採用代行から内製化する手順|6か月の設計

採用代行を使い始めたものの、「このまま頼り続けて大丈夫だろうか」「いつ自社で回せるようになるのか」と不安を感じていませんか。あるいは、これから採用代行を使う予定で、最初から採用内製化を見据えておきたい経営者・採用担当者の方もいるでしょう。

この記事で扱うのはシステム開発やDXの内製化ではなく、中小企業の採用業務を自社で回す体制(インハウス採用)への移行です。採用代行から内製化へ移るには、業務を渡す順番と期間の設計がすべてです。本記事では、6か月で移行する手順を、弊社支援先の実例とあわせて解説します。

この記事でわかること

  • 採用代行から内製化に移行できる状態と、まだ早い状態を見分ける判断基準
  • 代行から自社へ業務を渡していく6か月の進め方と、渡しやすい業務・渡しにくい業務の順番
  • 契約と引き継ぎで確認すべき点と、ノウハウとデータを自社に残す方法
  • 内製化を前提に進めた支援先2社のBefore/Afterと、完全内製かハイブリッドかの選び方

採用代行から内製化へ移行する前に|詰まりやすい5つの症状

採用代行を使っている企業が内製化を考えはじめるきっかけは、さまざまです。「費用を抑えたい」「ノウハウを社内に残したい」「担当者が育ってきた」など、理由は違っても、移行の途中で詰まる場所には共通点があります。まずは、自社がどの症状に近いかを確認してみましょう。

症状起きていること主な原因この記事の該当章
代行に任せきりで、中身がわからない何をどう改善したのか、社内で説明できない定例MTGで報告を受けるだけで、自社の担当者が作業に入っていない6か月ロードマップ/引き継ぎの章
内製化したいが、何から渡せばよいかわからない業務が多く、優先順位がつけられない業務を棚卸ししておらず、難易度の違いを見ていない渡す順番の章
自社担当者の工数が確保できない兼務の担当者が他の仕事に追われる業務時間の見積りがなく、移行期間に余裕がない向く状態・向かない状態の章
契約終了後に成果が落ちるのが不安スカウトの文面や媒体設定の意図がわからないノウハウ・アカウント・データが代行側にしかない契約・引き継ぎの章
内製化したが、数字が見られず改善が止まった応募や面談の数が分からず、次の手を打てない振り返りの指標とルーティンが決まっていない内製化後の運用の章

上の表で多くの方が当てはまるのは、1つ目と2つ目です。つまり、内製化の最大の壁は「能力」ではなく、業務の見える化と、渡す順番の設計が行われていないことです。この2点を押さえれば、6か月前後での移行は十分に現実的です。

ここで言う内製化は、「代行をすぐにやめる」ことではありません。代行を使いながら、自社の関与を少しずつ増やし、最終的に自社が主担当になる移行のプロセスを指します。急に代行を止めて、担当者が一人で全業務を引き継ぐと、応募対応の遅れや、スカウトの停止が起き、せっかく積み上げた成果が途切れてしまいます。移行は、成果を落とさず、役割を入れ替えていく作業だと考えてください。

【診断のポイント】内製化の準備度は、次の3つで確認できます。①代行が行っている業務を一覧にして、自社の担当者が説明できるか、②自社の採用データ(応募数・面談数・採用数)を毎月自分たちで見ているか、③採用に使うアカウントや資料の名義・保管場所が自社にあるか。3つとも「はい」なら、移行はかなり進んでいます。

採用体制の全体設計(社員数別の体制図やRACI表など)は、採用体制の構築手順6ステップの記事で詳しく整理しています。この記事では、代行を使いながら体制を作っていく移行の流れに絞って解説します。

採用内製化に向く状態と、まだ早い状態|判断基準

内製化は、早ければ良いというものではありません。中途採用の未充足率は57.8%という調査もあり、[3]採用は思うように進まない企業が多数派です。そのため、準備が整わないまま代行を終えると、応募が止まって採用活動そのものが失速するおそれがあります。次の表で、自社の状態を確認してください。

確認項目内製化に向く状態まだ早い状態
担当者採用に週あたりの工数を割ける担当者が1名以上いる兼務で他業務が優先され、採用に時間を割けない
業務の把握代行が行う業務を一覧にして、説明できる報告書を読むだけで、作業の中身がわからない
データ応募数・面談数・採用数を毎月記録している数字が代行側のレポートにしかない
採用ターゲットペルソナと求人票の訴求軸を自社で説明できるなぜその訴求なのか、理由が社内で共有されていない
採用の頻度年間を通じて複数名を採る見込みがある採用が単発で、再び必要になる時期が不明

上の表で「まだ早い状態」が複数ある場合でも、内製化を諦める必要はありません。その場合は、完全内製ではなく、一部の業務だけを代行に残すハイブリッドを選ぶのが現実的です。たとえば、スカウト送信や日程調整は自社へ移し、媒体の選定や数値分析、改善提案だけを外部に任せる形です。どの業務を外部に残せるかは、採用代行に丸投げできる?任せられる業務と任せられない業務の記事で整理しています。

内製化の目的を先に言葉にする

移行の設計に入る前に、「何のために内製化するのか」を、社内で言葉にしておきましょう。目的によって、残すべき業務と渡す順番が変わるためです。たとえば、費用の削減が目的なら、外部費用が大きい業務から優先して渡します。ノウハウの蓄積が目的なら、数値分析や文面の設計に自社が同席する時間を長く取ります。担当者の育成が目的なら、候補者対応や面接の設計を早めに主担当へ移します。さらに、採用のスピードを落としたくない場合は、完全内製ではなく、ハイブリッドを選んで繁忙期だけ外部を使う方法もあります。目的が曖昧なまま進めると、途中で「何のための移行か」が分からなくなり、判断が止まります。

自社で回すときの工数を見積もる

内製化で最初に見積もるべきなのは、採用担当者の工数です。弊社の既存記事の推計では、採用担当者の負担は月90時間にのぼり、業務は20項目に分かれます。※当社推計/業界相場目安もちろん、この全てを一人で行う必要はなく、代行から段階的に渡していく中で、自社の担当者が増やしていく時間は月数時間から始まるのが一般的です。内製化が失敗する多くのケースは、「最初から全業務を渡されて、担当者が潰れる」ことにあります。

そのため、移行の開始前に、①担当者が1週間に確保できる時間、②社内で採用に協力できる現場社員の数、③面接に出られる経営者・管理職の時間、の3つを確認しておきます。この3つが少ない場合は、移行を8〜12か月に延ばすか、ハイブリッドを前提に設計します。

採用代行から内製化する6か月ロードマップ|インハウス採用への移行手順

ここからが本題です。弊社では、採用代行を使う場合の推奨の契約期間を6か月とし、内製化を最終ゴールに据えて設計しています。次の6つのステップが、移行の一例です。月ごとに「誰が主担当か」を変えていくことがポイントです。

  1. 1か月目:現状の棚卸しと目標の設定。代行が行う業務、採用データ、使っている媒体とアカウントを一覧にします。この時点では代行が主担当で、自社の担当者は社員インタビューや要件定義に同席します。目標(採用人数・時期・単価)もここで決めます。
  2. 2か月目:同席しながら学ぶ。定例MTG、求人票の作成、スカウト文の作成を、自社の担当者が同席または共同で行います。「なぜその文面にしたのか」という理由を、言葉で聞いて記録に残します。
  3. 3か月目:渡しやすい業務を自社へ移す。スカウトメールの送信、面接日程の調整といった、手順が決まっている業務から自社が主担当になります。代行は設計と数値分析を担います。
  4. 4か月目:継続か終了かを判断する。3か月間の数字と、自社が回せている業務の割合を見て、残り期間の進め方を決めます。弊社の契約では、継続の可否は4か月目の終了までにご連絡いただく流れです。
  5. 5か月目:候補者対応と面接を自社が主担当に。候補者とのやり取りや面接の設計を自社が担い、代行は助言と改善提案だけに回ります。この月に、数字を見て改善策を考える会議を自社主導で開き始めます。
  6. 6か月目:引き継ぎと卒業の準備。アカウントの権限、資料、データ、ノウハウの記録を自社へ渡し、代行の定例は月次の振り返りに切り替えます。卒業後も、数字の確認と改善のルーティンが続く状態を目指します。

この6か月の流れで大切なのは、「作る」より「理由を渡す」ことです。スカウト文や求人票は、完成品を引き継ぐだけでは、後から自社で修正できません。「どの職種のどんな人を想定し、なぜこの言葉を選んだのか」を理由ごと残すことで、市場が変わっても自社で作り直せるようになります。

次の表は、6か月間の「主担当」の移り変わりを整理したものです(設計の一例です)。

時期代行が主担当自社が主担当自社が同席・習得するもの
1か月目業務棚卸し・要件定義・ペルソナ設計目標の設定、社員インタビューの調整要件定義の考え方
2〜3か月目スカウト設計・求人票・媒体選定スカウト送信・面接日程の調整スカウト文の作り方、ABテストの見方
4か月目数値分析と改善提案候補者対応の一部継続か終了かの判断材料
5か月目助言・改善提案候補者対応・面接の設計・振り返り会議数字から次の施策を考える方法
6か月目引き継ぎと月次の振り返り採用活動の運営全体アカウント・資料・データの管理

※移行のスピードは企業によって異なります。担当者の工数や採用の頻度に応じて、期間は調整してください。

各月の「完了の目安」を決めておく

移行が計画どおりに進んでいるかを確認するには、各月の終わりに「ここまでできていれば合格」というラインを決めておくと便利です。完了の目安がないと、「なんとなく順調」のまま時間が過ぎ、4か月目の判断で慌てることになります。次のように、できるだけ具体的な行動で決めておきましょう。

  • 1か月目の完了:代行が行う業務の一覧と、採用データ(応募数・面談数・採用数)の記録表が、自社のフォルダに保管されている
  • 2か月目の完了:自社の担当者が、直近のスカウト文について「なぜこの文面にしたのか」を、自分の言葉で説明できる
  • 3か月目の完了:スカウト送信と面接の日程調整を、自社の担当者が代行のチェックなしで実施できている
  • 4か月目の完了:継続か終了かの判断が済み、残り期間で渡す業務と、代行に残す業務が書面で整理されている
  • 5か月目の完了:数字の振り返り会議を自社主導で開き、次月の改善策を自社で決められている
  • 6か月目の完了:アカウントの名義と権限、資料、データの引き継ぎが完了し、卒業後の月次ルーティンが決まっている

もし、ある月の完了の目安に届かなかった場合は、焦って次の月に進まず、その月の内容をもう1か月かけて行います。内製化は、スピードを競うものではなく、自社が自走できる状態になることが目的だからです。移行期間が8か月や10か月になっても、卒業後に採用が回り続けるほうが、長い目で見て費用を抑えられます。

渡す順番が成否を分ける|内製化しやすい業務としにくい業務

内製化では、すべての業務を同じ順番で渡すのではなく、難易度が低く、手順が決まっているものから渡します。逆に、市場の知識や経験が必要な業務は、最後まで外部のサポートを残しておくほうが安全です。弊社の採用代行は、採用設計・採用実行・内定後の3フェーズ・18業務で構成されており、その中から代表的な業務を、渡しやすさで整理しました。

業務(フェーズ)渡しやすさ理由渡す時期の目安
面接スケジュール調整
(実行)
高い手順が決まっており、ミスが少ない3か月目
スカウトメール送信(実行)高い文面とターゲットが決まっていれば、送信は作業化できる3か月目
候補者対応(実行)中応対の品質が応募の離脱に直結するため、テンプレートと研修が要る4〜5か月目
求人票作成(設計)中自社の魅力の言語化と、法令の確認が必要4〜5か月目
企業説明会・採用イベントの運営(実行)中資料と話し方の型を作れば、自社で運営できる3〜5か月目
数値分析と改善施策の提案(内定後)低い数字を読み、施策に変える経験が必要5〜6か月目に同席から開始
ターゲット再設定・ペルソナ設計(設計)低い市場の変化を読む力が必要で、判断の経験が要る月次で助言を受け続けるのが現実的

上の表のうち、スカウトメールの送信と日程調整は、早い段階で渡しやすい反面、送信の中身(文面とターゲット)は代行が設計したものを引き継ぐ点に注意が必要です。送信だけを自社で行い、改善を代行に任せ続けると、結局は代行頼みの状態が続いてしまいます。そのため、渡す業務とあわせて、「なぜこの文面か」を説明できる人を自社側に置いてください。

スカウトの文面と数字の見方は同席して身につける

スカウトの文面は、ターゲットの設計と、数日単位のABテストで改善されます。弊社の支援では、1社につき総計2,000通以上を送り、ABテストを重ねて、開封率を3.6%から40.7%(約11倍)まで改善した実績があります。※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。こうした改善は、文面を引き継ぐだけでなく、ABテストの考え方を自社の担当者が理解していないと再現できません。内製化の2〜3か月目に、改善のミーティングに同席してもらうのはこのためです。

ノウハウとデータを自社に残す|契約と引き継ぎで確認する5つの点

採用業務の多くを外部に委託すると、自社に採用のノウハウが蓄積しにくくなるという指摘があります。[1]また、採用代行を使うときも、任せきりにせず自社が主体的に関わることが重要だとされています。[2]移行を成功させるには、契約の段階から、引き継ぎを前提にした取り決めを入れておくことが大切です。

  1. アカウントと権限の名義:採用媒体やATS、スカウトのアカウントが自社名義になっているか、権限は自社の担当者に付与されているかを確認します。代行側の名義だと、契約終了後に履歴やデータが使えなくなるおそれがあります。
  2. 資料・データの共有範囲:スカウト文の改善履歴、媒体ごとの応募数、面談の実績といった数字を、自社が自由に取り出せる形で共有してもらいます。弊社では、初回の契約時に資料と権限の共有範囲を確認しています。
  3. 定例MTGでの同席:定例MTGに自社の担当者が参加し、数字の見方や改善策の理由を聞く仕組みを入れます。報告書だけを受け取る形にしないことが重要です。
  4. 契約期間と継続の連絡時期:内製化までの期間(弊社では推奨6か月)と、継続・終了の判断時期を事前に決めます。判断が遅れると、移行の準備期間が足りなくなります。
  5. 業務変更の取り決め:期間の途中で、代行する業務を減らし、自社に移すことができるかを確認します。弊社では、代行業務の変更も契約の範囲内で相談できます。

契約書の確認項目は、採用代行の業務委託契約書で確認すべき12項目で詳しく整理しているので、締結前のチェックリストとして活用してください。

また、採用の募集業務を外部へ委託する場合は、募集の受託者の責務を含め、職業安定法に基づく指針でも関係者の責務が整理されています。[5]さらに、2024年4月から労働条件明示のルールが改正され、就業場所と業務の変更の範囲などの明示が求められるようになりました。[4]代行が作成していた求人票や募集文を自社で更新する際は、最新のルールに沿った書き方になっているかを確認してください。

特に見落とされやすいのが、媒体のアカウント名義です。代行会社が自社の名義でアカウントを取得して運用している場合、契約が終わると、過去のスカウト履歴や応募者のデータを引き継げないことがあります。内製化を見据えるなら、最初の契約の時点で、アカウントは自社名義で作成し、代行には運用の権限を付与する形を選んでください。

【回避策】「いつか自社で使うから」と考えて、契約終了の直前に引き継ぎを始めるのは避けましょう。アカウント・資料・データの引き継ぎは、4か月目の判断のタイミングまでに、ひと通り自社に渡しておくと安全です。

内製化を前提に進めた実例|2社のBefore/After

ここでは、弊社の支援先のうち、「代行で成果を出しながら、自社で回せる状態に近づけた」2社の事例を紹介します。どちらも、全てを丸ごと任せるのではなく、自社の関与を前提に設計しています。

項目インフラ系SES会社
(従業員8名・創業以来初の採用)
飲食店WEB集客コンサル会社
(従業員21名・人事チーム0から)
Before訓練校の開拓に時間が割けず、エージェント紹介のみで母集団の質と単価が高いエージェントの採用単価が高く、人事部がなく、自社に合った応募がない
内製化に向けた打ち手資料と話し方を助言し、内製化しながら、代行で説明会の回数を確保社員インタビューでペルソナを設定し、媒体別ABテスト、ATS導入、採用漫画などの仕組み化
After(母集団)職業訓練校3校→19校/エージェント以外の応募0件→13件(4か月)有効応募15件→106件(支援期間中の合計)
After(運用)説明会を1年に1回→4か月で7回(80名程度に直接アプローチ)採用人数6人→10人(総採用予算は前年より減)/採用単価約120万円→約40万円

※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。

SES会社の事例では、訓練校や公共事業をリサーチして説明会の枠を獲得し、採用費0円で母集団をつくりました。ここで重要なのは、説明会の運営を代行に任せきりにせず、資料と話し方を助言して、少しずつ自社で運営できる形に移したことです。回数を代行で確保しながら、運営の型を自社に残しています。

Webコンサル会社の事例では、人事チームがない状態から、採用の基盤を一緒に作っています。中途入社7名への社員インタビューを起点にペルソナを設定し、魅力を出した求人票と媒体別のABテストで母集団を見直しました。ATSの導入や採用漫画も含め、採用の仕組みを社内に残す設計にしています。その結果、予算を減らしながら、エージェント以外から10名を採用できました。

なお、弊社の支援では、企業説明会そのものの代行を2026年1〜2月に6回実施するなど、実行業務を代行で確保しながら、自社の運営の型を整えていくケースもあります。※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。回数を確保しつつ、資料や話し方を自社に残していく進め方は、内製化の途中経過として有効です。

2社に共通するのは、「成果」と「自社への移行」を同時に進めた点です。成果が出る前に内製化を急ぐと、応募が止まります。逆に、成果が出てから内製化を考えると、ノウハウが代行側に偏ります。そのため、最初の月から、ノウハウを残す設計を入れておくのがコツです。

内製化期間の定例MTGの使い方|代行を「教えてもらう場」に変える

移行期間中の定例MTGは、代行からの報告を聞く場ではなく、自社の担当者が学び、判断を練習する場として使います。報告を聞くだけの定例では、6か月たっても自社に力がつきません。毎月の定例の目的を、移行の段階に合わせて変えていきましょう。

時期定例の主な目的自社の担当者がやること
1〜2か月目代行の判断の理由を聞く「なぜこのターゲットなのか」「なぜこの文面なのか」を質問し、メモに残す
3〜4か月目自社が実施した業務を振り返る自社が行ったスカウト送信や日程調整の数字を報告し、代行からフィードバックを受ける
5〜6か月目自社が施策を提案し、代行が助言する数字から読み取った課題と、次の改善案を自社から提案する

定例の議題は、毎回次の5つに固定すると、短時間でも密度が上がります。①先月の数字(有効応募、面談、採用)、②先月の施策とその理由、③自社が担当した業務の振り返り、④翌月に自社へ渡す業務、⑤宿題と担当者です。議事録は自社の担当者が作成し、そのまま採用のノウハウ集として蓄積します。

また、定例には担当者だけでなく、経営者や面接に出る管理職も、月に1回は参加することをおすすめします。採用の方針が現場に伝わりやすくなり、移行後も、採用に協力する社内の空気が続きやすくなるためです。

【ポイント】定例の最後に、「来月、自社だけでできる業務を1つ増やすなら何か」を決めておきましょう。この小さな積み重ねが、6か月後の自走につながります。

採用内製化の後に回すべき3つの数字と月次ルーティン

内製化した後に失速するパターンの多くは、「数字を見る習慣」が根付いていないことが原因です。移行が完了する6か月目までに、次の3つの数字を毎月確認するルーティンを作っておきましょう。

見る数字何がわかるか確認の頻度
有効応募数(会いたいと思える応募)ターゲットと求人票・スカウト文面が合っているか毎週
面談数と面談化率応募後の対応が速いか、日程調整で離脱していないか毎週〜隔週
採用数と採用単価チャネルごとの費用対効果、どの媒体に予算を寄せるか毎月

さらに、月に1回、30〜60分の振り返りの場を設けます。この場で、数字の変化、うまくいった施策、次の1か月の改善策を決めます。ここに、定期的に外部の専門家が参加する形にすると、ハイブリッドの安心感があります。

月次ルーティンの具体例を挙げると、月初に前月の数字をまとめ(担当者)、第1週に振り返り会議を行い(担当者・現場社員・経営者)、第2週に改善策を実行し、第3〜4週に結果を確認して、月末に翌月の計画を決める、という流れです。このサイクルが回っていれば、代行が抜けた後も、採用は止まりません。逆に、数字を見るのが年に数回になってしまうと、気づいたときには応募が大きく減っていることがあります。

やってはいけない内製化の落とし穴

  • ツールだけを契約して終わる:採用ツールを契約しても使いこなせず、費用対効果が悪化する典型です。ツールの導入と、使い方の定着はセットで設計します。
  • 担当者が1人に集中する:担当者が休職や退職をした時点で、採用が止まります。業務手順と判断基準を文書に残し、現場社員にも関与してもらいます。
  • 数字の確認を後回しにする:応募が減っているのに気づかず、手遅れになることがあります。毎週の確認を習慣にします。

採用市場の環境は月ごとに変わります。出展や募集の時期を決める前に、厚生労働省の「一般職業紹介状況」などで直近の数字を確認しておくと、判断がぶれません。[6]

代行を続けるか、内製化するか|費用と進め方の比較

最後に、代行を継続した場合と、内製化へ移行した場合の違いを整理します。重要なのは、「どちらが安いか」だけでなく、何が社内に残るかです。

項目代行を継続内製化へ移行ハイブリッド(一部を残す)
費用の出方月額固定の費用が続く外部費用は減る一方、担当者の工数が増える外部は縮小し、自社の工数は中程度
自社の工数少ない多い(月数時間から段階的に増える)中程度
社内に残るものデータの一部ノウハウとデータが残る必要な部分のノウハウが残る
向いている企業当面の採用を急ぐ、担当者がいない採用が継続的で、担当者を置ける担当者はいるが、専門性や工数に不安がある

※一般的な目安です(当社調べ)。実際の条件は各社・各契約によって異なります。

おまかせ採用は、月額固定で伴走する採用代行です。料金はライト30万円(月30時間まで)、スタンダード50万円(月40〜50時間)、プレミアム80万円(月60時間以上)で、採用時の手数料はありません。※2026年8月時点の料金初回の打ち合わせから最短5営業日で開始でき、1名の採用から依頼できます。推奨の契約期間は6か月で、この間に採用ノウハウとデータを自社に残す内製化の設計を行います。

たとえば月額30万円のライトプランを6か月使った場合の総額は180万円です。人材紹介を使った場合の手数料は、年収500万円の人を1名採用するだけで150万円(手数料30%の試算)が目安のため、2名以上を採用する見込みがあるなら、代行から内製化へ進めるほうが総額を抑えやすい計算になります。※当社推計/業界相場目安自社の状況に合う進め方は、中小企業向け採用代行の記事で、費用の目安とあわせて確認できます。

なお、内製化したあとに、再び外部の力を借りる場面もあります。たとえば、新しい職種を初めて採用するときや、採用人数を一気に増やす繁忙期、媒体の運用を見直したいときなどです。こうしたときに、スポット的に相談できる関係を残しておくと、自社で抱え込みすぎず、採用の質を保てます。内製化は「外部との関係を断つ」ことではなく、自社が主役になり、必要なときに外部を使いこなせる状態を目指すものです。

【まとめ】採用代行から内製化へ移るコツは、①最初に業務を棚卸しする、②渡しやすい業務から順に移す、③「理由」まで引き継ぐ、④アカウント・データを自社名義にする、⑤数字を毎月自分たちで見る、の5点です。6か月という期間は、この5点を無理なく進めるための目安になります。

よくある質問

Q. 採用代行から内製化するには、どれくらいの期間が必要ですか?

企業の状況によりますが、弊社では推奨の契約期間を6か月としており、この期間で業務の棚卸し、同席しながらの習得、業務の移管、引き継ぎまでを進める設計にしています。担当者の工数が確保しにくい場合は、8〜12か月かけるか、一部の業務だけを外部に残すハイブリッドが現実的です。

Q. 採用内製化に向いている企業の条件は何ですか?

採用に工数を割ける担当者が1名以上いること、代行が行う業務を一覧にして説明できること、応募数・面談数・採用数を毎月自社で記録していること、年間を通じて複数名の採用見込みがあることが目安です。これらが揃っていない場合は、まず準備を整えてから、段階的に移行してください。

Q. 内製化の途中で成果が落ちないようにするには、どうすればよいですか?

業務を一度に渡さず、手順が決まっているスカウト送信や日程調整から順に移し、数値分析や改善提案など判断が必要な業務は最後まで外部の助言を残すことが大切です。また、文面や求人票は完成品だけでなく、作った理由も引き継ぐと、市場が変わっても自社で修正できます。

Q. 契約終了後に、データやアカウントが使えなくなることはありませんか?

契約の時点で、媒体やATSのアカウントの名義と権限、データの共有範囲を確認しておけば防げます。名義が代行側にある場合は、移行の前に自社名義へ切り替えるか、データを書き出して保管してもらう取り決めをしてください。

Q. 採用内製化を前提に、採用代行を依頼することはできますか?

可能です。おまかせ採用では、推奨6か月で内製化までを見据えて、採用設計・採用実行・内定後の3フェーズ18業務を月額固定(ライト30万円、スタンダード50万円、プレミアム80万円)で伴走します。1名から依頼でき、初回打ち合わせから最短5営業日で開始できます(2026年8月時点の料金)。

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採用内製化への移行のお悩み、おまかせ採用にご相談ください

採用代行は、使い続けることが目的ではなく、自社で採用を回せる状態に近づけるための手段です。弊社支援先では、エージェント中心だった採用単価が約120万円から約40万円になりました(2026年8月時点)。内製化を前提とした6か月の設計から、1名の採用でもご相談いただけます。

※弊社支援先の実績(2026年8月時点)。企業ごとに条件は異なります。

参考資料

  1. HRMOS「RPO(採用代行)とは」ノウハウ蓄積の課題
  2. リクルートエージェント「採用代行(RPO)とは」
  3. リクルートワークス研究所「中途採用実態調査」
  4. 厚生労働省(大阪労働局ハローワーク)労働条件明示ルールの改正(2024年4月)
  5. 厚生労働省「職業紹介事業者等の責務指針の一部改正」(令和6年10月11日告示)
  6. 厚生労働省「一般職業紹介状況」
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