求人票を書く時間が取れない、書いても応募が来ない、そして2022年と2024年の法改正で書かなければならない項目が増えた——この3つが重なり、求人票の作成そのものを外注する企業が増えています。ただし、外注しても職業安定法上の責任は求人を出す企業に残ります。
この記事では、求人票作成代行で任せられる範囲、依頼先5タイプの比較、料金相場5,000円〜30万円の内訳、そして発注前に自社で用意しておくべき5点セットまでを、法令要件とあわせて整理します。
この記事でわかること
- 求人票作成代行で委託できる範囲と、法的責任として自社に残る範囲の切り分け
- 依頼先5タイプ(採用代行・広告代理店・社労士・フリーランス・クラウドソーシング)の比較
- 料金相場の内訳と、見積書のどこを見れば適正か判断できるか
- 2024年4月に追加された明示事項と、求人票でやってはいけない表現
求人票作成代行とは|委託できる範囲と、できない範囲
求人票作成代行とは、求人票・求人原稿の企画から執筆、媒体への入稿までを外部に委託するサービスの総称です。実務上は「原稿を書くだけ」から「取材して書いて媒体に入れて、効果を見て書き直すまで」まで、委託範囲に大きな幅があります。
| 業務 | 外注できるか | 補足 |
|---|---|---|
| 現場ヒアリング・取材 | ○ | 対面/オンラインで実施。1職種60〜90分が目安 |
| 求人原稿の執筆(キャッチ・仕事内容・条件) | ○ | 最も一般的な委託範囲 |
| 競合求人のリサーチ・差別化ポイントの抽出 | ○ | 上位プランに含まれることが多い |
| 媒体への入稿・掲載設定 | ○ | 媒体アカウントの共有が必要 |
| 効果測定と原稿の改善 | ○ | 月額契約でないと成立しにくい |
| 記載する労働条件の決定 | ✕ | 賃金・休日・変更の範囲は自社の意思決定 |
| 記載内容が事実であることの担保 | ✕ | 求人者としての法的責任は自社に残る |
| 社内の合意形成(現場と人事のすり合わせ) | ✕ | ここが決まらないと原稿は書けない |
サービスの提供形態は、大きく3つに分かれます。1つ目が原稿単位の買い切り型で、1本いくらで依頼し、納品されたら終わり。2つ目が月額運用型で、原稿の作成に加えて掲載後の効果測定と改善までを継続的に回します。3つ目が採用業務全体の一部としての委託で、求人票作成は採用代行(RPO)の契約範囲に含まれる一項目という位置づけになります。単発の募集なら1つ目、通年で複数職種を回すなら2つ目か3つ目、という選び方が基本です。
もう1点、発注前に整理しておきたいのが「誰が現場に話を聞くか」です。求人票の情報の8割は、実際にその仕事をしている社員の頭の中にあります。外注先がヒアリングまで行う契約なら現場の予定を押さえる必要がありますし、ヒアリングが含まれない契約なら自社で情報を文書化してから渡すことになります。この工程を誰が担うかで、実質的な自社工数は3倍近く変わります。
【最初に押さえること】
求人票作成代行は「文章を書く作業」の外注であって、「何を書くかを決める責任」の外注ではありません。記載した労働条件が事実と違えば、責任を問われるのは代行業者ではなく求人を出した企業です。この前提を理解しないまま丸投げすると、応募は増えても入社後のトラブルが増えます。
求人票を外注する企業が増えている2つの理由
理由1:求人の「量」が増えている
まず、原稿を書く対象そのものが増えています。パーソルキャリアの「doda転職求人倍率レポート」では、2026年6月の転職求人倍率は2.55倍。求人数は前年同月比16.6%増、転職希望者数は同6.7%増でした[1]。厚生労働省の「一般職業紹介状況」でも、2026年5月の新規求人倍率は2.11倍、有効求人倍率は1.17倍、正社員に限った有効求人倍率は0.99倍となっています[2]。
背景には人手不足があります。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」では、正社員が不足していると回答した企業は52.3%。業種別では建設69.6%、情報サービス69.2%、メンテナンス・警備・検査67.4%と、7業種で6割を超えています[3]。募集職種が増え、媒体も複数使うようになれば、書くべき原稿は職種数×媒体数で増えていきます。
理由2:書かなければならない項目が増えた
もう1つが法令要件の増加です。2022年10月の職業安定法改正で求人情報の的確な表示が義務づけられ、2024年4月には募集時の明示事項が追加されました。詳細は次章で扱いますが、「昔の原稿をコピーして使い回す」運用が通用しなくなったというのがこの数年の変化です。
あわせて、媒体ごとの入稿仕様の違いも負荷になっています。同じ職種でも、A媒体は仕事内容が全角400文字以内、B媒体はキャッチコピーが30文字以内、C媒体は給与の記載方法が指定、といった具合に、文字数と項目構成が媒体ごとに違います。3職種を3媒体に出せば、実質9本の原稿を書き分けることになります。「1本書けば使い回せる」という前提が成立しないことが、外注需要が伸びている実務上の理由です。
求人票に書くべきことは法律で決まっている|明示事項と的確表示義務
外注先を選ぶ前に、そもそも求人票に何を書く義務があるのかを押さえます。ここを知らないまま発注すると、安い見積りに飛びついて法令違反の原稿を掲載することになります。
求人等に関する情報の的確な表示義務(2022年10月〜)
厚生労働省の資料によれば、職業安定法の改正により、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止されています。虚偽の表示の例として「実際の企業と異なる名前で求人を掲載する」「正社員と謳いながら実際はアルバイト・パートである」「実際より高額な賃金を記載する」が挙げられています。誤解を生じさせる表示としては、業務内容について「営業職中心の業務を『事務職』と表示する」など実務と著しく乖離する名称の使用、賃金について「固定残業代の基礎となる労働時間数を明示せずに基本給に含める」「特に高い給与例を全員のものであるかのように例示する」、募集者の名称についてグループ会社の情報を大きく記載して混同させることなどが示されています。あわせて、募集が終了した場合や内容を変更した場合は速やかに求人情報を更新し、情報の時点を明らかにする措置も求められます[4]。
募集時等に明示すべき労働条件(2024年4月に追加)
2024年4月からは、労働者の募集や職業紹介事業者への求人申込みの際に明示しなければならない労働条件が追加されました。追加されたのは「業務内容の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約更新時の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」の3項目です。従来からの明示事項としては、契約期間、試用期間、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働、賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の氏名または名称が挙げられています[5]。
| 区分 | 明示事項 |
|---|---|
| 従来からの明示事項 | 業務内容/契約期間/試用期間/就業場所/就業時間/休憩時間/休日/時間外労働/賃金/加入保険/募集者の氏名または名称/(派遣労働者として雇用する場合はその旨)/受動喫煙防止措置 |
| 2024年4月追加① | 従事すべき業務の変更の範囲 |
| 2024年4月追加② | 就業場所の変更の範囲 |
| 2024年4月追加③ | 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む) |
【実務上の重要ポイント】
求人広告のスペースが足りない場合は「詳細は面談時に説明」と記載できますが、原則として面接など求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります。「掲載しきれないから書かない」で終わらせず、面接前に渡す条件通知書をセットで用意してください。
特に問い合わせが多いのが固定残業代(みなし残業代)の書き方です。求人票に固定残業代を含めた金額だけを大きく出し、その内訳を書かないケースが典型的なNGパターンになります。書き方としては、①基本給の額、②固定残業代の額と、それが何時間分に相当するか、③固定残業時間を超えた場合は別途支給する旨——この3点をセットで記載します。この3点が揃っていない求人票は、応募者から見て時給換算ができず、面接や入社後に条件の認識違いが起きる原因になります。
もう1つ実務で漏れやすいのが、募集終了後の求人情報の取り扱いです。採用が決まった職種の求人が媒体に残ったままになっているケースは珍しくありませんが、これは求人情報を正確・最新の内容に保つ措置に反する状態です。求人票の管理台帳をつくり、掲載開始日・終了予定日・充足状況を1枚で見えるようにしておくと、この漏れは防げます。
求人票でやってはいけない表現|年齢・性別・固定残業代
法令要件と並んで、外注先に必ず共有すべきなのがNG表現です。ライターが良かれと思って書いたキャッチコピーが、そのまま法令違反になることがあります。
労働者の募集・採用にあたっては、原則として年齢を不問としなければなりません。例外は限定的で、定年年齢を上限として期間の定めのない労働契約で募集する場合(1号)、法令により年齢制限が設けられている場合(2号)、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者等を期間の定めのない労働契約で募集する場合(3号イ)、技能・ノウハウの継承の観点から特定職種で特定年齢層に限定する場合(3号ロ)などが定められています[6]。
| NG表現 | なぜNGか | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 20代・30代が活躍中! | 年齢による限定と受け取られる | 入社1〜3年目のメンバーが◯名在籍しています |
| 若手歓迎/若い力を求めています | 同上 | 未経験からの入社が過去3年で◯名 |
| 営業事務(実際は新規開拓が中心) | 業務内容の誤解を生じさせる表示 | 法人営業(既存8割・新規2割) |
| 月給35万円〜(固定残業代45時間分を含む) | 基礎となる労働時間数の明示が不十分 | 月給35万円(基本給26万円+固定残業代9万円/45時間分・超過分は別途支給) |
| 月収80万円可能! | 特に高い例を全員のものとして例示 | 月給28万〜35万円(インセンティブ実績:上位20%で月5万〜) |
| 明るく元気な女性スタッフ活躍中 | 性別を理由とする限定と受け取られる | チームは20〜50代の◯名で構成されています |
| 勤務地:本社(転勤あり) | 変更の範囲の明示として不十分 | 就業場所の変更の範囲:本社および関東圏4拠点 |
性別に関する表現も同様です。男女雇用機会均等法により、募集・採用において性別を理由とする差別は禁止されており、「営業マン」「看護婦」「ウェイトレス」といった性別を想起させる職種名や、「女性が活躍中」「男性歓迎」といった表記は避ける必要があります。職種名は「営業職」「看護師」「ホールスタッフ」のように性別中立な呼称を使い、職場の雰囲気を伝えたい場合は年齢構成や人数など、性別以外の事実で書きます。外注先に渡す発注書には、年齢・性別の両方についてNGである旨を明記してください。
【外注時の必須アクション】
上記のNG一覧を、発注時に外注先へ文書で渡してください。求人広告代理店や採用代行であれば把握していますが、クラウドソーシングの一般ライターは求人特有の法令要件を知らないことが大半です。知らせずに発注して違反表現が載れば、責任を負うのは自社です。
依頼先5タイプ比較|料金・スピード・法対応・成果への関与
求人票作成代行の依頼先は、大きく5つに分けられます。それぞれ得意領域がまったく違うため、「安いところ」で選ぶと目的を外します。
| 依頼先 | 料金の目安 | 法対応 | 強み | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 採用代行(RPO) | 5万〜15万円/職種、月額15万〜60万円 | ◎ | 原稿だけでなく応募後の運用まで一貫 | 継続的に採用があり、運用ごと任せたい |
| 求人広告代理店 | 3万〜10万円/原稿(掲載料と別) | ○ | 媒体特性を熟知。入稿までワンストップ | 特定媒体での掲載が決まっている |
| 社会保険労務士 | 3万〜10万円/件 | ◎ | 労働条件の適法性チェックに強い | 条件設計そのものを見直したい |
| フリーランスライター | 1万〜5万円/原稿 | △ | 文章品質が高く、柔軟に対応 | 原稿の質を上げたいが予算は抑えたい |
| クラウドソーシング | 5,000円〜2万円/原稿 | ✕ | 最安。短納期で数をこなせる | 既存原稿のリライトなど軽微な作業 |
※当社推計/業界相場目安
判断軸は3つです。①法令要件のチェックまで任せたいか、②応募後の運用まで任せたいか、③継続的に改善したいか。3つとも「はい」なら採用代行、①だけなら社労士、②だけなら広告代理店、いずれも不要で文章だけ必要ならフリーランスやクラウドソーシングという整理になります。
それぞれの実務上の注意点も挙げておきます。採用代行は範囲が広いぶん、原稿だけを頼みたい場合は割高になることがあります。求人広告代理店は媒体の販売が主な収益源のため、掲載を伴わない原稿だけの依頼は受けにくいことがあります。社会保険労務士は労働条件の適法性には強い一方、応募を集めるための訴求表現は専門外というケースが多く見られます。フリーランスライターは品質の個人差が大きいため、過去の求人原稿の実績を必ず確認してください。クラウドソーシングは法令要件を発注側が全部指示する前提になります。
なお、個人への発注を検討している場合の論点は採用代行は個人事業主・フリーランスに頼める?で整理しています。
マイナビの「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」では、正社員の質的不足(高スキル人材の不足)を挙げた企業が55.6%で前年比6.7ポイント増、募集要件を満たさない応募者について「採用しないことが多かった」企業が62.1%で前年比7.7ポイント増となりました[7]。求める人材の水準が上がっているぶん、求人票で伝えるべき情報量も増えています。単価の安さだけで選ぶと、要件が伝わらない原稿になりがちです。
求人票作成代行の料金相場|内訳と見積書の見方
料金は「何が含まれているか」で大きく変わります。同じ「5万円」でも中身が違うため、見積書は必ず内訳で比較してください。
| 項目 | 相場の目安 | 含まれない場合のリスク |
|---|---|---|
| 現場ヒアリング(1職種60〜90分) | 1万〜3万円 | 現場実態が反映されず、入社後のミスマッチが発生 |
| 競合求人リサーチ | 1万〜3万円 | 給与レンジが市場とずれたまま掲載される |
| 原稿執筆(キャッチ+仕事内容+条件) | 2万〜8万円 | — |
| 法令チェック(明示事項・NG表現) | 1万〜3万円 | 的確表示義務違反のリスクを自社が負う |
| 媒体入稿・掲載設定 | 5,000円〜2万円 | 自社担当者の作業時間が別途発生 |
| 掲載後の効果測定・改善(月額) | 3万〜10万円/月 | 出しっぱなしになり、改善サイクルが回らない |
※当社推計/業界相場目安
同じ「1職種8万円」でも、A社は原稿執筆のみ、B社はヒアリング+執筆+法令チェック+入稿まで、ということが実際に起こります。B社を選べば自社の作業は現場の予定調整だけで済み、A社を選べばヒアリングと入稿を自社でやることになります。見積金額の比較ではなく、「自社に残る作業時間」を含めた比較をしてください。A社8万円+自社作業6時間と、B社12万円+自社作業1時間なら、担当者の時間単価によっては後者のほうが安く済みます。
見積書で確認すべきポイントは4つです。
- 修正回数の上限:「2回まで」なのか「納得いくまで」なのかで、実質的な単価が変わります
- ヒアリングの有無と時間:ヒアリングなしの原稿は、既存原稿の言い換えに終わりがちです
- 法令チェックの範囲:明示事項の網羅チェックまで含むのか、文章表現だけなのか
- 著作権・二次利用の可否:他媒体への転用や自社サイトへの掲載が可能か
料金体系そのものの全体像は採用代行の月額費用はいくら?料金相場・プラン比較・費用対効果で比較しています。
原稿1本からのご相談も承っています。
発注前に用意する5点セット|ここで品質が決まる
外注した原稿の質は、渡した材料でほぼ決まります。逆に言えば、以下の5点を用意しておけば、どの依頼先に頼んでも一定水準の原稿が上がってきます。所要時間は1職種あたり1〜2時間です。
- 募集要件(必須・歓迎の区分つき):必須は3つ以内に絞ります。「コミュニケーション能力」のような感想ではなく、検証可能な形で書きます。
- 労働条件の確定情報:賃金(内訳つき)、就業場所と変更の範囲、業務内容と変更の範囲、休日、時間外労働の実績、加入保険。ここが未確定だと、法令上の明示事項を満たせません。
- 現場社員2名分のインタビューメモ:1日の流れ、入社1年目に任せる仕事、この仕事の面白さと大変さ。20分ずつのメモで十分です。
- 開示できる数字のリスト:平均残業時間、有給取得率、年間休日、離職率、中途入社比率、平均勤続年数。悪い数字も「改善中の取り組み」とセットにすれば材料になります。
- 競合3社の求人URL:同じ職種・同じエリアで出ている求人を3本。差別化の起点になります。
この5点のうち、最も準備に時間がかかるのが4の「開示できる数字」です。平均残業時間や有給取得率は、勤怠データから集計すれば出せますが、部署ごとにばらつきがあると「どの数字を出すか」という判断が必要になります。おすすめは、募集する職種が所属する部署の実数を出すことです。全社平均を出すと、配属後の実態とずれて入社後の不信につながります。
3の現場インタビューも、外注先に任せられる工程ですが、自社でやるなら聞くことは決まっています。「入社1年目の人が最初の3か月でやることは何ですか」「この仕事で一番難しいのはどこですか」「どんな人だと立ち上がりが早いですか」「逆に、合わなくて辞めた人はどこでつまずきましたか」——この4問を2名に聞けば、原稿の材料としては十分です。
| 用意するもの | 準備の目安時間 | 用意できていない場合に起きること |
|---|---|---|
| 募集要件(必須3つ以内・歓迎) | 30〜60分 | 誰でも当てはまる求人になり、選考の手間が増える |
| 労働条件の確定情報(変更の範囲を含む) | 30〜60分 | 明示事項を満たせず、掲載後に修正が必要になる |
| 現場社員2名のインタビューメモ | 40分(20分×2名) | 仕事内容が抽象的になり、入社後のミスマッチが発生 |
| 開示できる数字のリスト | 30〜60分 | 「アットホームな職場」型の訴求しか書けなくなる |
| 競合3社の求人URL | 15分 | 給与・条件が市場とずれたまま掲載される |
※当社推計/業界相場目安
【よくある失敗】
「うまく書いておいてください」と口頭で伝えるだけの発注は、ほぼ確実に手戻りします。上の5点セットのうち2と4が揃っていない状態で発注すると、原稿は抽象的になり、修正が3往復以上に膨らみます。結果として、自社の工数は減っていません。
発注後の進行についても、最初に決めておくべきことがあります。初稿の提出期限、修正の回数と締切、最終確定日、媒体への掲載開始日——この4つを最初のメールで共有しておくと、掲載が後ろ倒しになる事故を防げます。求人票の作成は、原稿そのものより社内確認で止まることが多く、現場責任者と経営層の確認にそれぞれ2〜3営業日を見込んでスケジュールを引いてください。掲載開始日から逆算すると、発注は3週間前が目安になります※当社推計/業界相場目安。
書き上がった原稿の構成そのものを自社で点検したい場合は、次章の関連記事にあるテンプレートを使ってください。応募が来ない原因を求人票以外まで含めて切り分けたい場合は、求人を出しても応募が来ない理由と対策|最新データで原因と打ち手を整理が参考になります。
自社で書くか、外注するか|判断の目安
最後に、外注すべきかどうかの判断軸を整理します。
| 状況 | おすすめの選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 募集職種1つ、年1回程度 | 自社で作成+社労士に法令チェック | 外注の固定費に見合わない |
| 募集職種3つ以上、複数媒体 | 採用代行または広告代理店 | 職種数×媒体数で工数が跳ね上がる |
| 応募は来るがミスマッチが多い | ヒアリング込みの外注 | 現場実態の言語化が不足している |
| 応募がそもそも来ない | 原稿の前に媒体・条件の見直し | 原稿だけを直しても表示が増えない |
| 法改正対応が不安 | 社労士または採用代行 | 明示事項の網羅チェックが必要 |
| 予算が月5万円未満 | 自社作成+部分外注 | 全面外注は現実的でない |
判断の目安は「年間の求人原稿本数×1本あたりの作成時間」です。1本あたり4〜6時間かかるとして、年12本なら50〜70時間。この時間を担当者が確保できないなら、外注の検討価値があります※当社推計/業界相場目安。
外注を始めるなら、まず1職種だけ試すことをおすすめします。いきなり全職種を委託すると、依頼先との相性やアウトプットの質を見極める前に固定費が発生します。1職種で試して、上がってきた原稿が「現場の言葉になっているか」「法令要件を満たしているか」「競合と差別化できているか」の3点を確認してから、範囲を広げるのが安全です。
逆に、外注しても効果が出にくいケースも押さえておきます。1つ目は、労働条件そのものが市場から大きく外れている場合。原稿の書き方でカバーできる差には限界があり、給与レンジや休日数の見直しが先です。2つ目は、社内で募集要件が固まっていない場合。「とりあえず良い人がいれば」という状態では、どんなライターでも訴求点を絞れません。3つ目は、媒体の露出そのものが足りていない場合で、これは原稿ではなく掲載プランの問題です。外注の前に、この3点に該当していないかを確認してください。
よくある質問
Q1. 求人票作成代行に頼めば、法令違反のリスクはなくなりますか。
なくなりません。求人を出す企業(求人者)としての責任は自社に残ります。的確表示義務や明示事項は求人者に課される義務であり、原稿を書いたのが外部であっても、掲載内容が事実と異なれば責任を問われるのは求人企業です。外注先に法令チェックを含めてもらうことはリスク低減になりますが、最終確認は必ず自社で行ってください。具体的には、掲載前に「記載した賃金・休日・就業場所とその変更の範囲が、実際の労働契約と一致しているか」を人事と現場責任者の2名でチェックする運用にしておくと安全です。
Q2. クラウドソーシングで1本5,000円の原稿と、採用代行で1本10万円の原稿は何が違いますか。
含まれる工程が違います。5,000円の原稿は、渡した情報を文章に整える作業が中心です。10万円の原稿には通常、現場ヒアリング、競合リサーチ、法令チェック、媒体入稿、掲載後の改善が含まれます。どちらが正しいという話ではなく、自社で用意できる材料が揃っているなら安価な選択肢で足り、材料づくりから任せたいなら高い方が結果的に安く済みます。判断の目安は、社内に「現場の言葉で書かれた仕事内容のメモ」と「開示できる数字」が揃っているかどうかです。この2つがあれば、安価な依頼先でも十分な原稿が上がってきます。
Q3. 2024年4月の法改正で、既存の求人票は書き直しが必要ですか。
新たに募集を行う場合は、追加された明示事項(業務内容の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期契約更新の基準)を記載する必要があります。過去に掲載した原稿を再利用する場合も同様です。あわせて、募集が終了した求人情報は速やかに更新することも求められていますので、掲載中の求人の棚卸しをおすすめします。自社の採用サイトに掲載している募集要項も対象になりますので、媒体だけでなく自社サイトも点検してください。
Q4. ハローワークの求人票も外注できますか。
求人申込書の記載内容の作成支援という形で対応している事業者があります。ただしハローワークの求人票は入力項目が定型化されており、民間媒体の原稿ほど表現の自由度がありません。限られた文字数の中で仕事内容と条件をどう書くかが勝負になるため、ハローワーク経由の実績がある依頼先を選ぶことをおすすめします※当社推計/業界相場目安。
Q5. 原稿を外注したのに応募が増えませんでした。原因は何が考えられますか。
原稿以外の要因が3つ考えられます。1つ目は媒体のミスマッチで、そもそも表示回数が足りていないケース。2つ目は条件面で、給与レンジが市場水準と乖離しているケース。3つ目は応募フォームで、入力項目が多く応募途中で離脱しているケースです。原稿を直す前に、媒体の管理画面で「表示回数」「クリック率」「応募完了率」を確認し、どこで落ちているかを特定してください。表示回数が伸びていないなら媒体・掲載プランの問題、クリック率が低いならタイトルと給与表記の問題、応募完了率が低いならフォームの問題です。原稿本文を書き直して効果が出るのは、詳細ページは読まれているのに応募に至らない場合に限られます。
関連する公開記事
求人票の作成でお困りなら、おまかせ採用にご相談ください
求人票の作成は、文章力の問題に見えて、実際には「現場の実態を引き出す」「開示できる数字を揃える」「法令要件を満たす」という3つの作業の集合体です。時間がかかるのは書く工程ではなく、その前の材料集めのほうです。
おまかせ採用では、現場ヒアリングから競合リサーチ、原稿執筆、明示事項のチェック、媒体入稿、掲載後の改善まで、必要な範囲だけを切り出してご支援可能です。1職種の原稿1本からのご相談も、複数職種を通年で回すご相談も承っています。専任の採用担当がいない企業様、他業務と兼任されている企業様のご相談を多くいただいています。まずは現在の求人票をお送りください。
参考資料
- パーソルキャリア株式会社「doda転職求人倍率レポート(2026年6月)」2026年
https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/(最終閲覧:2026年8月14日) - 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」2026年
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html(最終閲覧:2026年8月14日) - 株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」2026年
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260220-laborshortage202601/(最終閲覧:2026年8月14日) - 厚生労働省「職業安定法が改正され、労働者の募集を行う際のルールが変わります(令和4年10月1日施行)」2022年
https://www.mhlw.go.jp/content/001250189.pdf(最終閲覧:2026年8月14日) - 厚生労働省「2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、明示しなければならない労働条件が追加されます」2024年
https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf(最終閲覧:2026年8月14日) - 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?-年齢にかかわりなく、均等な機会を-」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000158624.pdf(最終閲覧:2026年8月14日) - 株式会社マイナビ キャリアリサーチLab「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」2026年
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260327_109053/(最終閲覧:2026年8月14日)
