採用単価を下げる7つの方法|計算式・相場・コスト削減事例まで徹底解説

採用活動のコストが年々増加し、「1人採用するのにいくらかかっているのか分からない」「人材紹介の手数料だけで年間数百万円が消えていく」と頭を抱える経営者・人事担当者は少なくありません。マイナビ「中途採用状況調査2025年版」によれば、2024年の中途採用費用は1社平均650.6万円で前年から20.9万円増加しており、放置すれば採用単価は上がり続ける一方です。[1]

本記事では、採用単価を下げるための7つの実践的な方法を、計算式・最新の業界相場・実際の成功事例とともに解説します。すべての数値は公開された統計データを出典付きで参照しています。

採用単価とは|定義と計算式

採用単価(CPH:Cost Per Hire)とは、1人を採用するためにかかった総コストを指します。採用活動の費用対効果を測る最も基本的な指標であり、これを把握せずに採用戦略を立てることはできません。

採用単価の計算式

採用単価 = 採用にかかった総コスト ÷ 採用人数

「採用にかかった総コスト」には、外部コスト(求人広告費、人材紹介手数料、スカウト媒体利用料、採用代行費、説明会・選考会場費など)と、内部コスト(採用担当者の人件費、面接官の工数、リファラル報奨金など)の両方を含めるのが一般的です。内部コストを見落とすと実態より低く見積もってしまうため注意が必要です。

採用単価の内訳

  • 外部コスト:求人広告費、人材紹介手数料、スカウト媒体利用料、リファラルボーナス、採用イベント費、採用代行費
  • 内部コスト:採用担当者・面接官の工数、社内会議・調整時間、採用システム利用料
  • 間接コスト:内定後フォロー、入社後の研修・教育費、早期離職に伴う再採用費

採用単価の最新相場|手法別・業種別の実データ

採用単価は採用手法・業種・企業規模によって大きく異なります。マイナビが2025年3月に発表した「中途採用状況調査2025年版」(従業員3名以上の中途採用担当者1,500名対象)から、実際の相場を整理しました。[1]

採用手法別の1人あたり採用単価(中途・2024年実績)

採用手法1人あたり平均採用コスト備考
人材紹介約115万円理論年収の30〜35%が手数料相場[2]
求人広告約35万円媒体掲載費。応募率により変動
ダイレクトリクルーティング1社年間平均232.7万円スカウト送付による直接アプローチ
全体(年間費用÷採用人数)約31万円1社平均650.6万円÷20.8人で算出
出典:マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」[1]

同調査で年間の中途採用費用が最も高かったのはIT・通信・インターネット業界(1社平均998.5万円)でした。業種により110万円台から1,000万円超まで大きな幅があり、業種特性に応じた戦略が重要です。[1]

業種別・職種別の初年度年収(採用単価に影響する要素)

人材紹介の手数料は理論年収の30〜35%が一般的な相場のため、年収水準が高い業種・職種ほど1名あたりのエージェント手数料も高くなります。マイナビ「2025年7月度 正社員の平均初年度年収推移レポート」によれば、業種別・職種別の初年度年収トップは以下のとおりです。[3]

区分平均初年度年収(2025年7月)経験者求人
全国平均496.0万円558.4万円
IT・通信・インターネット574.7万円604.9万円
コンサルティング570.7万円639.0万円
金融・保険555.7万円658.9万円
不動産・建設・設備526.4万円570.5万円
ITエンジニア(職種別)598.1万円620.0万円
コンサルタント・金融・不動産専門職607.5万円659.2万円
出典:マイナビ「2025年7月度 正社員の平均初年度年収推移レポート」[3]

たとえばITエンジニア経験者(年収620万円)を人材紹介経由で1名採用すると、手数料は約186〜217万円。年間10名採用すれば手数料だけで1,860〜2,170万円が外に流出する計算です。

採用単価が高くなる5つの原因

採用単価を下げる前に、なぜ自社のコストが高くなっているのか原因を特定することが重要です。代表的な原因は次の5つです。

①人材紹介エージェントへの依存度が高い

人材紹介の手数料は理論年収の30〜35%が一般的な相場で、職業安定法に基づく届出制手数料の上限は50%とされています。[2] 年収500万円のポジションなら1人あたり150〜175万円、年収700万円なら210〜245万円が手数料として発生します。紹介経由比率が高い企業ほど採用単価が肥大化するため、ここから見直すのが定石です。

②採用市場の需給ギャップが拡大している

リクルートワークス研究所「中途採用実態調査」(2025年1月発表)によると、2024年度上半期に中途採用で必要人数を確保できなかった企業は57.8%、確保D.I.(できた-できなかった)は-17.5%ポイントで4年連続マイナスです。特に飲食店・宿泊業(-28.2%pt)、情報通信業(-27.6%pt)、建設業(-26.7%pt)、運輸業(-24.5%pt)で深刻です。[4]

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」でも、正社員が不足している企業は51.7%と高止まりが続いており、なかでも情報サービス業は70.2%でトップとなっています。[5] 需給ギャップが大きい市場では、媒体出稿数を増やしても応募が集まらず、結果的に1件あたりのコストが跳ね上がります。

③求人広告費に対する応募率が低い

求人原稿が魅力的でなかったり、ターゲットと媒体特性がズレていると応募率が下がり、媒体掲載費を「応募数」で割った1件あたりの単価が跳ね上がります。マイナビ「2025年7月度 求人件数・応募数推移レポート」では、2025年7月時点で求人件数は2023年平均比169.0%まで増加した一方、応募数は128.8%にとどまっており、求人1件あたりの応募競争が激化していることが分かります。[6]

④選考プロセスの歩留まりが悪い

応募から内定承諾までの各段階で離脱が多いと、必要な内定数を出すために大量の母集団が必要になり、母集団形成コストが膨らみます。1次面接の通過率、最終面接の合格率、内定承諾率を可視化し、ボトルネックを潰すことが採用単価削減の近道です。

⑤早期離職による再採用コスト

採って終わりではありません。入社1年以内に離職されれば再採用コストが発生し、実質の採用単価は2倍になります。ミスマッチを防ぐ選考設計と、入社後オンボーディングへの投資が、結果的に採用単価を下げます。

採用単価を下げる7つの実践方法

ここからは、実際に採用単価を下げるための具体的な方法を7つご紹介します。すべてを一気に実行する必要はなく、自社の状況に合わせて優先順位をつけて取り組むことが重要です。

方法①|採用チャネルを分散し、人材紹介依存を脱却する

人材紹介の1人あたり平均採用コストは115万円ですが、求人広告経由なら約35万円まで下がります(マイナビ調査)。[1] 人材紹介比率を50%以下に抑えることを目標に、ダイレクトリクルーティング、リファラル、採用広報、訓練校ルートなどへチャネルを分散しましょう。年間採用5名のうち2名分を紹介から他チャネルに振り替えるだけでも、年間で約150〜200万円のコスト削減が可能です。

方法②|スカウト媒体の運用品質を上げる

ダイレクトリクルーティング(スカウト媒体)は媒体料が固定費のため、運用の質を上げれば上げるほど1名あたりの単価が下がります。重要なのは次の3点です。

  • ターゲット設計:年齢・経験・志向性ごとに送付対象を細分化する
  • 文面のパーソナライズ:相手の経歴・スキルに即した一文を入れる
  • 送信タイミングと量:曜日・時間帯のテストと、安定した送付量の確保

当社の支援実績では、1社あたり月2,000通以上のスカウト送付・平均開封率40%を実現しています。テンプレート一斉送信から脱却するだけで、開封率・返信率は数倍に改善するケースが珍しくありません。

方法③|職業訓練校・専門学校とのネットワークを開拓する

意外と見落とされがちなのが、職業訓練校・専門学校・高専などからの直接採用ルートです。媒体費・紹介手数料がかからず、若手の採用単価を大幅に下げられます。当社支援先のSES企業では、訓練校との接点を3校→19校に拡大し、月0件だった応募が13件、説明会も月1回から7回に増加しました。全社合計では訓練校ネットワークを2校→42校まで開拓しています。

方法④|採用広報・採用ピッチ資料で「指名応募」を増やす

採用ピッチ資料、採用サイト、SNS発信、社員インタビュー記事などを整備し、「この会社で働きたい」と思ってもらう状態を作れば、人材紹介を使わない直接応募・リファラル応募が増えます。初期投資はかかりますが、ストック型の資産として中長期で採用単価を大きく押し下げます。

方法⑤|採用代行(RPO)で月額固定型に切り替える

月額固定型の採用代行(RPO)は、採用人数が増えるほど1人あたりの単価が下がる構造です。人材紹介経由の1人平均115万円[1]と比較すると、年間で数百万円〜1,000万円規模のコスト削減が見込めます。

当社「おまかせ採用」では、ライト30万円/スタンダード50万円/プレミアム80万円(すべて月額・税別)で、スカウト運用・媒体管理・スクリーニング・日程調整までを巻き取り、紹介手数料は一切いただきません。最短5営業日で稼働開始でき、推奨契約期間は6ヶ月です。

方法⑥|選考プロセスの歩留まりを改善する

「応募→書類選考→1次面接→最終面接→内定→承諾」の各段階の通過率を可視化し、ボトルネックを潰します。たとえば内定承諾率が50%しかないなら、内定後フォローを強化することで承諾率を80%まで引き上げられれば、必要な母集団数は6割で済みます。母集団が小さくなれば媒体費も比例して下がります。

方法⑦|採用機能の内製化を進め人件費レバレッジを効かせる

長期的には、外注に依存しすぎず社内に採用ノウハウを蓄積することで、採用単価は下がり続けます。最初は採用代行を活用しながら社内で運用ノウハウを学び、徐々に内製化に移行する「ハイブリッド型」が現実的です。当社「おまかせ採用」も内製化支援を含むサービス設計としています。

採用単価を下げた成功事例

事例①|SES企業(8名採用)|訓練校ルート開拓で母集団を一気に拡大

エンジニア採用で人材紹介エージェントに依存していたSES企業(社員数十名規模)は、紹介手数料の高騰に悩んでいました。当社が支援に入り、職業訓練校との接点開拓を集中的に実施。4ヶ月で訓練校3校→19校まで拡大、応募0件→13件、説明会1回→7回に増加し、エージェントを使わない採用ルートを確立。最終的に8名の採用に成功しました。

事例②|ITコンサル企業(21名採用)|スカウト改善で開封率10倍超

スカウト媒体を「送るだけ」になっていたITコンサル企業では、当社のスカウト運用支援により、開封率3.6%→40.7%(約11倍)を達成。説明会には平均28.2名(最大49名)が集まる規模となり、最終的に21名の採用に成功。1人あたりの採用単価は人材紹介経由と比較して大幅に抑えられました。

採用単価削減でよくある失敗パターン

  • 媒体費だけ削って母集団が枯れる:他チャネルへの投資を伴わずにコストカットすると、応募数が激減し採用が止まる
  • 成果報酬型RPOに切り替えて単価が下がらない:成果報酬型は1人あたり単価が高く、月額固定型と比較検討すべき
  • 選考プロセスを短縮しすぎて見極めが甘くなる:早期離職による再採用コストで結局トータルが上がる
  • 内製化を急ぎすぎてノウハウ不足のまま放置:採用ノウハウが定着する前に人事が孤立する

まとめ|採用単価を下げる鍵は「チャネル分散」と「運用品質」

採用単価を下げるには、(1)人材紹介への過度な依存を脱却し、(2)スカウト・訓練校・採用広報など複数チャネルの運用品質を高め、(3)選考プロセスの歩留まりを改善し、(4)月額固定型の採用代行で工数とコストを最適化する、というアプローチが王道です。

採用市場は今後も需給ギャップが続く見通し(リクルートワークス研究所調査[4])であり、放置すれば単価は上がり続けます。「何から始めればいいか分からない」「自社の採用単価が相場より高いのか判断できない」という方は、まず現状の採用コスト構造を可視化することからスタートしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 中途採用1人あたりの採用単価の平均はどのくらいですか?

マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」によると、2024年の年間中途採用費用は1社平均650.6万円、年間中途採用人数は1社平均20.8人でした。これを単純計算すると1人あたり約31万円となります。ただし採用手法別では人材紹介経由が1人平均115万円、求人広告経由が1人平均約35万円と差が大きく、業種別ではIT・通信・インターネット業界は1社平均998.5万円とより高水準です。自社の単価が相場より明らかに高い場合は、採用チャネルや手法の見直しが必要です。

Q2. 採用単価を下げると採用品質も下がりませんか?

下がりません。採用単価を下げる=安く採るのではなく、無駄なコストを削減して費用対効果を高めることが本質です。たとえば人材紹介エージェント中心の構成から、ダイレクトリクルーティング・リファラル・職業訓練校ルート・採用広報などへチャネルを分散すれば、単価を下げながら同等以上の質の母集団を形成できます。むしろ「カネで採る」状態から脱却することで、長期的には離職率の低下や定着率向上にもつながります。

Q3. 中小企業でも採用単価を下げる施策は実行できますか?

可能です。むしろ中小企業こそ、人材紹介エージェント依存からの脱却で大幅にコスト削減できる余地が大きいケースが多いです。リクルートワークス研究所「中途採用実態調査」によれば、2024年度上半期に必要人数を確保できなかった企業は57.8%にのぼり、特に中小企業ほど確保D.I.(確保できた-確保できなかった)のマイナス幅が大きい傾向にあります。具体的にはスカウト型媒体の運用改善、職業訓練校・専門学校との連携、リファラル採用の整備、月額固定型の採用代行(RPO)活用などが有効です。

Q4. 採用単価を下げるのにどれくらいの期間がかかりますか?

施策内容によりますが、おおむね3〜6ヶ月で効果が見え始めます。スカウト文面の改善や求人原稿の改善は1〜2ヶ月で開封率・応募率の変化が出ますが、訓練校ルートや採用ブランディングなど中長期施策は6ヶ月程度を見込む必要があります。当社の支援事例では、4ヶ月間で訓練校との接点を3校から19校に拡大し、応募数を月0件から13件、説明会を月1回から7回に増やしたケースがあります。短期と中長期の施策を並行して進めることが重要です。

Q5. 採用代行(RPO)を使うとかえってコストが上がりませんか?

選び方次第です。成果報酬型の採用代行は1人あたりの単価が人材紹介エージェントと変わらないか、それ以上になることもあります。一方、月額固定型の採用代行は採用人数が増えるほど1人あたりの単価が下がる構造のため、計画的に複数採用したい企業には有効です。当社の月額固定型「おまかせ採用」は、紹介手数料が一切発生しない料金体系で、人材紹介経由の1人平均115万円(マイナビ調査)と比較して、年間で数百万円〜1,000万円規模のコスト削減につながった事例があります。

参考資料

[1] 株式会社マイナビ「マイナビ 中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」(2025年3月26日発表)
https://www.mynavi.jp/news/2025/03/post_48109.html
(調査期間:2024年12月、有効回答1,500名/中途採用業務担当者)

[2] 人材紹介手数料は職業安定法に基づく届出制手数料で、上限は理論年収の50%。市場相場は30〜35%が一般的(業界各社公開情報による)。

[3] 株式会社マイナビ「2025年7月度 正社員の平均初年度年収推移レポート」
(マイナビ転職掲載求人の初年度年収を集計、2025年7月)

[4] リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2024年度上半期実績、2025年度見通し)」(2025年1月20日発表)
https://www.works-i.com/
(調査対象:全国の民間企業8,200社、回収4,283社・回収率52.2%)

[5] 株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」(2024年11月13日発表)
https://www.tdb.co.jp/
(調査対象:全国27,008社、有効回答11,133社・回答率41.2%)

[6] 株式会社マイナビ「2025年7月度 正社員の求人件数・応募数推移レポート」
(マイナビ転職掲載求人を2023年平均値=100%として月次推移を集計)

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