する近道です。
採用代行が向いている企業・向いていない企業
デメリットと回避策を踏まえると、採用代行が「向く企業」と「慎重に検討すべき企業」が見えてきます。
| 向いている企業 | 慎重に検討すべき企業 |
|---|---|
| 採用担当が不在、またはひとり人事で手が回らない | 採用を完全に内製で完結させたい方針が固い |
| 急な増員・繁忙期で一時的にリソースが必要 | 委託先と関わる時間すら確保できない |
| スカウトや日程調整などノンコア業務を減らしたい | 採用要件を言語化・共有する体制がまだない |
| 採用ノウハウを外部から学びながら整えたい | ごく少数の特殊な専門職のみを採りたい |
「向いていない企業」に当てはまっても、それは”今は時期尚早”という意味であることが多く、採用要件の言語化や役割分担の設計を整えれば、十分に活用できるようになります。判断に迷う場合は、まず一部のノンコア業務だけを小さく委託して相性を見る、という始め方も有効です。
特に注意したいのが、「採用要件を言語化・共有する体制がまだない」企業です。これは採用代行が向かないというより、どんな採用手法を使っても成果が出にくい状態だと言えます。求める人物像が社内でも揃っていなければ、自社で採用しても代行に任せても、結果はぶれます。この場合は、いきなり大きく委託するのではなく、採用要件の整理そのものを支援してくれる伴走型の代行会社に相談し、要件定義のフェーズから一緒に組み立てていくのが近道です。逆に「特殊な専門職を一人だけ採りたい」というケースでは、業務プロセスを代行する採用代行よりも、その分野に強い人材紹介を併用したほうが効率的な場合もあります。自社の状況に応じて、採用代行・人材紹介・自社採用を組み合わせる発想が、デメリットを抑えるうえでも有効です。
デメリットを回避する採用代行の選び方チェックリスト
最後に、契約前に確認すべきポイントをチェックリストにまとめます。これらを満たす会社を選べば、本記事で挙げたデメリットの大半は事前に潰せます。
| 確認項目 | チェックの観点 |
|---|---|
| 業務範囲と責任の所在 | 委託する業務と自社が持つ業務が契約書で明確か |
| 料金体系の透明性 | 固定/従量/成果のどれか、追加費用の条件が明示されているか |
| 伴走・内製化支援の有無 | ノウハウ共有や定例レビューの仕組みがあるか |
| 実績・対応範囲 | 自社と近い業界・職種・規模の支援実績があるか |
| 情報共有の頻度と方法 | レポート様式・頻度・連絡フローが決まっているか |
| セキュリティ体制 | NDA・個人情報管理・認証取得の状況 |
| 法令対応の分担 | 労働条件明示など法対応の責任が明文化されているか |
このチェックリストは、複数社を比較する際の評価シートとしてもそのまま使えます。各項目に「○・△・×」をつけて並べれば、価格だけに引きずられない冷静な比較ができます。採用代行を上手に使えば、ひとり人事や採用担当不在の企業でも、無理なく採用を前に進められます。
デメリットを抑える採用代行の導入5ステップ
最後に、ここまでの回避策を「導入の流れ」に落とし込んだ実践ステップを紹介します。この順番で進めれば、デメリットを最小化しながらスムーズに立ち上げられます。
第一に、自社の採用課題を棚卸しします。「応募が来ない」のか「応募はあるが対応が追いつかない」のか「選考の通過率が低い」のかで、委託すべき業務はまったく変わります。課題が母集団形成にあるならスカウト代行、対応のボトルネックにあるならノンコア業務の代行、というように、課題と委託範囲を一致させることが出発点です。
第二に、委託する業務と自社が持つ業務を線引きします。前述の通り、採用要件の決定・最終判断・候補者への動機づけといったコア業務は自社に残し、工数のかかる定型業務を外に出すのが基本形です。この線引きを曖昧にしたまま進めると、デメリットの多くが連鎖的に発生します。
第三に、採用要件とペルソナを文書化します。求める人材像、必須条件と歓迎条件、評価の優先順位を1枚にまとめ、委託先と共有できる状態にしておきます。これがミスマッチを防ぐ最大の保険になります。
第四に、料金体系と契約条件を複数社で比較します。前章のチェックリストを評価シートに使い、業務範囲・料金・情報共有頻度・セキュリティ・法対応の分担をそろえて並べます。最安値ではなく「自社の課題を解決できるか」で選ぶことが重要です。
第五に、小さく始めて定例で振り返ります。いきなり全業務を委託せず、まずはノンコア業務など一部から始め、月1回の定例で成果と判断基準を確認します。手応えを見ながら委託範囲を広げていけば、ノウハウの蓄積と当事者意識を保ったまま、採用代行のメリットを最大化できます。
よくある質問
Q1. 採用代行のデメリットは、結局どれが一番大きいですか?
A. 企業によって異なりますが、長期的に最も影響が大きいのは「社内にノウハウが蓄積されにくい」点です。費用やミスマッチは契約・運用の工夫で比較的すぐに対処できますが、ノウハウの問題は数年かけてじわじわ効いてきます。伴走型のプランを選び、定例ミーティングで判断基準を共有してもらうことで、この最大のデメリットを逆にメリット(外部知見の取り込み)へ転換できます。
Q2. 「丸投げ」しても採用代行はうまくいきますか?
A. 完全な丸投げは失敗の典型パターンです。採用要件の決定や最終判断、候補者への動機づけといったコア業務まで手放すと、認識のズレに気づけず、求める人材と違う採用につながります。スカウト送信や日程調整などのノンコア業務を委託し、コア業務は自社に残す”協働型”が成功の基本です。
Q3. 採用代行の費用はどのくらいかかりますか?
A. 委託範囲によって幅があります。日程調整など一部のノンコア業務なら月額5万〜10万円、スカウトや母集団形成まで含めると15万〜30万円、戦略設計から伴走するプランは月額30万円以上が目安です※当社推計/業界相場目安。最も多い価格帯は月額10万〜20万円未満で、中小企業でも始めやすい水準です。
Q4. 採用ノウハウがまったくない会社でも依頼できますか?
A. 依頼できます。むしろノウハウがない企業ほど、実績豊富な代行会社と組むことで採用の型を一気に整えられます。ただし、丸投げにせず、なぜその施策が有効なのかを共有してもらう関わり方が重要です。将来的に内製化したい場合は、内製化支援や伴走を掲げる会社を選びましょう。
Q5. 情報漏えいが心配です。どう対策すればよいですか?
A. 契約時にNDA(秘密保持契約)を締結し、個人情報の取り扱い方針・保管・廃棄ルールを文書で確認することが基本です。プライバシーマークやISMSなどの認証取得状況、アクセス権限の管理体制もチェックしましょう。共有ツールはログが残るものを選び、担当変更時の権限整理ルールを決めておくと安心です。
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参考資料
- 厚生労働省「一般職業紹介状況」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_general_employment_situation.html(有効求人倍率 令和7年度平均1.20倍ほか)
- マイナビ「中途採用状況調査2025年版」 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250916_103655/(入社決定要因「給与・待遇」23.2%、「仕事内容」21.0%)
- リクルートワークス研究所「中途採用実態調査」 https://www.works-i.com/research/works-report/item/241128_midcareer.pdf(中途採用の未充足率57.8%)
- 厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html(変更の範囲・更新上限・無期転換などの明示義務化)
- 職業安定法 第30条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141(有料職業紹介事業の許可制度)
- 厚生労働省「民営職業紹介事業」/業界各社の費用相場資料 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jyukyu/haken-shoukai/index.html(料金体系・相場の目安)
