採用代行のデメリットと回避策|委託前チェック12項目

「採用代行を入れたのに応募の質が変わらなかった」「思っていたより費用がかさんだ」——採用代行のデメリットとして語られる話は、たいていこの2つに集約されます。ただ、同じサービスを使っても、うまくいく会社とそうでない会社がはっきり分かれます。分岐点は代行会社の良し悪しだけではありません。契約書に判を押す前に、発注する側の会社が何を用意していたかでほとんど決まります。応募が来ない、面接する時間がない、採用単価が高すぎる。こうした悩みを抱えたまま「とりあえず外に出す」と、デメリットのほうが先に出ます。

この記事では、採用担当者・経営者が委託前に社内で決めておくべき12項目と、業者を比べる10の基準を実務ベースで整理します。

この記事でわかること

  • 採用代行のデメリットが出る会社と出ない会社を分けている、委託前の準備の差
  • 中小企業が業者を比べるときの選定基準10項目と、確認する具体的な質問
  • 契約前に自社で用意しておく委託前チェック12項目(資料・決定事項・体制)
  • 採用代行の失敗を招く社内側の罠6つと、規模・費用・「何が残るか」で選ぶ判断軸

採用代行のデメリットは「委託前の準備」でほとんど決まる

先に、この記事が扱わない範囲をはっきりさせておきます。

費用が割高になる、ノウハウが蓄積されにくい、認識のズレが起きる、候補者対応の質が落ちる、情報漏えいのリスク、丸投げによる当事者意識の低下、法対応の責任所在が曖昧になる——採用代行のデメリット7つとその回避策は、採用代行のデメリット7つ|回避策と委託前チェックリストで1つずつ解説しています。また、目的が曖昧なまま発注する、要件の認識齟齬、丸投げ、撤退戦略がないといった失敗パターン7つは、採用代行で失敗する7つのパターン|契約前に確認する防止策にまとめています。デメリットそのものを知りたい方は、先にこの2本をご覧ください。

この記事が扱うのは、そこから一段実務に降りた話です。発注する側の会社が、契約前に社内で何を用意しておくか。 ここが揃っている会社では、上記のデメリットはほとんど顕在化しません。逆に、ここが空白のまま契約すると、代行会社がどれだけ優秀でも同じ場所で止まります。

理由は単純で、採用代行は「自社の代わりに採用活動を行う」サービスであり、判断の材料は自社側にしかないからです。どんな人を採りたいのか、いくらまで出せるのか、誰が面接するのか。この3つが決まっていない状態で外注すると、代行会社は動き出せず、最初の1〜2か月がヒアリングだけで消えます。月額固定の契約であれば、その期間の費用はそのまま発生します。これが「費用が割高になった」と感じる最も多い原因です。

もう1つ、準備不足が費用に跳ね返る経路があります。要件が固まらないまま母集団形成だけが先に進むケースです。ターゲットが曖昧なままスカウトを送り始めると、応募は集まるものの「会いたい人がいない」状態になります。書類選考と一次面接の工数だけが増え、内定に至らない。この状態は数字上「応募が増えた」ように見えるため、3〜4か月経ってから初めて問題が発覚します。契約期間の半分以上が過ぎてからの軌道修正は、残り期間で取り返すのが難しくなります。

逆に言えば、委託前に要件・数字・体制の3点が揃っている会社は、稼働1か月目から母集団形成と改善のサイクルに入れます。同じ月額を払っていても、実質的に使える期間が1〜2か月分違ってきます。「準備は代行会社がやってくれる」と考えるほど、費用対効果は下がるという構造です。

市場環境も、準備不足を許してくれる状況ではありません。厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2026年5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.17倍[1]。リクルートワークス研究所の中途採用実態調査では、中途採用の未充足率は57.8%と報告されています[2]。半数以上の企業が計画どおりに採れていない前提で、準備の抜けはそのまま結果に出ます。

そもそも自社に採用代行が合うか(前提確認)

準備の前に、そもそも代行という手段が合っているかを確認します。次の5つのうち3つ以上に当てはまるなら、採用代行の適性があります。

  • 採用の実務を担当する専任者がいない、または1人で他業務と兼務している
  • 人材紹介の成功報酬(年収の35%〜100%)が予算を圧迫している
  • 求人広告を出しているが、掲載課金だけが発生して採用に至っていない
  • 採用コンサルに依頼したが、提案書は出たものの実行が止まっている
  • 複数の職種を並行して採用する必要がある

逆に、社内に採用の専任チームがあり、要件も媒体も固まっていて、単に手が足りないだけであれば、業務範囲を絞ったスポット委託のほうが費用対効果は高くなります。人材紹介・求人広告・採用コンサルとの構造的な違いは、費用の出方(成功報酬/掲載課金/顧問料)と、契約が終わったときに何が残るかで分かれます。※一般的な例です(当社調べ)。実際の条件は各社・各契約によって異なります。

中小企業が業者を比べる選定基準10項目

適性を確認したら、次は業者の比較です。中小企業が見るべき基準は10項目に整理できます。

表①:採用代行の選定基準10項目

#選定基準業者に確認することおまかせ採用の場合
1現場理解社員インタビューや職場見学を行うか。何名に、何を聞くか社員インタビュー・1日職場体験を実施
2定着フォロー内定後・入社後に何をするか。誰が担当するか内定者フォロー+入社後にキャリアコンサルタント面談
3最小ロット1名の採用でも受けるか。新卒・中途で条件が変わるか1名から・新卒中途問わず
4課金方式月額固定か成功報酬か。採用時の手数料はあるか月額固定30/50/80万円、採用時手数料なし
5業務範囲採用設計・実行・内定後のどこまでか。○×で回答できるか3フェーズ18業務
6開始スピード契約から稼働開始まで何営業日か最短5営業日
7内製化支援契約終了後に何が残るか。引き渡し資料の一覧はあるか推奨6か月で内製化、ノウハウとデータが残る
8無料チャネルの開拓有料媒体以外の母集団形成を行うか。実績はあるか職業訓練校42校・自治体支援・リファラルで入社の4割超が採用費0円
9数値分析と改善提案定例で数字を見て施策を変えるか。頻度と指標は定例MTG・数日単位のABテスト・改善施策の提案
10法対応職業安定法・労働条件明示(2024年4月改正)にどう対応するか有料職業紹介事業許可あり(13-ユ-311843)

※一般的な例です(当社調べ)。実際の条件は各社・各契約によって異なります。他社の欄を作る場合も一般的な例として扱ってください。

10項目のうち、中小企業でとくに差が出るのは3・7・8です。3の最小ロットは、1名採用だと受けてもらえない、あるいは実質的に優先度が下がるケースがあります。7の内製化支援は、代行を使い続けるのか、いずれ自社で回すのかという方針そのものに関わります。8の無料チャネルは、有料媒体しか扱わない会社だと選択肢が媒体費の増減しかなくなります。

残りの項目も、聞き方を具体的にしておくと差が出ます。

1の現場理解は、「ヒアリングします」という回答だけでは足りません。誰に、何名に、どのくらいの時間をかけて聞くのかまで確認します。求人票に書く「魅力」は、経営者の言葉より現場社員の言葉のほうが候補者に届くことが多く、ここに手間をかける会社とかけない会社では文面の質が変わります。

2の定着フォローは、内定を出したあとの話です。内定辞退や早期離職が起きている会社では、母集団を増やすより先にここを見たほうが効きます。誰が、どのタイミングで、何を話すのかを確認してください。

5の業務範囲は、○×で答えられるかどうかが判断材料になります。「一式お任せください」と返ってくる場合、実際の分担は稼働後に決まることになり、抜けた業務が現場に落ちます。

6の開始スピードは、欠員補充など時間の制約がある場合に効きます。契約から稼働まで1か月かかる会社と5営業日で動く会社では、採用の着地が1か月ずれます。

9の数値分析は、頻度と指標をセットで聞きます。月1回の報告書だけの会社と、定例で数字を見ながら数日単位で文面や条件を変える会社では、3か月後の状態が変わります。

【確認のしかた】 10項目をそのまま質問リストにして、3社に同じ順番で聞く。回答を社名を伏せた3列の表に並べると、金額以外の差がはっきり出ます。回答が曖昧な項目は、実際には対応していないと考えて構いません。

委託前チェック12項目|自社で用意しておくこと

ここからが本題です。代行会社を決める前に、自社側で揃えておく12項目を挙げます。すべてを完璧に用意する必要はありませんが、1〜5が空白のまま契約すると、最初の1〜2か月が丸ごとヒアリング期間になります。

  1. 採用人数と時期を数字で確定する:「営業を数名」ではなく「営業2名を12月までに、経理1名を来年3月までに」まで落とす
  2. 職種ごとの年収レンジと決裁権限を決める:どこまで出せるのか、誰が最終判断するのかを先に決める。ここが未決だと内定を出す段階で必ず止まる
  3. 現在の採用の数字を1枚にまとめる:応募数・書類通過数・面接数・内定数・入社数を直近1年分。数字がなければ「取っていない」と正直に共有する
  4. 過去に使った媒体と費用の一覧を出す:媒体名・掲載期間・費用・そこからの入社人数。これがあると媒体選定が1か月早まる
  5. 既存の求人票とスカウト文の現物を集める:改善の出発点になる。過去に反応が良かったもの・悪かったものが分かれば添える
  6. 社員インタビューに出せる社員を3〜7名確保する:現場の言葉がペルソナ設計の材料になる。中途入社者を含めるのが有効
  7. 面接官と面接可能な曜日・時間帯を確定する:候補者が出てきてから調整すると、日程確定までの日数がそのまま辞退率になる
  8. 一次返信の目標時間を社内で決める:24時間以内など。代行会社に委託する場合も、社内で判断が必要な質問は必ず発生する
  9. 代行会社に渡す権限の範囲を決める:媒体の管理画面、採用管理システム、共有ドライブ。どのアカウントをどこまで開けるか
  10. 候補者の個人情報の取り扱いルールを決める:委託先の監督は委託元の義務です[6]。共有方法・保管場所・契約終了時の削除まで決めておく
  11. 社内の窓口担当を1人決める:連絡先が複数あると認識のズレが起きます。決裁ラインも合わせて明確にする
  12. 契約終了時に受け取る成果物を先に列挙する:ペルソナ・スカウト文面・チャネル別データ・面接評価基準・KPIシート。契約前に書面へ入れる

いくつか補足します。

1と2は必ずセットで決めてください。 人数と時期だけ決めて年収レンジを保留にすると、候補者が出てきた段階で「この年収では出せない」となり、それまでの工数が無駄になります。決裁権限も同じで、最終判断を誰がするのかが不明確な会社では、内定通知が1週間以上遅れ、その間に他社へ決まってしまうことが起こります。

3の数字は、完璧でなくて構いません。 応募数と入社数の2つだけでも、書類通過率や面接通過率のどこが詰まっているのかを推定できます。むしろ危険なのは、数字がないことを隠して「だいたいこのくらいです」と感覚で伝えてしまうことです。推定値をもとに設計すると、原因の特定を1周分やり直すことになります。

4の媒体費用の一覧は、翌年の予算の根拠にもなります。どの媒体にいくら使い、そこから何人が入社したのか。この一覧があると、「去年と同じ媒体で」という判断を避けられます。

6の社員インタビューは、中途入社者を含めるのが有効です。入社を決めた理由、入社前に不安だったこと、入ってみて意外だったこと。この3つは、そのまま求人票とスカウト文の材料になります。実際に中途入社7名へのインタビューからペルソナを設計した支援先もあります。

7の面接枠は、見落とされやすい項目です。候補者が出てきてから面接官の予定を押さえに行くと、日程確定までに1週間かかることがあります。その1週間で他社の選考が進み、辞退につながります。あらかじめ「毎週火・木の15〜18時」のように枠を確保しておくだけで、歩留まりが変わります。

9〜10の権限と個人情報は、管理部門を巻き込んでおくとスムーズです。あとから「そのアカウントは外部に開けない」となると、代行会社が動けない期間が発生します。

表②:12項目の準備の目安

準備項目担当所要の目安用意しないと起きること
1〜2(人数・時期・年収レンジ・決裁)経営者・部門長打合せ1回要件が固まらず、稼働開始が1か月遅れる
3〜5(数字・媒体費用・求人票の現物)採用担当2〜3時間前と同じ媒体・同じ文面で再スタートしてしまう
6〜7(社員インタビュー・面接枠)部門長・現場各30分×人数分ペルソナが主観になり、面接日程が伸びる
8〜9(返信目標・権限範囲)採用担当30分候補者対応のスピードが落ち、辞退が増える
10(個人情報の取り扱い)管理部門1時間委託先の監督が形骸化し、責任の所在が曖昧になる
11〜12(窓口・成果物の列挙)採用担当・経営者30分連絡が二重化し、契約終了時に何も残らない

※当社推計/業界相場目安

【最低ライン】 時間が取れない場合でも、1・2・12の3つだけは契約前に決めてください。採用人数と時期、年収レンジと決裁権限、契約終了時に受け取る成果物。この3つが決まっていれば、残りは稼働開始後に代行会社と一緒に埋められます。

なお、契約書に何を書くかという観点は、業務範囲・成果物の帰属・撤退条件などを含めて別記事で整理しています。この12項目は「契約書に書く前に社内で決めること」だとお考えください。

会社の規模で選ぶ|大手RPOと中小特化の違い

準備が揃ったら、どのタイプの会社に依頼するかを決めます。大きくは大手RPOと中小企業特化型に分かれます。

表③:大手RPOと中小特化型の比較

大手RPO中小企業特化型
得意な規模年間数十名〜数百名の大量採用年間数名〜十数名
最小ロット一定人数以上を前提とすることが多い1名から受けるところがある
体制分業制でチーム対応少人数で一貫対応
現場理解標準化されたヒアリング社員インタビュー・職場見学まで踏み込む場合がある
費用規模に応じた設計月額固定10万〜80万円程度
起きやすいこと標準プロセスに自社を合わせる必要が出る大量採用には体制が追いつかない場合がある

※一般的な例です(当社調べ)。実際の条件は各社・各契約によって異なります。

判断の軸は「自社の採用がどのくらい標準化できるか」です。同じ職種を毎年まとまった人数採る会社であれば、標準化されたプロセスに乗ることでスピードとコストの両方が改善します。一方、職種がばらばらで人数も年によって変わる中小企業では、標準プロセスに合わせること自体がコストになります。

もう1つの軸は担当者の顔が見えるかどうかです。分業制のチーム対応は、担当者が変わっても品質が保たれるという利点がありますが、自社の事業や現場の空気をどこまで理解してもらえるかは体制次第です。少人数の一貫対応は、その逆の性質を持ちます。委託前チェック12項目の11で社内の窓口を1人に決めるのは、相手側の体制がどちらであっても、認識のズレを最小にするためです。

従業員300名以下の会社が大手RPOを選ぶと、標準化されたプロセスに自社を合わせる形になり、「1名だけ、この職種だけ」という調整が効きにくくなることがあります。規模別のサービス比較は中小企業向け採用代行おすすめ5選|300名以下の費用比較表にまとめています。

費用で比べる|月額固定と成果報酬の総額

費用の比較は、月額だけを並べても意味がありません。採用人数まで含めた総額で比べます。

おまかせ採用は月額固定で、ライト30万円/月(〜30時間)、スタンダード50万円/月(40〜50時間)、プレミアム80万円/月(60時間以上)の3プラン、採用時の手数料はありません。契約期間は推奨6か月、稼働開始は初回打ち合わせから最短5営業日、最小ロットは1名からです。※2026年8月時点の料金

表④:総額の試算例

採用人数月額固定(月30万円×6か月)人材紹介(1名150万円で試算)
1名180万円150万円人材紹介が30万円安い
2名180万円300万円採用代行が120万円安い
3名180万円450万円採用代行が270万円安い

※試算例です。人材紹介の手数料は年収500万円×30%=1名150万円として計算しています。実際の条件は各社・各契約によって異なります。

この試算から見えるのは、1名だけなら差はつきにくく、2名以上で月額固定が効いてくるという構造です。ただし単年の金額だけで判断すると見落としが出ます。人材紹介は候補者を紹介してもらう仕組みなので、プロセス自体は社内に残らず、翌年も同じ費用が発生します。一方で月額固定の代行に内製化支援が含まれていれば、翌年の費用構造そのものが変わる可能性があります。比べるのは今年の総額ではなく、2年分の総額と「翌年に何が残っているか」です。

費用を見るときにもう1つ確認したいのが、稼働時間の考え方です。月額固定でも、月30時間・50時間・60時間以上といった目安が設定されているのが一般的です。複数職種を同時に進めると稼働時間は当然増えるため、委託前チェック12項目の1で決めた採用人数と職種数を伝えたうえで、どのプランが適切かを提案してもらうのが確実です。

見積りの段階で確認すべきは次の4点です。①月額に含まれる稼働時間の上限、②上限を超えたときの追加費用、③採用時の手数料の有無、④途中で職種を追加・変更したときの扱い。この4点が書面にない見積りは、総額が後から動きます。 委託前チェック12項目の1(採用人数と時期)が決まっていれば、この4点も具体的に聞けます。

「契約が終わったとき何が残るか」で選ぶ

選定基準10項目の7番、委託前チェック12項目の12番に共通するのが、引き渡し物の観点です。ここは提案書に書かれないことが多く、比較から抜け落ちます。

残すべきものは5つです。

  1. 採用ペルソナと要件定義:条件だけでなく、なぜその条件か、どこを妥協できるかまで
  2. スカウト文面と求人票の型:どの表現に反応があったかの記録つき
  3. チャネル別の実績データ:媒体・訓練校・自治体・リファラルの応募数と単価
  4. 面接の評価基準:面接官が変わっても判断がぶれない基準
  5. KPIと改善の型:どの数字を見て、何を変えたか

それぞれ、残る形が具体的にあります。採用ペルソナは、条件の羅列ではなく「なぜその条件なのか」まで書かれていることが重要です。次に募集をかけるとき、市場環境が変われば条件は動かす必要がありますが、理由が書いてあれば何を動かせるかが分かります。スカウト文面と求人票は、反応の記録つきで残ると価値が跳ね上がります。どの件名で開封率が上がったのか、どの一文で返信が増えたのか。記録があれば担当者が変わっても再現できます。

チャネル別の実績データは翌年の予算の根拠に、面接の評価基準は面接官が複数いる会社での判断のばらつき対策になります。基準が言語化されていないと、面接官ごとに合否が割れ、その一貫性のなさは候補者側にも伝わります。KPIと改善の型は、応募数だけを追うのか有効応募数を追うのかで打ち手がまったく変わるため、どの数字を見て何を変えたかの記録が効きます。

この5つが残らない契約は、終わった瞬間に元の状態へ戻ります。おまかせ採用が推奨6か月という期間を置いているのは、この5つを社内へ移すためです。採用ノウハウとデータが会社の財産として残る伴走型を方針にしており、弊社の採用代行は契約継続率100%(2026年8月時点)です。あくまで「継続率」であり、採用の結果を保証するものではありません。

無料チャネルの開拓も引き渡し物に含まれます。電話・訪問・公共事業への参加で提携職業訓練校を2校→42校に広げ、無料で25応募を得ました。支援先全体では、入社の4割超が採用費0円のチャネル(無料媒体・自治体支援・リファラル)からです。※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。

自治体の支援も同じで、東京都の場合は東京しごとセンターなどが中小企業向けの採用支援を行っています[7]。こうしたルートを提案に含めるかどうかは会社によって差があります。

失敗を招く社内側の罠6つから逆算する

委託前の準備が抜ける背景には、採用担当が陥りやすい思い込みがあります。よくある6つを、原因と結果の形で挙げます。

  1. 複数の求人広告を出せば集まるはず:出稿数を増やしても、応募がないままコストだけが積み上がる
  2. 媒体の高いプランに変更すれば増えるはず:採用人数は変わらず、媒体費だけが跳ね上がる
  3. 求人票は自社の言いたいことを書けばいい:候補者が知りたい情報が抜け、エントリーされない
  4. 例年どおりの採用でいい:市場の変化に合わず、応募が止まる
  5. 人材紹介に丸投げすれば採れる:紹介が来ない、あるいはスクリーニング工数だけが残る
  6. 採用ツールを契約すれば効率化する:使いこなせず、費用対効果が合わない

【逆算のしかた】 6つのうち自社に当てはまるものにチェックを入れ、その原因が「量」なのか「設計」なのかを分ける。1・2・6は量の問題に見えて設計の問題であることが多く、委託前チェック12項目の3〜5(数字・媒体費用・求人票の現物)を揃えると原因が特定できます。

これを裏返すと、採用戦略の考え方は3本柱になります。①ターゲット理解の徹底(人物像の定義/出会える場・媒体/響く求人広告)、②徹底した自社理解(候補者視点とのギャップ/埋もれた魅力の発掘/競合との差別化)、③採用活動の数値化(チャネル効果の検証/ボトルネックの修正/問題の未然防止)。委託前チェック12項目のうち、1〜2が③、3〜5が③、6が②、7〜9が①と③の準備にあたります。

6つのうち、中小企業でとくに多いのが1と3です。1は「露出を増やせば母数が増える」という発想ですが、求める人物像に届いていない媒体を増やしても、増えるのは費用だけです。3は、求人票を会社案内の延長で書いてしまうケースです。事業内容と理念が並んでいて、勤務地の詳細・想定年収・入社後1年でやること・チームの人数といった、候補者が応募を決めるために必要な情報が入っていない。この2つは、委託前チェック12項目の4(媒体費用の一覧)と5(求人票の現物)を出すと、その場で判別できます。

5の「人材紹介に丸投げ」も、構造としては採用代行の丸投げと同じです。要件が固まっていなければ、紹介会社も誰を出せばよいか判断できません。外部に出す先が変わっても、要件を決めるのは自社という点は変わりません。

法対応も社内側で押さえる範囲があります。有料職業紹介にあたる行為には職業安定法上の許可が必要で[4]、代行会社の許可番号は厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます[5]。また2024年4月から労働条件明示のルールが変わり、就業場所・業務の「変更の範囲」の明示などが追加されています[3]。求人票と労働条件通知書の記載を誰がチェックするのかを、委託範囲の中で決めておいてください。

委託前の準備をした会社で何が変わったか

実際に、要件整理から社員インタビュー、面接体制の確定まで踏んでから支援に入った3社の変化です。

表⑤:Before/After事例3社

企業BeforeAfter準備・打ち手
インフラ系SES会社(従業員8名・創業以来初の採用)職業訓練校3校/エージェント以外の応募0件/説明会は年1回訓練校19校/エージェント以外の応募13件(4か月)/説明会は4か月で7回・80名に直接アプローチ採用費をかけられないという前提を先に共有。訓練校・公共事業をリサーチして説明会枠を獲得(採用費0円)。資料と話し方を助言し内製化しながら代行で回数を担保
飲食店WEB集客コンサルティング会社(従業員21名・人事チーム0から)採用単価 約120万円/有効応募15件/外注スカウトの応募0採用単価 約40万円/有効応募106件/エージェント以外から10名採用中途入社7名に社員インタビューを実施してペルソナを設定。求人票と媒体別ABテスト。東京都の支援サービスで無料採用・媒体費用の交渉。カジュアル面談も代行
AI開発企業(従業員19名・創業3期目・採用が初めて)スカウトを送っても返信がない/面接に割く時間がない返信率14.0%・開封率49.1%/運用1か月で27名応募/カジュアル面談20件を代行面接体制がないことを前提に、国家資格キャリアコンサルタントが面接をレクチャー。面談を代行して熱が冷める前に会える体制へ

※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。

3社に共通するのは、「うちにはこれがない」を最初に開示していたことです。1社目は採用予算、2社目は人事機能、3社目は面接の経験。ないものを隠さずに共有したため、そこを埋める設計から入れました。委託前チェック12項目の3で「数字を取っていない」と正直に共有してくださいと書いたのは、この理由からです。

なお2社目では、Re就活のスカウトメールで開封率30.6%→60.7%、応募27件増という変化がありました。文面改善そのものによる代表的な数字としては、スカウト開封率3.6%→40.7%(約11倍)という例もあります。いずれも送信量ではなく、ターゲットと文面を組み替えた結果です。

よくある質問

Q1. 採用代行のデメリットは、契約前の準備だけで本当に防げますか?

すべてではありませんが、大きく減らせます。とくに「費用が割高になった」「認識のズレが起きた」は、採用人数・時期・年収レンジ・決裁権限が未決のまま契約したことが原因であることが多く、ここは自社側で先に決められます。デメリットの類型そのものは関連記事で整理しています。

Q2. 委託前チェック12項目のうち、最低限どれを用意すればいいですか?

1(採用人数と時期)、2(年収レンジと決裁権限)、12(契約終了時に受け取る成果物)の3つです。この3つが決まっていれば、残りは稼働開始後に代行会社と一緒に埋めていけます。

Q3. 採用の数字を取っていないのですが、依頼できますか?

依頼できます。数字がない場合は「取っていない」と共有していただくほうが、現状分析のヒアリングから設計を組めます。実際に、人事機能がゼロの状態から採用体制を作った支援先もあります。

Q4. 1名だけの採用でも受けてもらえますか?

おまかせ採用は1名から、新卒・中途問わず対応しています。初回打ち合わせから最短5営業日で稼働を開始できます(2026年8月時点)。

Q5. 契約が終わったあと、自社で採用を回せるようになりますか?

そこを前提に設計しています。推奨6か月の期間中に、採用ペルソナ・スカウト文面・チャネル別データ・面接評価基準・KPIを社内に残す進め方をとっています。契約前に、引き渡し物の一覧を書面へ入れておくことをおすすめします。

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参考資料

  1. 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html
  2. リクルートワークス研究所「中途採用実態調査」 https://www.works-i.com/research/works-report/item/241128_midcareer.pdf
  3. 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 https://muki.mhlw.go.jp/rule.html
  4. e-Gov法令検索「職業安定法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
  5. 厚生労働省「人材サービス総合サイト」 https://jinzai.mhlw.go.jp/
  6. 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
  7. 東京しごとセンター https://www.tokyoshigoto.jp/
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