リファラル採用は、いまや中小企業の48.3%が導入している手法です。そして定着率が最も高い採用方法として選ばれた割合でも、リファラルは18.5%で1位でした。媒体費がかからず、定着率も高い。中小企業にとってこれ以上ない手法に見えます。しかし実際には、社員の73.6%が「紹介したことがない」というデータもあり、制度を作っただけでは動きません。さらに紹介インセンティブの設計を誤ると、職業安定法に抵触するおそれもあります。
本記事では、公開データをもとにリファラル採用の実態を押さえたうえで、社員が動く制度の作り方6ステップ、インセンティブの法務、そして「紹介されたが不採用」という最も気まずい局面の扱い方までを整理します。
この記事でわかること
- 中小企業の実態:導入率48.3%、定着率1位。ただしインセンティブは「報酬なし」が40.9%という現実
- 社員が動かない理由:紹介経験がない人が73.6%。その最大の理由と、制度側で潰せる部分
- インセンティブの法務:職業安定法40条と就業規則への記載。金額の相場と決め方
- 制度化6ステップ:中小企業が2週間で立ち上げるための手順と、社員に渡す3点セット
1. 中小企業でリファラル採用が広がっている理由
人手不足は続き、媒体費だけが上がっている
まず前提を押さえます。帝国データバンクの調査では、2026年7月時点で正社員の不足を感じている企業は51.3%、非正社員では28.8%でした[1]。全国1万518社の有効回答にもとづく数字です。中小企業に絞った調査でも、東京商工会議所の「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」では人手が「不足している」と答えた企業が65.6%にのぼり、建設業78.9%、運輸業77.3%、介護・看護業76.9%と、現場職ほど深刻でした[2]。
一方で、媒体費や人材紹介費を無制限に増やせる中小企業はほとんどありません。費用をかけずに、しかも辞めにくい人を採る手段として、社員の人脈を使うリファラル採用に関心が集まるのは自然な流れです。
導入率は中小企業でも半数近い
東京商工リサーチが2026年6月に6,475社を対象に行った調査によると、リファラル採用の導入率は次のとおりでした[3]。
| 企業規模 | リファラル採用の導入率 | 内訳 |
|---|---|---|
| 大企業 | 60.4% | 両方導入34.4%+リファラルのみ26.0% |
| 中小企業 | 48.3% | 両方導入26.4%+リファラルのみ21.9% |
| 全体 | 49.2% | - |
出典:東京商工リサーチ「2026年6月 企業の『採用』に関するアンケート調査」(有効回答6,475社)。
中小企業でもすでに半数近くが導入しているという水準です。「まだ珍しい手法」という認識は、すでに実態と合っていません。
定着率では、リファラルが最上位
同じ調査で「定着率が最も高い採用方法」を聞いた結果は、次のとおりです。
| 採用方法 | 定着率が最も高いと回答した割合 |
|---|---|
| リファラル採用 | 18.5% |
| ハローワーク(中途採用) | 12.1% |
| 新卒採用 | 10.4% |
| 転職エージェント | 5.4% |
リファラルが転職エージェント経由の約3.4倍という結果です。理由は明快で、入社前に社員から実態を聞いているぶん、入社後のギャップが小さいためです。
さらに同調査では、新卒の定着率が「最も高い」と答えた企業は大企業で26.5%、中小企業では9.1%と約3倍の差がついていました。中小企業ほど新卒の定着に苦戦しており、その分リファラルの相対的な価値が高いという構図が読み取れます。
【ここだけ押さえる】
リファラル採用は「費用が安い手法」ではなく、「辞めにくい人が採れる手法」として評価すべきです。採用単価の削減だけを目的にすると、紹介が集まらなかった時点で制度が止まります。定着率という成果で語れば、経営層の合意も取りやすくなります。
「縁故採用」との違いは、基準と手続きにある
中小企業でリファラル採用を提案すると、「うちは昔からコネ入社があるから同じでは」という反応が返ってくることがあります。両者は似て非なるものです。
| 項目 | 縁故採用 | リファラル採用 |
|---|---|---|
| 紹介できる人 | 経営者・役員など一部 | 全社員 |
| 選考 | 省略されることがある | 通常の応募と同じ基準で実施 |
| 基準 | 明文化されていない | 求める要件が言語化されている |
| 謝礼 | なし、または個別対応 | 賃金規程に基づく紹介手当 |
| 不採用 | 気まずさが残りやすい | ルールを事前に公表して回避する |
違いは「基準があるか」と「手続きが決まっているか」の2点です。選考を省略して受け入れると、実力とポジションが合わずに早期離職につながり、周囲の社員の納得感も損なわれます。リファラル採用の定着率が高いのは、選考を通しているからこそです。この線引きを最初に社内で共有しておくと、制度が「コネ入社の追認」に流れるのを防げます。
2. なぜ社員は紹介してくれないのか
制度を作っても紹介が出てこない。これはほぼすべての企業が通る壁です。
doda人事ジャーナルが20代・30代の転職サイト会員288名に行った調査(2019年12月実施)では、リファラルで知人を紹介したことがある人は26.4%にとどまり、73.6%が「紹介したことがない」と回答していました[4]。
紹介しない理由は、制度で潰せるものと潰せないものがある
同調査で挙がった「紹介したくない理由」は次のとおりです。
| 理由 | 割合 | 制度で解決できるか |
|---|---|---|
| 自分の会社をあまりオススメできない | 23.1% | ×(職場環境そのものの課題) |
| 制度がない | 16.5% | ◎(制度を作れば解消) |
| 合いそうな知人が思いつかない | 16.0% | ○(求人の要件を伝えれば思い出せる) |
| 知人の仕事状況を知らない | 16.0% | ○(きっかけを作れば会話が生まれる) |
紹介時の懸念としては、「会社をオススメできない」34.0%、「選考に落ちて気まずくなる」32.6%、「本人の適性が不安」30.2%が挙がっています。
読み取れることは2つです。第一に、「制度がない」「知人が思いつかない」「相手の状況を知らない」で合わせて約半数を占めており、これらは制度と運用の工夫で解消できます。第二に、最大の理由である「会社をオススメできない」は制度では解決できません。ここが弱い会社がリファラルを始めても、紹介は出てきません。
「協力したい」は35.8%、「どちらともいえない」が42.4%
同調査では、制度があれば協力したいと答えた人が35.8%、どちらともいえないが42.4%でした。明確に拒否する人は少数派で、大半は「決めかねている」層です。この層をどう動かすかが設計の中心になります。
【ここだけ押さえる】
紹介が出ない原因を「社員の協力不足」に求めてはいけません。「気まずくなるのが怖い」32.6%への手当て(不採用時の扱いを事前に明文化する)と、「思いつかない」への手当て(求人の要件を具体的に配る)の2つで、動く人はかなり増えます。
3. インセンティブ設計の法務|職業安定法40条と就業規則
リファラル採用で最初に確認すべきは、金額ではなく支払いの法的な位置づけです。
職業安定法上の位置づけ
職業安定法において「労働者募集」とは、「労働者を雇用しようとする者が自ら又は他人に委託して、労働者になろうとする者に対してその被用者となることを勧誘すること」と定義されています[5]。社員が知人に入社を勧めるリファラル採用は、この労働者募集にあたります。
そのうえで、職業安定法第40条は、労働者の募集を行う者などが、募集に従事する被用者に対して報酬を与えることを原則として禁止しています。ただし、賃金・給料その他これらに準ずるものを支払う場合は除外されています。
つまり、社員への紹介インセンティブは、「報酬」ではなく「賃金」として支払う形に整える必要があるということです。実務では次の3点を満たす設計にします。
- 就業規則または賃金規程に定める:紹介手当として、支給要件・金額・支給時期を明記する
- 全社員を対象にする:特定の社員だけを「募集担当」に指名して報酬を渡す形にしない
- 給与として支給する:現金手渡しや商品券のみの運用にせず、給与に含めて課税処理する
特定の社員を採用担当として業務指名し、成功件数に応じた報酬を渡すという設計にすると、実質的に職業紹介と評価される余地が生まれます。あくまで「全社員に開かれた制度」として、賃金規程に基づき支給する形を取ってください。
金額の相場は「1〜10万円未満」が最多
前述の東京商工リサーチ調査では、リファラル採用のインセンティブは次の分布でした。
| インセンティブの金額 | 割合 |
|---|---|
| 報酬なし | 40.9% |
| 1〜10万円未満 | 20.7%(金額帯としては最多) |
| 明確な規定なし | 20.4% |
| 100万円以上 | 0.8% |
注目すべきは、「報酬なし」と「明確な規定なし」で6割を超えていることです。多くの企業は、金額を積むことでリファラルを動かしているわけではありません。
金額の決め方としては、次の考え方が現実的です。
- 人材紹介の成功報酬(理論年収の30〜35%)と比べる:年収400万円なら紹介手数料は120〜140万円。10万円のインセンティブでも十分に安い
- 段階を分ける:面接に進んだ時点で1万円、入社時に5万円、入社6カ月経過で5万円のように分割すると、紹介の質を保ちやすくなります
- 高額にしすぎない:金額が大きいほど「合わない人でも紹介する」動機が生まれます
※金額設計の考え方は当社推計/業界相場目安です。
【回避策】
インセンティブを決める前に、「この制度は賃金規程のどこに書きますか」を人事と経理に確認してください。ここが決まらないまま運用を始めると、支給のたびに処理方法を相談することになり、制度そのものが止まります。規程の追加は数行で済みます。
4. 中小企業のためのリファラル制度 設計6ステップ
専任者がいなくても、2週間程度で立ち上げられます。
ステップ1:対象となる求人を3つ以内に絞る。「全職種で募集中」と伝えても、社員は誰を紹介すればよいか判断できません。いま最も採りたい職種を3つ以内に絞ります。
ステップ2:求める人物像を「知人に説明できる言葉」にする。「主体性のある方」では紹介できません。「前職で〇〇の経験がある人」「今こういう不満を持っている人」のように、社員が知人の顔を思い浮かべられる粒度まで具体化します。
ステップ3:紹介手当を賃金規程に追加する。前章のとおり、支給要件・金額・支給時期を明記します。
ステップ4:不採用時のルールを先に決めて、公表する。最も重要なステップです。詳しくは次章で扱います。
ステップ5:社員に渡す3点セットを用意する。求人票、会社紹介資料、そして「知人に送れる短文テンプレート」の3つです。
ステップ6:声かけの機会を月次で作る。制度は告知した月しか動きません。月1回の全体会議で、対象求人と紹介状況を30秒だけ共有する枠を作ってください。
このうち、成否を最も大きく左右するのがステップ2の人物像の言語化です。実務では、現場責任者に次の3つを聞くと具体化できます。
- 直近で採用した人のうち、うまくいっている人はどこが違うか:抽象的な人柄ではなく、入社時点で持っていたスキルや経験で答えてもらう
- 前職はどんな会社が多いか:業界・企業規模・職種を挙げてもらうと、社員が知人を思い出す手がかりになる
- 入社1年目に任せる仕事は何か:ここが曖昧だと、紹介された人も「何をやる仕事か分からない」と感じます
この3問への答えをそのまま社員に共有するだけでも、「合いそうな知人が思いつかない」という反応はかなり減ります。社員は会社を悪く思っているのではなく、単に判断材料がないだけというケースが大半です。
| ステップ | 所要時間の目安 | 担当 |
|---|---|---|
| 1. 対象求人を絞る | 30分 | 人事+現場責任者 |
| 2. 人物像を言語化 | 2時間 | 人事+現場責任者 |
| 3. 賃金規程に追加 | 1時間 | 人事+経理 |
| 4. 不採用時ルールの策定 | 1時間 | 人事 |
| 5. 3点セットの準備 | 1日 | 人事 |
| 6. 月次の告知枠の設定 | 30分 | 人事 |
※当社推計/業界相場目安。従業員50〜100名規模を想定した目安です。
制度づくり全般で行き詰まっている場合は、採用できない中小企業がやるべき7つの打ち手もあわせてご覧ください。
制度設計から運用までの切り分けについては、無料でご相談いただけます。
5. 「紹介したのに落ちた」をどう扱うか
紹介時の懸念で32.6%を占めた「選考に落ちて気まずくなる」。ここを設計しないままリファラルを始めると、1件目の不採用で制度が止まります。
事前に公表すべき4つのルール
- 選考基準は通常の応募と同じであること:紹介だからといって通過が保証されるわけではないと、制度の告知時に明記します
- 紹介者に選考内容を伝えないこと:合否以外の評価内容は紹介者に共有しない、と決めておきます
- 不採用の連絡は会社から本人へ直接行うこと:紹介者に伝えさせない運用にすると、気まずさが人間関係に持ち込まれません
- 紹介者への謝礼を、結果と切り離す部分だけ用意すること:面接に進んだ時点で少額を支給する設計にすると、不採用でも「無駄骨」になりません
この4点を制度説明の資料に書いて配るだけで、紹介のハードルは大きく下がります。「落ちても気まずくならない仕組みがある」と分かって初めて、人は知人の名前を出せます。
加えて、紹介を受けた候補者に最初に伝える言葉も決めておいてください。「〇〇さんからご紹介いただきましたが、選考は通常の応募と同じ流れで進めます」と最初のメールに一文入れるだけで、本人の期待値もそろいます。この一文がないと、候補者側が「顔パスで入れる」と誤解したまま選考に進み、不採用になったときの落差が大きくなります。
紹介された人の情報の扱い
社員から知人の履歴書や連絡先を受け取る場面では、個人情報の取扱いに注意が必要です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人データの取扱いにあたって利用目的の特定や安全管理措置を求めています[6]。
実務では、次の運用にしてください。
- 本人の同意なく、社員経由で履歴書を集めない:まず本人に応募フォームから応募してもらう、または本人の同意を得たうえで連絡先だけを受け取る
- 社内のチャットに個人情報を流さない:紹介の連絡は採用担当への個別連絡に限定する
- 不採用者の情報を紹介者に残さない:選考が終わった時点で、紹介者と共有していた情報は削除する
6. 社員に渡す3点セット|「紹介しやすさ」は準備で決まる
「合いそうな知人が思いつかない」16.0%、「知人の仕事状況を知らない」16.0%。この2つは、社員に渡す材料の不足が原因です。次の3点を用意します。
| 渡すもの | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ① 求人票(1枚) | 仕事内容、1日の流れ、必須要件、給与レンジ | 誰を紹介すればよいか判断できる |
| ② 会社紹介資料 | 事業内容、働き方、数字、社員の声 | 知人にそのまま転送できる |
| ③ 短文テンプレート | 100字程度の声かけ文 | 送る文面を考える手間をなくす |
③の短文テンプレートは、実際に効果が大きい割に用意されていないことが多い材料です。次のような文面を用意しておきます。
「うちの会社で〇〇職を募集していて、××の経験がある人を探してるんだけど、心当たりある? もし興味があれば資料送るよ。合わなければ全然大丈夫だから、気軽に聞いてもらえたら」
「合わなければ全然大丈夫」の一文が、紹介者にとっても知人にとっても心理的な逃げ道になります。
②の会社紹介資料は、採用ピッチ資料として整えておくと、リファラル以外の場面でも使い回せます。作り方は採用ピッチ資料の作り方|構成テンプレートと7つの必須項目で確認できます。
求人票の記載は、リファラルでも法令の対象
社員経由の紹介であっても、募集にあたって示す労働条件は法令の対象です。2024年4月から労働条件明示のルールが変わり、就業場所・業務の変更の範囲、有期契約の更新上限、無期転換申込機会と転換後の労働条件が明示事項に追加されました[7]。
「知り合いだから細かい条件は後で」という進め方が、後のトラブルの原因になります。リファラル用の求人票も、通常の求人と同じ内容で作成してください。
むしろリファラルこそ、条件面をはっきり伝える必要があります。知人からの紹介では、給与や休日といった話を切り出しにくく、双方が遠慮したまま面接に進みがちだからです。条件が合わないことが入社直前や入社後に発覚すると、本人・紹介者・会社の三者すべてが損をします。求人票を1枚渡しておけば、この会話を紹介者が代わりにしてくれます。
7. リファラル採用のKPIと測り方
リファラルの成果を「入社人数」だけで測ると、数カ月は何も動いていないように見えます。次の4段階で追ってください。
| 段階 | 指標 | 目標水準の目安 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 認知 | 制度を知っている社員の割合 | 90%以上 | 告知が届いているか |
| 意向 | 「紹介を検討した」社員の割合 | 30%以上 | 材料が足りているか |
| 行動 | 紹介件数(月次) | 従業員50名で月1〜2件 | 制度が動いているか |
| 成果 | 入社数・6カ月定着率 | 定着率90%以上 | 手法として機能しているか |
※当社推計/業界相場目安。従業員規模と職種により変動します。
最初に見るべきは「認知」と「意向」です。紹介件数がゼロのとき、原因は「協力する気がない」ではなく「制度を知らない」「誰を紹介すればいいか分からない」であることがほとんどです。半期に一度、5問程度の簡単なアンケートで確認すれば十分です。
紹介件数の目安については、従業員50名で月1〜2件を最初の目標に置いてください。年間で12〜24件の紹介があり、そのうち面接に進むのが半分、入社に至るのがさらにその2〜3割とすると、年間2〜4名の採用につながる計算になります。※当社推計/業界相場目安。この規模感を事前に共有しておかないと、「月に1件しか出ていない、失敗だ」という誤った評価になりがちです。
もうひとつ重要なのは、紹介してくれた社員に結果をフィードバックすることです。紹介したまま何の連絡もない状態が続くと、次の紹介は出てきません。選考の各段階で「面接に進みました」「今週最終面接です」と一言伝えるだけで、次につながります。この一手間を運用フローに組み込んでおいてください。
なお、リファラル単独で採用目標を満たすのは現実的ではありません。マイナビの調査では、2025年の1社あたり平均採用人数は12.3人(2024年は20.8人)で、採用手法としては転職サイト47.1%、求人検索エンジン44.2%、企業ホームページ43.6%、人材紹介会社41.4%と、複数手法の併用が前提になっています[8]。リファラルは主力ではなく、定着率の高い枠を数名分確保する手法と位置づけてください。
8. リファラルが向かないケースと、併用の考え方
次のいずれかに当てはまる場合、リファラルの優先度は下げるべきです。
- 直近1年の離職率が高い:社員が「オススメできない」状態です。まず職場環境の課題に向き合う必要があります
- 従業員が20名未満:人脈の母数が小さく、確率的に紹介が出にくくなります
- 専門性が高く、社内に同職種の社員がいない:紹介できる人脈を持つ社員がいません
- 今月中に採用したい:リファラルは声かけから入社まで数カ月かかります。急ぎの採用には向きません
| 状況 | リファラル | 併用すべき手法 |
|---|---|---|
| 離職率が高い | × | まず定着施策。採用は媒体で最低限を維持 |
| 従業員20名未満 | △ | 求人検索エンジン、ハローワーク |
| 専門職・技術職 | △ | ダイレクトリクルーティング、人材紹介 |
| 現場職・複数名採用 | ◎ | 求人検索エンジンとの併用 |
| 今月中に採用したい | × | 人材紹介、求人広告 |
リファラルは「時間はかかるが確度と定着率が高い」手法です。したがって、即効性のある手法と組み合わせるのが基本になります。
併用の設計で実務的なのは、採用枠を手法ごとに割り当てておくやり方です。年間6名の採用計画なら、リファラルで1〜2名、求人検索エンジンで2〜3名、人材紹介で1〜2名というように先に配分します。こうしておくと、リファラルから紹介が出なかった月にも他の手法が動いており、採用全体が止まりません。逆に「まずリファラルでやってみて、ダメなら媒体を使う」という順番にすると、判断が遅れて採用時期が後ろにずれます。
もうひとつ、リファラルは長期の仕込みが効く手法でもあります。今月声をかけた知人がいま転職を考えているとは限りませんが、半年後に転職を考え始めたときに最初に思い出してもらえる可能性は残ります。だからこそ、単発のキャンペーンではなく、月次で細く長く続ける運用のほうが向いています。母集団形成全体の設計は、採用の母集団形成の方法|8つの手法とKPI設計で整理しています。
よくある質問
Q1. 中小企業でもリファラル採用は現実的ですか。
現実的です。東京商工リサーチの調査(6,475社)では、中小企業の導入率は48.3%で、すでに半数近くが取り入れています。さらに「定着率が最も高い採用方法」としてリファラルを挙げた企業は18.5%で1位でした。ただし従業員20名未満の場合は人脈の母数が小さく、紹介が出にくくなるため、求人検索エンジンなどとの併用が前提になります。
Q2. 紹介インセンティブはいくらが適正ですか。
調査では「1〜10万円未満」が金額帯としては最多で20.7%、一方で「報酬なし」が40.9%、「明確な規定なし」が20.4%でした。金額を積むほど紹介が増えるわけではなく、むしろ高額にすると「合わない人でも紹介する」動機が生まれます。面接進出時に少額、入社時、6カ月定着時と段階を分ける設計が実務的です。
Q3. 紹介インセンティブを払うのは違法ではありませんか。
職業安定法第40条は、募集に従事する被用者への報酬供与を原則として禁止していますが、賃金・給料その他これらに準ずるものを支払う場合は除かれています。したがって、就業規則または賃金規程に紹介手当として支給要件・金額・支給時期を定め、全社員を対象とし、給与として支給する形にすれば問題ありません。特定の社員を募集担当に指名して成功報酬を渡す形は避けてください。
Q4. 紹介した知人が不採用になったとき、どう伝えればよいですか。
不採用の連絡は会社から本人へ直接行い、紹介者には合否のみを伝え、評価内容は共有しないルールを事前に公表してください。紹介時の懸念として「選考に落ちて気まずくなる」を挙げた人は32.6%にのぼります。面接に進んだ時点で少額の謝礼を支給する設計にすると、結果にかかわらず紹介者の負担感が下がります。
Q5. 制度を作ったのに紹介が出てきません。何を見直すべきですか。
「協力する気がない」と結論づける前に、認知と材料を確認してください。制度を知っている社員の割合、対象求人の具体性、社員に渡す3点セット(求人票・会社紹介資料・短文テンプレート)の有無です。「合いそうな知人が思いつかない」16.0%、「知人の仕事状況を知らない」16.0%という調査結果は、いずれも材料不足で改善できる要因です。
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参考資料
- 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」2026年
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260817-laborshortage202607/(最終閲覧:2026年8月21日) - 東京商工会議所「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」2024年
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1202158(最終閲覧:2026年8月21日) - 東京商工リサーチ「2026年6月 企業の『採用』に関するアンケート調査」2026年
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202969_1527.html(最終閲覧:2026年8月21日) - doda人事ジャーナル「リファラル採用、社員は協力している?20代・30代の本音調査」2020年
https://www.dodadsj.com/content/200220_referral/(最終閲覧:2026年8月21日) - 厚生労働省「労働者募集業務取扱要領」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/bosyu/dl/01.pdf(最終閲覧:2026年8月21日) - 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/(最終閲覧:2026年8月21日) - 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」2024年
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html(最終閲覧:2026年8月21日) - マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」2026年
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260327_109053/(最終閲覧:2026年8月21日)
