求人を出しているのに、中途採用だけ応募が止まっている——。この状態が続くと「不況で人が動かなくなった」「うちの知名度では無理だ」と結論づけたくなります。ですが2026年の市場データを見ると、実態はまったく逆です。民間の転職市場では求人数が前年同月比で2桁増え、転職を考えている在職者は1,000万人を超えています。人は動いています。動いている人に、自社の求人が届いていないか、届いても選ばれていないだけです。
この記事では、中途採用に特化して「どこで応募が止まっているのか」を4つの層に切り分けて診断し、原因ごとの打ち手と、30日で応募数を戻すための実行プランまでを整理します。
この記事でわかること
- 中途採用で応募が来ない原因が市場要因か自社要因かを切り分ける「4層診断」の手順
- 2026年の転職求人倍率2.55倍という数字が、中小企業の中途採用に何を意味するのか
- 求人票・応募導線・選考スピードという3つのボトルネックの具体的な直し方
- 自社対応と採用代行(RPO)を比べたときの費用と、外注を検討すべき判断ライン
中途採用で応募が来ないのは「人が動かないから」ではない
まず、自社の状況を評価する前に、2026年の中途採用市場がどうなっているのかを数字で押さえます。ここを間違えると、打つべき手を丸ごと間違えます。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によれば、2026年5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.17倍、正社員に限った有効求人倍率は0.99倍でした。新規求人倍率は2.11倍、新規求人数は前年同月比で8.9%減となっています[1]。この数字だけを見ると「求人は減っている=採用しやすくなっている」と読めます。
ところが、民間の転職サービスを対象にしたデータはまったく違う動きを示します。パーソルキャリアの「doda転職求人倍率レポート」では、2026年6月の転職求人倍率は2.55倍。求人数は前年同月比16.6%増、転職希望者数は同6.7%増でした[2]。つまり、転職希望者の伸び(6.7%)を求人の伸び(16.6%)が大きく上回っており、1人の転職希望者を2.5社以上が奪い合う構図が続いています。
さらに母集団の規模を確認します。総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」2025年平均では、実際に転職した人(転職者)は330万人で前年から1万人の減少、一方で「転職等希望者」——いまの仕事を辞めて他の仕事に変わりたい、または別の仕事もしたいと考えている在職者——は1,023万人で、前年から23万人増えています[3]。
| 指標 | 最新値 | 何を測っているか | 中途採用への意味 |
|---|---|---|---|
| 有効求人倍率(全体) | 1.17倍(2026年5月) | ハローワークの求人/求職 | ハローワーク経由の需給。全体の景況感の目安 |
| 正社員有効求人倍率 | 0.99倍(2026年5月) | ハローワークの正社員求人/求職 | 正社員だけを見ると需給はほぼ均衡 |
| 転職求人倍率(doda) | 2.55倍(2026年6月) | 民間転職サービスの求人/登録者 | 民間市場では1人を2.5社超が取り合う |
| 転職者数 | 330万人(2025年平均) | 実際に転職した人 | 実際に動いた人の総数 |
| 転職等希望者数 | 1,023万人(2025年平均) | 転職を希望している在職者 | 潜在層は転職者の約3.1倍存在 |
この表から読み取れることは1つです。転職を考えている人は1,023万人いるのに、実際に転職に至るのは330万人。約3人に2人は「考えているが動いていない」状態にあるということです。中途採用で応募が来ない会社の多くは、この「考えているが動いていない層」に一切リーチできていません。
ハローワークの指標と民間転職サービスの指標が逆方向に見えるのは、そもそも集計している母集団が違うためです。ハローワークの有効求職者には、離職して求職活動をしている人が中心に含まれます。一方で民間の転職サービスに登録するのは、在職しながら次を探している人が大半です。中途採用で狙うべきターゲットは後者であり、前者の数字で「今は採りやすい」と判断すると、実態と真逆の打ち手を選ぶことになります。自社の中途採用の難易度を測るときは、有効求人倍率ではなく転職求人倍率を見るべき、というのがここでの実務的な結論です。
【この章の結論】
市場に人がいないのではなく、転職潜在層(1,023万人)に自社の求人が届いていないか、届いても行動を起こす理由になっていない。「不況だから」は原因の説明になりません。まず自社のどこで止まっているかを特定するところから始めます。
応募が来ない原因を切り分ける「4層診断」
中途採用の応募数は、次の4つの層を順番に通過した結果として決まります。どの層で落ちているかによって、打つべき手はまったく変わります。逆に言えば、層を特定せずに「求人票を書き直そう」「媒体を変えよう」と動くのは、当たるまでくじを引いているのと同じです。
- 露出層:そもそも求人が求職者の目に触れているか(表示回数・スカウト送信数)
- 閲覧層:目に触れた人が求人詳細を開いているか(クリック率)
- 動機層:詳細を読んだ人が「応募したい」と思ったか(詳細閲覧→応募ボタン到達率)
- 応募操作層:応募したいと思った人が、実際に応募を完了できたか(フォーム完了率)
各媒体の管理画面にはこの4つに対応する数値がほぼ必ずあります。数字の名前は媒体ごとに違いますが、「表示」「クリック(閲覧)」「応募開始」「応募完了」に対応するものを探してください。
| 症状 | 見るべき数値 | 疑うべき層 | 主な原因 |
|---|---|---|---|
| 表示回数そのものが少ない | 表示回数/掲載順位 | 露出層 | 媒体ミスマッチ、掲載プラン、更新停止、職種名のズレ |
| 表示は多いがクリックが少ない | クリック率(CTR) | 閲覧層 | 求人タイトル・給与レンジ・勤務地表記が弱い |
| 詳細は読まれるが応募がない | 詳細閲覧→応募率 | 動機層 | 仕事内容が抽象的、選考プロセス不明、条件が競合に劣る |
| 応募を開始するが完了しない | フォーム完了率 | 応募操作層 | 入力項目過多、履歴書添付必須、スマホ非対応 |
| 応募はあるが辞退・音信不通が多い | 一次連絡までの日数 | (選考プロセス) | 返信遅延、面接日程の柔軟性不足 |
数値の目安としては、求人媒体の詳細閲覧から応募に至る率が1%を切っている場合は動機層、応募開始から完了までの離脱が50%を超える場合は応募操作層に問題があると考えて差し支えありません※当社推計/業界相場目安。
具体的に計算してみます。ある職種の求人が1か月で表示回数10,000回、そのうち詳細を開いたのが200回(クリック率2.0%)、応募ボタンを押したのが4件、応募完了が1件だったとします。この場合、クリック率2.0%は極端に低くはありません。問題は詳細閲覧200件に対して応募開始が4件(2.0%)である点と、応募開始4件のうち3件が完了していない点です。前者は動機層、後者は応募操作層です。ここで媒体を変更しても、表示回数10,000回が12,000回になるだけで、応募完了は1件が1.2件になるにすぎません。一方で応募フォームを直して完了率を25%から75%に上げれば、同じ表示回数のまま応募は3件になります。どの層を触るかで、投じるコストあたりの効果は10倍以上変わります。
【回避策】
4層のうち2つ以上を同時に触らないでください。求人票と媒体を同じ週に両方変えると、応募が増えても減っても原因が特定できなくなります。1週間に1層ずつ、変更前後の数値を記録しながら進めるのが最短ルートです。
なお、この考え方は中途採用に限らず求人全般に共通します。求人全体の応募改善の総論は求人を出しても応募が来ない理由と対策で整理していますので、あわせてご覧ください。本記事はここから先、中途採用に固有の事情——応募者が在職中であること、競合が2.5社いること、経験要件が存在すること——に絞って掘り下げます。
原因1・2|そもそも見られていない(媒体ミスマッチと掲載運用の放置)
原因1:職種と媒体が合っていない
中途採用で最も多い「露出層」の失敗が、職種と媒体の不一致です。転職媒体はそれぞれ得意な職種・年収帯・年齢層を持っており、同じ求人原稿を出しても表示される相手がまったく違います。営業職とITエンジニアと製造オペレーターを同じ媒体に同じ予算で出している場合、少なくとも1つは確実に無駄になっています。
媒体選定と並んで見落とされやすいのが、職種名の表記ズレです。求職者は検索窓に一般的な職種名を入力します。社内で通用している「営業推進」「業務職」「テクニカルスタッフ」といった呼称をそのまま求人タイトルに使うと、検索結果にすら出てきません。求人タイトルは「一般的な職種名+特徴」の順で組み立て、社内呼称は本文の冒頭で補足するのが基本です。例えば「業務職(受発注管理)」ではなく「営業事務/受発注管理|土日祝休み・残業月10時間以内」とするだけで、表示回数が変わります。
判断材料として、市場全体で中途採用がどこまで一般化しているかを押さえておきます。リクルートワークス研究所の「中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)」では、中途採用を実施した企業の割合は2025年度下半期で84.4%と過去最高を更新し、採用者に占める未経験者比率は31.9%まで拡大しました[4]。経験者だけを取り合う市場から、未経験者を含めて育成する市場へと軸足が移っているということです。経験年数を要件から外すだけで、露出できる母集団が一気に広がるケースは珍しくありません。
原因2:掲載したあと運用していない
もう1つの露出層の失敗は、掲載後の放置です。多くの転職媒体は、更新日時の新しい求人を上位に表示するアルゴリズムを採用しています。掲載しただけで1か月放置した求人は、2週目以降ほとんど表示されません。同様に、スカウト機能つきのプランを契約していながらスカウトを送っていない状態は、費用の半分以上を捨てているのと同じです。
【今週やること】
① 契約中の媒体の管理画面を開き、直近30日の「表示回数」と「スカウト送信数」を書き出す
② スカウト送信数が0または月10通未満の媒体があれば、そこが最優先の改善対象
③ 求人原稿の更新(給与レンジ・仕事内容の1文でよい)を週1回のルーティンに固定する
スカウトは「送る時間がない」で止まりがちな業務の代表格です。ここだけを外部に任せる方法もあり、実務と料金の目安はビズリーチ運用代行とは|料金相場・選び方・スカウト改善事例にまとめています。
原因3・4|求人票が「在職中の求職者」に刺さっていない
露出は十分にあるのにクリックも応募もされない場合、原因は求人票の中身にあります。中途採用の求人票を書くときに決定的に重要なのは、読み手が在職中であるという前提です。新卒学生と違い、中途の応募者は今日も働いています。転職活動に割ける時間は通勤中とお昼と夜だけ。その細切れの時間で「応募するかどうか」を判断されます。
原因3:給与レンジと要件が市場と噛み合っていない
マイナビの「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」では、正社員の人材不足について「質的不足(高スキル人材の不足)」を挙げた企業が55.6%で前年から6.7ポイント増加した一方、募集要件を満たさない応募者について「採用しないことが多かった」と回答した企業が62.1%で前年から7.7ポイント増えています。また平均採用目標人数は16.7人、平均実採用人数は12.3人と、いずれも前年から縮小しました[5]。
つまり市場全体で、「求める水準は上がっているのに、その水準に見合う条件提示ができていない」というねじれが起きています。求人票に書かれた必須要件が5つも6つもあり、それに対して提示年収が市場中央値のままであれば、求職者は最初の10秒で離脱します。
原因4:2024年4月改正への未対応が「不信感」を生んでいる
意外な盲点が、労働条件の明示です。2024年4月から労働条件明示のルールが変わり、すべての労働者に対して契約締結・更新時に「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりました。あわせて、有期契約労働者には更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の明示、無期転換申込権が発生する契約更新時には申込機会と転換後の労働条件の明示が義務づけられています[6]。
これは労働契約時のルールであって求人票そのものへの直接義務ではありませんが、転勤の有無や職種変更の可能性が求人票に一切書かれていない会社は、入社後にトラブルになりやすい会社だと受け取られます。特に転職経験のある層はこの点に敏感です。「変更の範囲」を求人票の段階で明記しておくことは、法対応であると同時に、そのまま応募動機の材料になります。
| よくあるNG表現 | なぜ避けるか | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 年収300万円〜800万円 | レンジが広すぎて自分の額が分からない | 年収380万〜520万円(経験3年・30歳モデル年収450万円) |
| 若手が活躍中/20代が中心 | 年齢による限定と受け取られる(雇用対策法10条) | 入社1〜3年目のメンバーが◯名在籍しています |
| アットホームな職場です | 具体性がゼロ。むしろ警戒される | 平均残業◯時間/有給取得率◯%/中途入社比率◯% |
| 勤務地:本社(転勤あり) | 「あり」だけでは範囲が分からない | 就業場所の変更の範囲:本社および東京・神奈川の全事業所 |
| 業務内容:営業全般 | 何をするのか判断できない | 既存顧客8割・新規2割/1日訪問3件/担当エリアは都内23区 |
| 経験者優遇 | 必須なのか歓迎なのか不明 | 必須:法人営業1年以上/歓迎:SFA運用経験 |
要件の書き方そのものを設計し直したい場合は、魅力的な求人の作り方|応募が増える7つの構成要素と求人票テンプレートの構成テンプレートをそのまま流用してください。
原因5|応募フォームで落ちている(スマホ・夜間・在職中)
求人票までは読まれているのに応募が来ない場合、最後の関門は応募フォームです。ここは改善効果がもっとも大きく、かつコストがほぼゼロの領域です。
中途採用の応募は、平日の夜21時以降と土日に集中します。在職中の人が動ける時間がそこしかないからです。そしてその時間の端末は、ほぼスマートフォンです。にもかかわらず、応募フォームが以下のような状態になっている企業が少なくありません。
- 会員登録を先に求められる
- 履歴書・職務経歴書のファイル添付が応募時点で必須
- 入力項目が20を超える
- 送信ボタンを押すと平日日中のみ対応の自動返信が届く
【原則】
中途採用の一次応募で本当に必要な情報は「氏名・連絡先・応募職種・簡単な経歴(自由記述)」の4つだけです。それ以外は、書類選考の案内メールで後から集められます。応募のハードルを下げることと、選考を甘くすることはまったく別の話です。
| フォーム項目 | 一次応募で必要か | 判断理由 |
|---|---|---|
| 氏名・メールアドレス | 必要 | 連絡が取れなければ選考が始まらない |
| 電話番号 | 任意で可 | 在職中は電話を嫌う層が一定数いる |
| 応募職種 | 必要 | 複数職種を募集している場合は必須 |
| 職務経歴(自由記述) | 必要(200字程度) | 書類選考の一次判断に足りる |
| 履歴書ファイル添付 | 不要 | スマホでは添付できず離脱の最大要因 |
| 生年月日・性別 | 不要 | 選考に必要な段階で取得すれば足りる |
| 志望動機(長文) | 不要 | 応募数を最も減らす項目。面接で聞く |
| 会員登録 | 不要 | 応募前の登録要求は離脱率を大きく押し上げる |
応募時間帯についても、運用側の前提を変える必要があります。金曜の夜に応募した人が、月曜の午前中まで何の連絡も受け取らないと、その間に他社の選考が進みます。自動返信の設定は必須として、そのうえで月曜朝一番の30分を「週末応募者への連絡」に固定するだけでも、初回接触までの体感時間は大きく縮まります。応募が土日に集中する職種(販売・サービス・ドライバーなど)では、土日のいずれかに30分だけ確認する体制を組めると、さらに差が出ます。
加えて、応募受付の自動返信メールに「◯営業日以内にご連絡します」と明記しておくだけで、応募後の不安による辞退が減ります。応募から内定までの各段階の通過率を管理する方法は採用の歩留まり改善|計算式・選考段階別の改善施策7選で詳しく扱っています。
原因6・7|選考スピードと「盛りすぎた要件」
原因6:一次連絡までが遅く、競合に先を越されている
転職求人倍率2.55倍という数字を、応募者側から見直してみます。1人の転職希望者に対して2.5社以上の求人がある状態では、応募者はほぼ確実に複数社に同時応募しています。そこで最初に面接日程を提示した会社が、実質的に先行権を握ります。
書類選考に1週間かけ、日程調整のメールを2往復させ、面接が2週間後——というプロセスでは、面接当日に「他社で内定が出まして」と言われます。中途採用における選考スピードは、条件面の魅力と同じかそれ以上に効きます。
- 応募受付から一次連絡まで:24時間以内(土日祝を含む)
- 書類選考の結果通知まで:3営業日以内
- 一次面接の実施まで:応募から7日以内
これを実現する最小の工夫は、面接候補日を毎週固定枠で確保しておくこと(例:毎週火・木の16〜19時)と、日程調整を候補日3つ提示型のテンプレートにして往復回数を1回に減らすことです。「ご都合のよい日をお知らせください」という文面は、応募者に日程を考えさせる分だけ返信が遅れます。こちらから3枠を提示し、「いずれも難しい場合は候補日をお知らせください」と添えるだけで、往復は平均2回から1回に減ります。
もう一段踏み込むなら、一次面接をオンライン30分に切り替えることも有効です。在職中の応募者にとって、平日日中に移動時間を含めて2〜3時間を空けるのは大きな負担で、この負担が日程確定の遅れと当日辞退の主要因になります。オンラインであれば昼休みや始業前の枠も使え、候補日の選択肢が実質的に倍増します。面接の質を落とさずに実施するには、一次面接で確認する項目を事前に3つに絞っておくことが前提です。
原因7:必須要件を盛りすぎている
もう1つ、応募数を静かに殺しているのが要件の盛りすぎです。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」では、正社員が不足していると回答した企業は52.3%。業種別では建設69.6%、情報サービス69.2%、メンテナンス・警備・検査67.4%と、特定業種で7割近くに達しています[7]。この水準の人手不足下で、必須要件を5つ並べれば該当者は事実上ゼロになります。
| 要件 | 分類の考え方 | 例 |
|---|---|---|
| 必須(MUST) | これが無いと初日から業務が成立しない。3つ以内 | 普通自動車免許、法人営業1年以上 |
| 歓迎(WANT) | あれば立ち上がりが早い。入社後に習得可能 | SFA利用経験、業界知識、Excel関数 |
| 不問 | 育成でカバーできる。要件から外す | 同業界経験、マネジメント経験、学歴 |
必須要件を3つ以内に絞り込むだけで、対象母集団が数倍になる職種は多くあります。要件を落とすことに不安がある場合は、要件を落とすのではなく「必須」から「歓迎」に移す、と考えると判断しやすくなります。
30日で中途採用の応募数を戻すリカバリープラン
ここまでの原因を、実行順に並べ替えたものが以下です。上から順に、コストが低く効果が出るのが早いものから並べています。
- 【1〜3日目】数値の棚卸し:契約中の全媒体について、直近30日の表示回数・クリック率・応募開始数・応募完了数を1枚の表にまとめます。ここで4層診断のどこが弱いかを確定させます。
- 【4〜5日目】応募フォームの削減:入力項目を4つまで削り、履歴書添付を任意に変更します。スマホの実機で自分で応募してみて、詰まる箇所を潰します。工数は半日、費用はゼロです。
- 【6〜7日目】選考スピードのルール化:一次連絡24時間以内、書類結果3営業日以内、面接枠を週2回固定。担当者が不在の日の代理対応も決めておきます。
- 【8〜12日目】必須要件の絞り込み:現場責任者と一緒に、必須要件を3つ以内に落とします。落とした分は「歓迎」に移し、入社後の育成計画をセットで用意します。
- 【13〜18日目】求人票の書き換え:給与レンジをモデル年収つきに、業務内容を1日の流れに、勤務地に「変更の範囲」を追記します。NG表現の言い換え表を使って全文を点検します。
- 【19〜25日目】媒体・チャネルの再配分:表示回数が伸びない媒体の予算を、スカウト送信可能な媒体またはリファラルに振り替えます。同時にスカウトの週次送信数の目標を設定します。
- 【26〜30日目】効果測定と次サイクルの設計:4層の数値を再取得し、変化した層としなかった層を分けます。変化しなかった層が次の30日の対象です。
【注意】
このプランは1〜3までを必ず先に終わらせてください。求人票の書き換え(5)から着手すると、応募フォームで落ちている状態が温存されたまま原稿だけが変わり、効果が出ないという結論になってしまいます。
母集団そのものを増やす手法を体系的に検討したい場合は、採用の母集団形成の方法|8つの手法とKPI設計もあわせてご覧ください。
自社で立て直すか、外部に任せるか|費用と判断ライン
ここまでの7項目は、担当者に時間があれば自社で実行できます。問題は、中途採用で応募が来ないと悩んでいる企業の多くで、採用担当者が他業務と兼任しているという点です。上記30日プランの実行に必要な工数は、概算で以下の通りです。
| 対応範囲 | 自社対応の想定工数 | 外部委託の費用目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 数値の棚卸し・診断 | 8〜12時間 | 5万〜15万円(スポット) | 単発の診断のみの依頼も可能 |
| 求人票の書き換え(1職種) | 6〜10時間 | 5万〜10万円/職種 | 職種が増えるほど単価は下がる傾向 |
| スカウト運用(月100通) | 20〜30時間/月 | 10万〜25万円/月 | 媒体別の返信率で成果が大きく変わる |
| 応募対応・日程調整 | 15〜25時間/月 | 5万〜15万円/月 | スピード改善に直結する領域 |
| 上記を含む月額型RPO | 50〜80時間/月 | 15万〜60万円/月 | 委託範囲により幅がある |
判断ラインはシンプルです。月40時間以上を採用実務に割けないのであれば、スカウト運用と応募対応の2つは外部化したほうが、応募数・スピードの両方で結果が出ます。逆に、求人票の書き換えと必須要件の絞り込みは自社の意思決定そのものなので、外部に丸投げしても機能しません。ここは社内で決める領域です。
費用の妥当性を判断するときは、「月額いくらか」ではなく「1人採用するのにいくらかかるか」で比べてください。人材紹介経由で年収450万円の人材を採用した場合、手数料率30%なら成功報酬は135万円です。月額20万円のRPOを6か月契約して2名採用できたなら、採用単価は媒体費を含めても1名あたり60〜80万円程度に収まる計算になります※当社推計/業界相場目安。応募が来ない状態が半年続いていること自体が、機会損失というかたちですでにコストになっている点も、判断材料に加えてください。
料金体系ごとの内訳や、どこまでを委託範囲にできるのかは採用代行の月額費用はいくら?料金相場・プラン比較・費用対効果で比較しています。
まずは自社の応募状況を診断するところからでも構いません。
よくある質問
Q1. 中途採用で応募が来ないとき、最初に手をつけるべきはどこですか。
応募フォームの入力項目削減です。費用がかからず、半日で完了し、効果が数日で数値に出るためです。入力項目を4つ(氏名・メールアドレス・応募職種・簡単な経歴)まで絞り、履歴書ファイルの添付を任意に変更してください。そのうえで媒体の数値を棚卸しし、4層診断でボトルネックを特定します。求人票の書き換えや媒体変更は、その後に着手するほうが効果を測定できます。
Q2. 求人媒体を変えれば応募は増えますか。
表示回数そのものが少ない場合は増えますが、表示は多いのにクリックや応募が少ない場合は、媒体を変えても同じ結果になります。媒体変更は「露出層」への打ち手であって、「動機層」「応募操作層」の問題は解決しません。媒体を変える前に、直近30日の表示回数・クリック率・応募完了率を確認してください。
Q3. 未経験者を採用対象に含めるべきでしょうか。
中途採用者に占める未経験者比率は2025年度実績で31.9%まで拡大しており、未経験採用は例外ではなくなっています。必須要件を3つ以内に絞り、うち1つ以上を「歓迎」に移せるかを現場責任者と検討してください。ただし未経験採用は入社後の育成計画とセットでなければ早期離職につながるため、受け入れ体制の設計を同時に進めることが前提になります。
Q4. 求人票に「転勤あり」とだけ書いていますが問題ありますか。
法令違反ではありませんが、応募者にとっては判断材料になりません。2024年4月の労働条件明示ルール改正により、労働契約の締結・更新時には「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になっています。求人票の段階で「就業場所の変更の範囲:本社および関東圏の全事業所」のように具体的に書いておくと、法対応と応募動機づくりを同時に満たせます。
Q5. 採用代行に依頼した場合、どのくらいで応募数は変わりますか。
委託範囲によりますが、スカウト運用と求人原稿の改善を含む場合、送信開始から4〜6週間で応募数の変化が数値に現れることが一般的です※当社推計/業界相場目安。応募対応や日程調整の代行のみの場合は、応募数そのものより辞退率と選考スピードに先に効果が出ます。契約前に「何の数値を、いつまでに、どこまで動かすか」を合意しておくことをおすすめします。
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中途採用の応募が来ないお悩み、おまかせ採用にご相談ください
中途採用で応募が来ない状態は、原因が1つに絞られることはほとんどありません。露出・求人票・応募導線・選考スピードのどこか複数が同時に詰まっているのが通常です。そして、その切り分けにこそ時間がかかります。
おまかせ採用では、契約中の媒体の数値を棚卸しして4層のどこで止まっているかを診断するところから、求人原稿の改善、スカウトの運用代行、応募対応・日程調整まで、必要な範囲だけを切り出してご支援可能です。専任の採用担当者がいない企業様、他業務と兼任されている企業様のご相談を多くいただいています。まずは現状の数値をお持ちいただければ、どこから手をつけるべきかをご提案します。
参考資料
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」2026年
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html(最終閲覧:2026年8月14日) - パーソルキャリア株式会社「doda転職求人倍率レポート(2026年6月)」2026年
https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/(最終閲覧:2026年8月14日) - 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」2026年
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.html(最終閲覧:2026年8月14日) - リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)」2026年
https://www.works-i.com/surveys/report/260612_midcareer.html(最終閲覧:2026年8月14日) - 株式会社マイナビ キャリアリサーチLab「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」2026年
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260327_109053/(最終閲覧:2026年8月14日) - 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(有期契約労働者の無期転換ポータルサイト)」2024年
https://muki.mhlw.go.jp/rule.html(最終閲覧:2026年8月14日) - 株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」2026年
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260220-laborshortage202601/(最終閲覧:2026年8月14日)
