ドライバーの募集を出しても応募が来ない。求人媒体には同業他社が並び、条件で見比べられて終わる。かといって採用の専任者を置く余裕はない——運送業の経営者や採用担当者から、こうしたご相談をいただきます。2024年4月に改善基準告示が改正されて以降、労働時間の条件が求人票で厳しく見られるようになり、書き方ひとつで応募数が変わる状況になりました。
この記事では、ドライバー採用代行で外注できる業務の範囲と費用相場を整理したうえで、有料媒体に頼らずに母集団を作る方法として、ハローワークの公共職業訓練(大型免許)と自治体ルートの使い方までまとめます。
この記事でわかること
- ドライバー採用代行で外注できる9業務と、外注できない3業務の線引き
- 運送業の採用代行の費用相場と、人材紹介・求人広告との費用の出方の違い
- トラック運転手の採用方法として使える採用費0円のチャネル(公共職業訓練・自治体・業界団体)
ドライバー採用の現在地|2024年4月以降に変わった前提
ドライバーの採用が難しい構造的な原因(有効求人倍率、正社員の不足割合、高齢化、賃金と労働時間)については、ドライバー採用が難しい理由|求人倍率2.78倍と7つの打ち手で詳しく整理しています。この記事では原因の解説は最小限にとどめ、採用代行という手段をどう使うかに絞ります。
ただし、1点だけ押さえておきたい変化があります。2024年4月から、トラック運転者の改善基準告示が改正されました。拘束時間の上限は1年3,300時間以内(労使協定により3,400時間以内)、1か月284時間以内(労使協定により年6か月まで310時間以内)、1日は原則13時間・最大15時間。休息期間は継続11時間以上を基本とし、継続9時間を下回らないこととされています[1]。
この改正が採用に効いてくるのは、求職者が求人票を「時間の条件」で比較するようになったからです。拘束時間や休息期間が曖昧な求人票は、それだけで候補から外れます。逆に言えば、数値を明示できる会社は、それが差別化になります。
経営側から見ると、拘束時間の上限は「1人あたりが運べる量の上限」でもあります。同じ輸送量を維持するには人数を増やす必要があり、しかしその人数が採れない。この構造があるために、運送業では採用が経営課題そのものになっているというのが2024年4月以降の状況です。採用を片手間で回す余裕は、多くの会社にありません。
採用市場全体の状況も見ておきます。厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2026年7月の有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.10倍でした[2]。帝国データバンクの調査では、正社員が不足していると感じる企業は51.3%で、7月としては4年連続で50%を超えています[3]。全産業でこの状況ですから、運送業はさらに厳しい土俵にいることになります。
【この記事の立ち位置】 「なぜ採れないのか」ではなく「限られた人手と予算で、どう採る体制を作るか」を扱います。採用の専任者がいない運送会社が、外注と無料チャネルをどう組み合わせるかという視点です。
ドライバー採用代行で外注できる9業務
採用代行に任せられる業務を、ドライバー採用の文脈に置き換えて整理しました。運送業では「応募が来てから採用するまでのスピード」が勝負になるため、実行業務の外注効果が大きく出ます。
| # | 外注できる業務 | 運送業での具体的な中身 | 外注の効果 |
|---|---|---|---|
| 1 | 要件定義・ペルソナ設計 | 大型/中型/準中型、地場/長距離、経験者/未経験の切り分け | 「誰でもいい」状態から脱し、媒体を選べるようになる |
| 2 | 求人票作成 | 拘束時間・走行距離・荷役の有無を数値で明示した原稿 | 条件比較で落とされる求人票を作り直せる |
| 3 | 募集媒体の選定 | ドライバー専門媒体・総合媒体・無料媒体の配分 | 掲載費の無駄が減る |
| 4 | スカウトメールの作成・送信 | 経験者への個別アプローチ | 待ちの採用から攻めの採用に変わる |
| 5 | 候補者対応 | 応募当日〜翌営業日の一次返信 | 他社に先に会われる事態を防げる |
| 6 | 面接スケジュール調整 | 運行の合間に合わせた日程組み | 現場の負担が減り、面接実施率が上がる |
| 7 | 企業説明会・採用イベントの代行 | 訓練校・自治体主催のイベントでの説明 | 現場を止めずに母集団形成ができる |
| 8 | 数値分析と改善提案 | チャネル別の応募数・単価の可視化 | 効いていない媒体を止められる |
| 9 | 内定者フォロー・入社後の面談 | 入社日までの連絡、入社後のつまずきの把握 | 免許取得待ちの期間に離脱されにくくなる |
※おまかせ採用の場合の業務範囲です(2026年8月時点)。委託先によって範囲は異なります。
弊社は採用設計・採用実行・内定/内定後の3フェーズ・18業務を月額の中で提供しており、上の9業務はそのうちドライバー採用で使用頻度が高いものを抜き出したものです。委託先を比較するときは、この粒度で業務一覧を出してもらい、○(任せる)・△(一緒にやる)・×(自社でやる)を付けていくと、見積りの前提が揃います。「採用支援します」という説明だけで契約すると、実際には媒体の入稿代行しか含まれていなかった、ということが起こります。
とくに効くのは5番と6番です。ドライバーの応募者は複数社に同時に応募していることが多く、返信が1日遅れるだけで面接に至らないことがあります。専任者がいない会社では、ここが構造的に遅れます。運行管理者や配車担当が採用も兼ねている会社では、日中は電話対応と配車で手が埋まり、応募の確認が夜になるのが実情でしょう。外注すると、応募当日に一次返信が出る体制が作れます。
1番と2番も、運送業では効果が大きい業務です。ドライバー募集は「大型」「中型」「地場」「長距離」といった区分で条件がまったく変わるのに、求人票は1本しか出していない会社が少なくありません。区分ごとにターゲットを切り分け、それぞれに合った媒体と原稿を用意するだけで、応募の質が変わります。この切り分けは手間がかかる作業なので、外注する価値があります。
9番を挙げている理由も補足します。未経験者を採る場合、免許取得のために入社日が数週間先になることがあります。この待機期間に連絡が途切れると、他社に流れます。内定から入社までの連絡と、入社後の面談をあらかじめ設計しておくと、この離脱を減らせます。
ドライバー採用代行に外注できない3つの業務
一方で、外注できない業務もあります。契約前にここを理解しておかないと、「思っていたのと違う」という状態になります。
- 最終的な合否の判断:候補者を採るかどうかの意思決定は自社に残ります。代行が行うのは、判断材料を揃えるところまでです
- 運行管理・安全教育に関わる実務:点呼、適性診断、初任運転者教育といった法令上の実務は、自社の運行管理者の責任範囲です
- 面接そのものの全面代行:一次面接やカジュアル面談の代行は可能ですが、車両や運行実態を踏まえた見極めは現場の方が同席したほうが精度が上がります
3番について補足すると、一次面接やカジュアル面談の代行自体は可能で、弊社もカジュアル面談を45件代行した実績があります。※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。ドライバー採用の場合、候補者が知りたいのは車両・ルート・手当といった現場の具体です。ここに即答できるのは現場の方なので、一次は代行、二次は現場同席という組み方が現実的です。
【線引きの考え方】 「候補者と会うまで」は外注でき、「会ってから判断する」は自社に残る。この分け方で考えると、業務範囲の打ち合わせがスムーズに進みます。運送業の場合は、運行管理まわりの法令実務が自社側に残る点も押さえてください。
ドライバー採用代行の費用相場|月額と成功報酬の出方の違い
費用の話に入ります。採用代行の料金は月額固定・成果報酬・従量課金の3タイプに分かれますが、中小の運送会社で使いやすいのは月額固定です。総額が読めるため、年度の採用予算に組み込みやすいからです。
弊社「おまかせ採用」の場合は次の3プランです。
| プラン | 月額(税別) | 稼働時間の目安 | ドライバー採用での使い方 |
|---|---|---|---|
| ライト | 30万円 | 〜30時間 | 応募対応・日程調整・スカウト送信が中心。採用の型はある会社向け |
| スタンダード | 50万円 | 40〜50時間 | 要件定義・求人票の作り直しから媒体選定・実行まで一気通貫 |
| プレミアム | 80万円 | 60時間以上 | 訓練校・自治体イベントでの説明会代行、複数拠点の同時募集まで |
※2026年8月時点の料金。月額固定・採用時の手数料なし。1名から、新卒・中途を問わず対応。初回打ち合わせから最短5営業日で稼働できます。
料金体系そのものの違いと相場の詳細は採用代行の月額費用は30〜100万円|3つの料金体系を比較にまとめています。ここでは、他の採用手法と比べたときの費用の出方の違いを押さえてください。
| おまかせ採用 | 人材紹介 | 求人広告 | 採用コンサル | |
|---|---|---|---|---|
| 費用の出方 | 月額固定で採用時の手数料なし | 成功報酬 年収の35%〜100% | 掲載課金(採れなくても発生) | 顧問料 |
| どこまでやるか | 戦略設計〜実行〜定着 | 候補者の紹介まで | 掲載まで | 助言・設計まで |
| 何が残るか | 採用ノウハウとデータ | 残らない | 掲載データのみ | 提案書のみ |
| 母集団の作り方 | 有料+無料+独自ルート | 登録者の中から | 応募を待つ | 関与しない |
| 入社後 | 定着フォローまで行う | 返金規定のみ(3か月以内) | なし | なし |
※一般的な例です(当社調べ)。実際の条件は各社・各契約によって異なります。
月額に含まれない費用を必ず確認する
見積りを比べるときに見落とされやすいのが、月額に含まれない費用です。採用代行の月額は原則として「人が動く工数」の対価であり、求人媒体の掲載料やスカウト送信権は別途かかることが多くあります。月額30万円の見積りでも、ドライバー専門媒体に月20万円かければ、実質は月50万円です。
見積書に媒体費の行がない場合は、「この見積りに媒体掲載料は含まれますか」「想定している媒体と月額の目安を教えてください」の2点を聞いてください。そのうえで6か月分を足してから、他社と比較します。
もう1つ確認すべきは稼働時間です。月30時間は週にならすと7〜8時間で、応募対応と日程調整、スカウト送信を回すにはちょうど足りるボリュームです。ここに求人票の作り直しや訓練校の開拓まで乗せようとすると足りません。「安い見積り」は、多くの場合、稼働時間が短いだけです。
半年の総額で比べる
比較の目安として、月額30万円を推奨の6か月使った場合の総額は180万円です。一方、人材紹介を年収400万円・料率30%で試算すると1名あたり120万円※当社推計/業界相場目安。半年で2名以上採る計画があるなら、月額固定のほうが総額は安くなる計算になります(試算)。1名だけなら成功報酬に分がある場合もあります。
採用費0円のチャネル①|ハローワークと公共職業訓練(大型免許ルート)
ここからが、運送業の採用でとくに効く話です。有料媒体だけに頼らない母集団の作り方として、公共職業訓練(ハロートレーニング)のルートがあります。
ハロートレーニングは、主に雇用保険を受給している求職者などが受講する公的な職業訓練制度で、離職者訓練と求職者支援訓練があります[4]。訓練科目には輸送・機械運転関係のコースがあり、大型自動車免許やけん引免許、フォークリフトの資格取得を含むコースが各地の訓練施設で実施されています。つまり、免許を取得中で、修了後に就職先を探している人が一定数いるということです。
| ルート | 接点の作り方 | 会える人の状態 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 公共職業訓練(輸送・機械運転関係) | 訓練施設に連絡し、企業説明会枠や求人票の掲示を依頼 | 大型免許などを取得中/取得直後 | 0円 |
| ハローワークの求人 | 求人票を提出。担当者に自社の条件を直接説明 | 求職活動中。地元志向が強い | 0円 |
| ハローワークの就職面接会 | 開催情報を確認し、ブース出展を申し込む | その場で複数社を比較している | 0円が中心 |
| 自治体の合同説明会 | 産業振興課・商工課などに問い合わせ | 地元での就職を希望 | 0円〜低額 |
※各制度の実施内容・募集時期は地域や年度によって異なります。詳細は最寄りのハローワーク・訓練施設にご確認ください。
ここで運送会社が取りやすい行動は2つあります。1つは、訓練施設に直接連絡して、修了予定者向けの企業説明会枠をもらうこと。もう1つは、求人票を施設に掲示してもらうことです。どちらも掲載料はかかりません。かかるのは、連絡と訪問の手間だけです。
ハローワークの活用も、求人票を出して終わりにしないことがポイントです。窓口の担当者に自社の条件と求める人物像を直接説明しておくと、条件が合う求職者に紹介してもらえる可能性が上がります。就職面接会の開催情報も、担当者から早めに教えてもらえます。制度を使うのではなく、人とつながるという発想が効くチャネルです。
このルートの価値は、競合が少ないことです。求人媒体には同業他社が並びますが、訓練施設との接点づくりは手間がかかるため、やっている会社が限られます。弊社は電話・訪問・公共事業への参加で提携職業訓練校を2校→42校に開拓し、無料で25応募を獲得しました。支援先全体では、入社の4割超が採用費0円のチャネル(無料媒体・自治体支援・リファラル)からです。※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。
【訓練校にアプローチする手順】 ①地域の職業能力開発施設・民間委託訓練機関の一覧を調べる、②輸送・機械運転関係のコースがある施設を抽出する、③修了時期を確認して、その2〜3か月前に連絡する、④求人票の掲示と企業説明会枠を依頼する。成果が出るまで数か月かかるため、採用したい時期から逆算して動くのが前提です。
未経験者を採る前提なら、免許取得支援も検討する
ドライバーの母集団を広げるうえで、免許の有無は最大の制約です。未経験者を受け入れる前提に切り替えると、応募母数は大きく変わります。訓練校ルートで会える人の多くは「これから免許を取る/取ったばかり」の層なので、育成を前提とした受け入れ体制があるかどうかで、このチャネルが使えるかが決まります。
自社で免許取得費用を負担する場合は、負担額・勤続条件・返還規定を求人票に明記してください。条件が曖昧だと、応募段階で敬遠されます。とくに返還規定は、求職者が最も気にする項目の1つです。「◯年以内に退職した場合は返還」という条件があるなら、隠さずに書いてください。書かずに入社してもらっても、後から知って不信感につながるだけです。
受け入れ体制の面では、免許取得中・取得直後の人が現場に出るまでの育成期間をどう設計するかも、あわせて決めておく必要があります。同乗期間の長さ、指導役の担当、独り立ちまでの目安。これらを求人票に書ける会社は、未経験者にとって安心材料になります。
採用費0円のチャネル②|自治体・業界団体・リファラル
訓練校以外にも、費用をかけずに母集団を作れるルートがあります。
- 自治体の就職支援事業:産業振興課や労働政策担当が、合同説明会や無料の求人掲載を実施していることがあります。窓口に直接問い合わせるのが早道です
- 業界団体の就職イベント:トラック協会などが実施する就職相談会や職業体験イベント。地域によって実施状況が異なるため、所属している団体に確認してください
- リファラル(社員紹介):ドライバー職は同業内の横のつながりが強く、紹介が効きやすい職種です。紹介制度を作る場合は、報奨金の金額と支給条件を就業規則に明記してください
- アルムナイ(退職者の再雇用):一度辞めた人に声をかけるルートです。教育コストがかからず、即戦力になります
このうちリファラルは、運送業でとくに費用対効果が高いチャネルです。ドライバー職は前職の同僚とのつながりが残りやすく、労働環境の実態を知ったうえで来てもらえるため、入社後のミスマッチも起きにくくなります。ただし制度として回すには、報奨金の金額・支給タイミング・支給条件(試用期間終了後など)を就業規則に明記することが必要です。口頭の約束だけで運用すると、支払いをめぐるトラブルの原因になります。
アルムナイ(退職者の再雇用)も、運送業では現実的な選択肢です。円満退職した元ドライバーに、年1回でも連絡を取る仕組みを作っておくと、他社での経験を持って戻ってきてもらえることがあります。教育コストがほぼかからず、車両も運行ルートも分かっている人材です。
これらに共通するのは、開拓に時間がかかる代わりに、一度つながれば翌年以降も使えるという点です。有料媒体は掲載を止めれば応募も止まりますが、無料チャネルは資産として残ります。採用代行の稼働をここに使う価値が大きいのは、この非対称性があるからです。
【使い分けの目安】 急ぎの欠員補充は有料媒体、来年以降の採用力は無料チャネル。この2本立てで予算と稼働を配分してください。無料チャネルだけで当月の欠員を埋めようとすると間に合いません。
無料チャネルの開拓を社内でやり切れる運送会社は、そう多くありません。訓練施設への連絡も自治体への問い合わせも、配車や運行管理の合間にできる作業ではないからです。やれば効くと分かっているのに手が回らない作業を月額の稼働で進められる点が、採用代行を入れる実質的な価値になります。
2024年問題後の求人票で必ず書くこと
改善基準告示の改正以降、ドライバーの求人票は「時間の条件」で比較されます。あわせて、2024年4月からは労働条件明示のルールも変わりました。労働者の募集や求人の申込みの際に明示しなければならない労働条件が追加され、就業場所・業務の変更の範囲、有期契約の更新上限、無期転換に関する事項などが明示事項になっています[5][6]。
ドライバー採用の求人票では、法令上の明示事項に加えて、次の項目を数値で書けるかが応募数を左右します。
- 1日の拘束時間の目安:改善基準告示では原則13時間・最大15時間。自社の実態を数値で書く
- 休息期間:継続11時間以上を基本とし、継続9時間を下回らない。自社がどう運用しているか
- 運行の種類:地場か長距離か、1日あたりの走行距離の目安
- 荷役作業の有無:手積み手降ろしがあるか、パレット・フォークリフト使用か
- 給与の内訳:基本給・各種手当・歩合の内訳と、モデル年収を複数パターン
- 車両と装備:使用する車格、AT限定可否、車両の年式や装備
「詳細は面談にて」と書くほど、応募は減ります。書けない条件があるということは、比較検討の土俵に乗らないということだからです。求人票の作成は採用代行に外注できる業務の2番目に挙げましたが、原稿の材料そのものは自社から出す必要があります。
数値を出すと不利になると感じたときの考え方
「うちの拘束時間を正直に書いたら応募が来ない」という懸念をいただくことがあります。しかし、書かずに採用しても、入社後に実態を知った人は辞めます。採用にかけた費用と教育の時間が無駄になるだけでなく、早期離職は次の募集にも影響します。
現実的な打ち手は3つです。1つ目は、条件のよい区分から募集を切り出すこと。地場配送と長距離で条件が違うなら、条件のよいほうを別の求人票として出します。2つ目は、時間以外の魅力を数値で出すこと。車両の年式、AT車の比率、手積み手降ろしの有無、年間休日数、月間の平均残業時間など、比較材料になる数字は時間だけではありません。3つ目は、運行そのものを見直すことです。これは採用の話ではありませんが、改善基準告示への対応と採用は、同じ課題の裏表です。
【求人票の見直し手順】 ①いま出している求人票を印刷する、②同業他社の求人票を3件並べる、③「数値が書いてある項目」を数える。他社より数値が少なければ、そこが応募が来ない原因の1つです。この作業は30分でできます。
代行を入れた場合の進め方|別業種の事例から
弊社の支援先にはドライバー職の事例がないため、手法が転用できる別業種の事例を紹介します。無料チャネルを開拓して母集団を作る手順は、運送業でもそのまま使えるものです。
| 項目 | Before | After(4か月) |
|---|---|---|
| 提携している職業訓練校 | 3校 | 19校 |
| エージェント以外からの応募 | 0件 | 13件 |
| 企業説明会の実施回数 | 1年に1回 | 4か月で7回 |
| 説明会での直接アプローチ人数 | ほぼゼロ(県主催の説明会は着席1名) | 80名程度 |
※ドライバー職ではなく、インフラ系SES会社(従業員8名・エンジニア職)の事例です。 職業訓練校と公共事業を使って母集団をつくる手順は運送業でも同じ形で使えますが、業種は異なります。弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。
この会社は、従業員8名で創業以来はじめての採用でした。課題は「訓練校を開拓したいが時間がない」「採用費をかけられない」「エージェント紹介のみで母集団の質と単価が高い」の3つ。運送会社が抱える課題とほぼ同じ構造です。
打ち手は、訓練校と公共事業をリサーチして説明会枠を獲得することに集中しました。埼玉県主催の合同説明会は大手企業が多く着席1名という結果でしたが、訓練校に切り替えて4か月で7回・80名程度への直接アプローチにつながっています。あわせて説明会の資料と話し方を助言し、社内で回せるように内製化を進めながら、代行側で回数を担保しました。
運送業に置き換えると、開拓先が情報系の訓練校から輸送・機械運転関係のコースに変わるだけで、手順は同じです。電話と訪問を積み重ね、修了時期に合わせて説明会枠を取る。この作業を現場を止めずに進められるかどうかが、代行を入れる価値になります。
この事例からもう1つ学べるのは、「合同説明会に出る=母集団が作れる」とは限らないということです。県主催の説明会で着席1名という結果は、出展の判断そのものを見直すべきサインでした。同じ時間を訓練校での説明会7回に使ったほうが、80名という直接アプローチにつながっています。運送業でも、大規模な合同説明会に出展料を払って埋もれるより、修了予定者が数十名いる訓練施設で1回話すほうが、接触の密度は高くなります。
なお、無料チャネルの開拓は成果が出るまでに数か月かかります。この事例も4か月の数字です。今月の欠員を埋める手段ではなく、来年の採用力をつくる投資として位置づけてください。
ドライバー採用代行でよくある失敗3つ
最後に、外注しても結果が出にくいパターンを挙げておきます。
①求人票の材料を出さないまま外注する
拘束時間、走行距離、荷役の有無、給与の内訳。これらは自社にしかない情報です。「うまく書いておいてください」と丸投げすると、一般的な求人票になり、条件比較で落とされます。代行側がヒアリングで引き出せる部分もありますが、配車実態や手当の細かい支給条件は、現場の方に確認しないと出てきません。求人票の材料集めに1〜2時間を使うと決めておいてください。
②有料媒体の掲載だけを代行に任せる
媒体運用だけを外注すると、同業他社と同じ土俵で戦い続けることになります。無料チャネルの開拓まで業務範囲に入れるかどうかを、契約前に確認してください。「無料チャネルもやります」という回答だけでは不十分で、「直近でどの訓練施設・自治体と接点を作った実績がありますか」まで踏み込んで聞くと、実際にやっている会社かどうかが分かります。
③応募後の対応速度が変わらない
代行が応募を集めても、面接日程の決裁が社内で1週間止まれば結果は変わりません。誰が何営業日以内に返すかを、稼働開始前に決めておいてください。ドライバー採用では、面接の実施そのものが運行スケジュールに左右されます。「面接は週1回、水曜の午後だけ」という運用だと、応募から面接まで最長で1週間空きます。候補者の熱量には賞味期限があるという前提で、面接枠の持ち方も見直してください。
【契約前に確認する4点】 ①無料チャネルの開拓が業務範囲に入るか、②月額に媒体費が含まれるか、③応募への一次返信を何時間以内に行うか、④契約終了後に何が残るか。この4点を同じ質問文で複数社に投げると、比較できる状態になります。中小企業向けの採用代行の比較検討から始めたい場合は、中小企業向け採用代行おすすめ5選|300名以下の費用比較表もご覧ください。
よくある質問
Q1. ドライバー採用代行の費用相場はいくらですか?
中小企業向けの月額固定プランでは月10万円台〜80万円台が目安です。おまかせ採用はライト30万円(〜30時間)、スタンダード50万円(40〜50時間)、プレミアム80万円(60時間以上)の3プランで、月額固定・採用時の手数料はありません(2026年8月時点の料金)。求人媒体の掲載料は別途かかるのが一般的です。
Q2. 採用代行にドライバー採用のどこまで任せられますか?
要件定義、求人票作成、媒体選定、スカウト送信、応募対応、面接日程調整、説明会代行、数値分析、内定者フォローまで任せられます。一方、最終的な合否の判断、点呼・適性診断・初任運転者教育といった運行管理に関わる法令実務は自社に残ります。
Q3. 有料媒体を使わずにドライバーを採用できますか?
条件によっては可能です。ハローワークの求人と就職面接会、輸送・機械運転関係の公共職業訓練を実施している施設との接点づくり、自治体の合同説明会、リファラルといった採用費0円のチャネルがあります。弊社の支援先全体では、入社の4割超が採用費0円のチャネルからです。ただし開拓には数か月かかるため、急ぎの欠員補充は有料媒体との併用が現実的です。
Q4. 未経験のドライバーを採用するときの注意点は?
免許取得の支援制度を用意する場合は、負担額・勤続条件・返還規定を求人票に明記してください。条件が曖昧だと応募段階で敬遠されます。また、免許取得までの期間に離脱されないよう、入社日までの連絡や入社後のフォロー面談まで設計しておくことをおすすめします。
Q5. 2024年4月の改善基準告示の改正は求人票にどう影響しますか?
拘束時間の上限は1年3,300時間以内、1か月284時間以内、1日は原則13時間・最大15時間、休息期間は継続11時間以上を基本とし継続9時間を下回らないこととされています。求職者はこの基準を前提に求人票を比較するため、自社の実態を数値で明示できるかどうかが応募数に直結します。あわせて2024年4月からは労働条件明示のルールも変わっているため、求人票のフォーマット自体の見直しが必要です。
関連する公開記事
ドライバー採用のお悩み、おまかせ採用にご相談ください
おまかせ採用は月額固定30/50/80万円、採用時の手数料なし、1名からご依頼いただけます。有料媒体の運用だけでなく、職業訓練校・自治体・業界団体といった採用費0円のチャネル開拓まで業務範囲に含めており、支援先では入社の4割超が採用費0円のチャネルからです。※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。
現在の募集条件と応募状況をお聞かせいただければ、求人票のどこを直せば比較検討の土俵に乗るか、どのチャネルから開拓すべきかを整理してご提案します。初回のご相談は無料です。
参考資料
- 厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト|トラック運転者の改善基準告示」(2024年4月適用。拘束時間 年3,300時間・月284時間・1日原則13時間、休息期間 継続11時間以上を基本)
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice - 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」(2026年7月の有効求人倍率1.18倍、新規求人倍率2.10倍)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75707.html - 株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」(正社員の人手不足51.3%)
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260817-laborshortage202607/ - 厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/rishokusha.html - 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
https://muki.mhlw.go.jp/rule.html - 厚生労働省リーフレット「2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、明示しなければならない労働条件が追加されます」
https://www.mhlw.go.jp/content/001114155.pdf
